災害と心の傷:外傷後ストレス障害を知る

防災を知りたい
『外傷後ストレス障害』って、災害で怖い思いをした後、誰でもなるものなんですか?

防災アドバイザー
いい質問ですね。災害で怖い思いをしたからといって、必ずしもみんながなるものではありません。強い恐怖や無力感を味わったり、体に危険が及ぶような体験をした後、心や体に異常が出る人がいます。それが『外傷後ストレス障害』です。

防災を知りたい
異常って、具体的にはどんなものですか?

防災アドバイザー
例えば、何度も怖い体験を思い出したり、悪夢を見たり、眠れなくなったり、イライラしやすくなったりします。そして、それらの症状が続いて、日常生活に問題が起きる場合に、『外傷後ストレス障害』と診断されます。
外傷後ストレス障害とは。
大きな災害や事故など、強い恐怖やどうしようもない無力感を味わったり、体に危険が及ぶような体験をした後に、心や体に異常が現れる症状について説明します。このような体験は心の傷となり、後に精神的な病気や体の不調につながることがあります。以前は、気分が落ち込む病気や、自分自身と現実を切り離してしまう病気、あるいは人間関係が不安定になる病気と診断されていた場合も、この症状に当てはまることがあります。アメリカでは1980年から、不安に関係する病気の一つとして認められています。ベトナム戦争から帰ってきた兵士や、性的ないじめを受けた人に見られる心と体の障害が社会問題となり、この症状の研究が進むきっかけとなりました。過去に強いストレスとなる経験があり、その時の状況が突然思い出される、つらい記憶を思い出さないように行動範囲が狭くなる、怖い夢を見る、眠れない、イライラするなどの症状が続いて社会生活に問題が起きている場合、この症状だと診断されます。
外傷後ストレス障害とは

外傷後ストレス障害(PTSD)とは、強い恐怖や無力感を伴う出来事、命の危険を感じるような体験がきっかけで、心身に様々な不調が現れる病気です。突然、過去のつらい記憶が蘇ったり、悪夢にうなされたり、不安や緊張が続くなど、日常生活に大きな影響を及ぼします。PTSDは決して特別な人の病気ではなく、誰もがかかる可能性のある病気です。
心的外傷は人によって様々です。大きな災害、事故、暴力、虐待など、様々な出来事が原因となります。例えば、地震や津波、火災といった自然災害、交通事故や爆発事故といった人災、あるいは、家庭内暴力や犯罪といった出来事も含まれます。これらの出来事を直接体験した人だけでなく、目撃した人、あるいは、大切な人が被害にあったという間接的な体験によっても発症する可能性があります。
PTSDの症状は、大きく分けて3つの種類に分けられます。一つ目は、つらい出来事を何度も思い出してしまう「再体験症状」です。突然過去の記憶がフラッシュバックのように蘇ったり、悪夢にうなされる、強い不安感に襲われるといった症状が現れます。 二つ目は、出来事に関するものごとを避けようとする「回避症状」です。出来事を思い出させる場所や人、状況を避けようとしたり、感情が麻痺した状態になることもあります。三つ目は、常に緊張や警戒している状態が続く「過覚醒症状」です。些細な物音にも過剰に反応したり、イライラしやすくなったり、集中力の低下が見られます。これらの症状は、出来事から数週間後に現れる場合もあれば、数か月、あるいは数年後に現れる場合もあります。
かつては、うつ病などの他の病気と間違われることもありましたが、現在では独立した病気として広く知られています。1980年代にアメリカで、ベトナム戦争から帰ってきた兵士や、性的虐待の被害者に見られる症状が社会問題化したことをきっかけに、研究が進みました。日本では、阪神・淡路大震災や東日本大震災など、大規模な災害の後、PTSDへの関心が高まりました。
PTSDは早期の診断と適切な治療によって回復できる病気です。一人で抱え込まず、周りの人に相談したり、専門家の助けを求めることが大切です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 強い恐怖や無力感を伴う出来事がきっかけで、心身に様々な不調が現れる病気。 |
| 原因 | 大きな災害、事故、暴力、虐待など。直接体験、目撃、間接的な体験でも発症の可能性あり。 |
| 症状 | 大きく分けて以下の3種類。 1. 再体験症状:つらい出来事を何度も思い出す(フラッシュバック、悪夢、強い不安感など) 2. 回避症状:出来事を思い出させるものごとを避けようとする(場所、人、状況の回避、感情の麻痺) 3. 過覚醒症状:常に緊張や警戒している状態(過剰反応、イライラ、集中力低下) 症状が現れる時期は様々(数週間後〜数年後)。 |
| その他 | かつては他の病気と間違われることもあったが、現在では独立した病気として認識されている。1980年代に米国でPTSDの研究が進み、日本では阪神・淡路大震災や東日本大震災以降に関心が高まった。早期の診断と適切な治療で回復可能。 |
主な症状

心的外傷後ストレス障害(ピーティーエスディー)の主な兆候は、大きく三つの種類に分けられます。一つ目は『再体験』です。これは、過去のつらい出来事を、まるで今まさに起きているかのようにありありと思い出すことです。急に悪夢を見る、特定の場所や状況で過去の記憶が走馬灯のようによみがえるといった形で現れます。突然、激しい恐怖や不安に襲われることもあります。まるで過去の出来事を再び体験しているかのような感覚に陥り、息苦しさやめまい、吐き気などを伴うこともあります。
二つ目は『回避』です。思い出したくない記憶を呼び起こすような場所、人、状況を避けようとする行動です。例えば、事故が起きた場所の近くを通ることができなくなったり、災害に関する知らせを見聞きすることができなくなったりします。また、感情が麻痺したような状態になり、喜びや悲しみを感じにくくなることもあります。人と会うことや外出を避けるようになり、社会的に孤立してしまう場合もあります。
三つ目は『過覚醒』です。常に緊張や不安な気持ちが強く、ちょっとした刺激にも過剰に反応してしまう状態です。寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりするなど、睡眠に問題が生じます。集中力が低下し、仕事や学業に支障が出ることもあります。また、イライラしやすくなったり、怒りっぽくなったりするなど、感情のコントロールが難しくなることもあります。これらの兆候が一か月以上続き、日常生活に大きな影響を与えている場合、心的外傷後ストレス障害と診断されます。兆候の現れ方や程度には個人差があり、時間が経ってから兆候が現れることもあります。つらい出来事を経験した後、このような兆候が見られる場合は、早めに専門家に相談することが大切です。
| PTSDの主な兆候 | 具体的な症状 |
|---|---|
| 再体験 |
|
| 回避 |
|
| 過覚醒 |
|
誰にでも起こりうる

「誰にでも起こりうる」とは、まさに心的外傷後ストレス障害(PTSD)の本質を突いています。PTSDは、特別な人だけが罹る病気ではなく、強い衝撃を伴う出来事を経験した誰にでも起こりうる可能性のあるものです。大きな災害や事故、恐ろしい犯罪に巻き込まれるといった直接的な体験はもちろんのこと、身近な人の突然の別れ、重い病気、あるいは勤め先を失うといった生活上の変化も、PTSDの引き金となることがあります。
子どもたちも例外ではありません。心無いいじめや、虐待、育児放棄(ネグレクト)といった、幼い心に深い傷を負わせる経験は、子どもたちの健やかな成長を阻害し、PTSDを引き起こす要因となり得ます。
また、災害や事故の現場で人々を救うために働く救助隊員や医療従事者も、PTSDのリスクに晒されています。彼らは、常に極限状態の中で活動し、凄惨な現場を目の当たりにすることで、二次的にPTSDを発症する可能性が高いのです。命を救うために最前線で働く人々を守るための支援体制の充実が急務です。
PTSDは決して特別な病気ではないということを、まず理解することが重要です。そして、もしも自分自身が、あるいは周りの人々がPTSDの兆候を示していると感じたら、一人で悩みを抱え込まずに、専門機関や相談窓口に助けを求めることが大切です。早期に適切な支援を受けることで、症状の悪化を防ぎ、回復への道を歩むことができるのです。

治療と回復

災害を経験すると、心身に大きな負担がかかり、心的外傷後ストレス障害(心的外傷後ストレスしょうがい、以下、PTSDと略します)を発症することがあります。PTSDは、強い恐怖や無力感を伴う出来事を経験したり、目撃したりすることで、心が深く傷つき、様々なこころやからだの反応が出てしまう状態です。PTSDの治療には、主に、心の専門家による対話療法と、薬による治療法があります。
対話療法では、経験したつらい出来事について、専門家と話をしながら、少しずつ心の整理をしていきます。自分の気持ちを言葉にすることで、混乱した感情が整理され、気持ちが楽になることがあります。また、出来事を客観的に見つめ直すことで、その出来事に対する感じ方が変わり、症状が軽くなることもあります。
薬による治療では、抗うつ薬や抗不安薬などを使って、PTSDの症状を和らげます。つらい気持ちや不安な気持ちを抑えたり、眠れないなどの症状を改善したりする効果が期待できます。
治療にかかる期間や方法は、症状の重さや一人ひとりの状況によって様々です。すぐに効果が現れる場合もあれば、時間をかけてゆっくりと回復していく場合もあります。焦らず、自分のペースで回復していくことが大切です。
PTSDの回復には、周りの人の理解と支えも重要です。温かい言葉をかけてもらったり、話を聞いてもらったりするだけでも、大きな力になります。また、日常生活の中で、自分の心と体の状態に気を配ることも大切です。ゆっくり休む時間を作ったり、好きなことをしたり、家族や友人と過ごしたりするなど、自分にとって心地よいことを積極的に行うようにしましょう。周りの人に相談したり、専門家の支援を受けたりすることも、回復への助けとなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| PTSDとは | 強い恐怖や無力感を伴う出来事を経験・目撃することで、心が深く傷つき、様々な心身の反応が出てしまう状態 |
| PTSDの治療法 | 主に、心の専門家による対話療法と、薬による治療法 |
| 対話療法 | 専門家と話をしながら、経験したつらい出来事について心の整理をしていく。気持ちを言葉にすることで感情が整理され、気持ちが楽になる。出来事を客観的に見つめ直すことで、感じ方が変わり、症状が軽くなる。 |
| 薬物療法 | 抗うつ薬や抗不安薬を使いPTSDの症状を和らげる。つらい気持ちや不安な気持ちを抑え、眠れないなどの症状を改善する効果あり。 |
| 治療期間 | 症状の重さや一人ひとりの状況によって様々。すぐに効果が現れる場合もあれば、時間をかけて回復していく場合もある。 |
| 回復のために | 周りの人の理解と支え、心身のケア、休息、好きなこと、家族や友人との時間、専門家への相談などが重要。 |
周りの人の支え

災害を経験すると、心身に深い傷を負うことがあります。中には、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症する人もいます。もし、あなたの身近な人がPTSDの症状で苦しんでいるなら、どのように接すれば良いのでしょうか。何よりも大切なのは、温かく寄り添い、じっくりと話を聞いてあげることです。決して過去のつらい出来事について無理に話させたり、「頑張って」「元気出して」などと励ましたりしてはいけません。つらい経験を思い出すこと自体が苦痛となる場合もありますし、励ましの言葉はかえってプレッシャーを与えてしまう可能性があります。まずは、相手の話に耳を傾け、つらい気持ちを受け止め、共感する姿勢を示すことが重要です。
相手のペースを尊重することも大切です。焦って回復を促したり、急かしたりするのではなく、ゆっくりと時間をかけて回復を見守りましょう。日常生活の中でできる具体的なサポートとしては、家事や買い物を手伝ったり、一緒に散歩やお茶をするなど、リラックスできる時間を共有するのも良いでしょう。また、相手の好きなことや趣味に付き合うことも、気分転換になり、心の負担を軽減することに繋がります。症状がなかなか良くならない場合や、日常生活に支障が出ている場合は、専門家への相談を勧めてみましょう。精神科医や臨床心理士、カウンセラーなどの専門家は、適切な助言や治療を提供してくれます。地域の相談窓口や精神保健福祉センターなどに連絡してみるのも良いでしょう。家族や友人に相談することも、支えとなります。PTSDは、適切な治療と周りの人の支えによって、回復することができる病気です。一人で抱え込まずに、相談できる人を見つけ、専門家の助けを求めることが大切です。そして、回復には時間がかかることを理解し、焦らずに見守ることが重要です。
| 状況 | 対応 | 注意点 |
|---|---|---|
| 身近な人がPTSDの症状で苦しんでいる | 温かく寄り添い、じっくり話を聞く。家事や買い物を手伝う。一緒に散歩やお茶をする。好きなことや趣味に付き合う。専門家への相談を勧める。 | 過去のつらい出来事について無理に話させない。「頑張って」「元気出して」などと励まさない。焦って回復を促したり、急かしたりしない。 |
| 症状がなかなか良くならない、日常生活に支障が出ている | 精神科医、臨床心理士、カウンセラーなどの専門家への相談を勧める。地域の相談窓口や精神保健福祉センターなどに連絡する。家族や友人に相談する。 | 一人で抱え込まず、相談できる人を見つけ、専門家の助けを求める。回復には時間がかかることを理解し、焦らずに見守る。 |
