S波:地震の揺れの正体

S波:地震の揺れの正体

防災を知りたい

先生、地震の揺れってS波っていうのが主要動を起こすんですよね?よくわからないので教えてください。

防災アドバイザー

そうだね。S波は主要動の原因となる重要な波だよ。地震の揺れにはP波とS波の二種類があると思っていい。P波は縦波で、S波は横波と覚えておこう。S波はねじれ波とも呼ばれていて、固体の中を伝わる時に、波が進む向きと直角の方向に揺れるんだ。

防災を知りたい

進む向きと直角に揺れるっていうのが、よくわからないです。

防災アドバイザー

縄跳びを想像してみよう。縄跳びを地面に置いて、片方の端を上下に動かすと波ができるよね?波は縄跳びに沿って進んでいくけど、縄自体は上下に動いている。これがS波の動きと同じだよ。S波は、P波よりも遅く到達するけど、揺れが大きくて、建物を壊してしまうほどの力を持っているんだ。

S波とは。

地震など災害に関係する言葉「S波」について説明します。S波は「ねじれ波」とも呼ばれ、固いものを伝わる波です。この波は、伝わる方向に対して垂直に振動する性質があります。地震の際、S波は岩盤の中を毎秒3~4キロメートルほどの速さで進み、小さな揺れである初期微動を起こすP波の後に到着します。そして、主要動と呼ばれる大きな揺れを引き起こします。

地震波の種類

地震波の種類

地震が発生すると、大地を様々な波が伝わり、揺れを起こします。これらの波を地震波と呼び、地震波は大きく分けて実体波と表面波の二種類に分けられます。

まず、実体波は地球の内部を伝わる波です。実体波はさらに二種類に分類されます。一つはP波と呼ばれる波です。P波は別名、縦波と呼ばれ、波の伝わる方向と同じ方向に地面が振動します。音波と似た性質を持ち、地震波の中で最も速く伝わるため、最初に観測されます。小さな揺れを感じたり、物がカタカタと音を立てるのは、多くの場合、P波によるものです。もう一つはS波と呼ばれる波です。S波は別名、横波と呼ばれ、波の伝わる方向と垂直に地面が振動します。P波より速度は遅く、P波の後に到達します。S波は横方向に大きく揺れるため、P波よりも強い揺れを感じます。

次に、表面波は地球の表面に沿って伝わる波です。実体波よりも遅い速度で伝わりますが、大きな揺れを引き起こす特徴があります。表面波には、レイリー波とラブ波の二種類があります。レイリー波は、地面を上下に揺らしながら、波の進行方向と同じ向きに回転するように伝わります。海上の波に似ており、ゆっくりとした大きな揺れを起こします。ラブ波は、地面を水平方向に揺らし、レイリー波よりも少し速く伝わります。これらの表面波は、建物の倒壊などの被害をもたらす主要な原因となります。

このように、地震波には様々な種類があり、それぞれ異なる性質を持っています。これらの波の性質を理解することで、地震による被害を軽減するための対策を講じることが可能になります。

地震波の種類

S波の特徴

S波の特徴

地震の揺れには、P波とS波という2種類の波があります。このうちS波は、ねじれ波とも呼ばれ、固体の中だけを伝わるという性質を持っています。これは、S波が伝える揺れの向きに理由があります。S波は、波の進む向きに対して垂直方向、つまり横方向に地面を揺さぶります。固体は、形を保とうとする力を持っているため、この横揺れを伝えることができます。しかし、液体や気体は形を保つ力が弱いため、横揺れを伝えることができず、S波は伝わりません。

S波は、地震発生後、P波に続いて到達します。その速度は、岩盤中でおよそ秒速3~4キロメートルほどで、P波より遅く、体感できる主要動と呼ばれる大きな揺れを引き起こします。一方、P波は初期微動と呼ばれる小さな揺れを起こします。主要動は、建物や構造物に大きな被害をもたらすことが多く、S波は地震被害の主な原因と言えます。S波が主要動を起こすまでの時間は、震源からの距離に比例します。つまり、震源から遠い場所ほど、S波到達までの時間、すなわちP波とS波の間の時間間隔が長くなります。このため、初期微動が長く続けば続くほど、大きな揺れが来ると予測できます。緊急地震速報はこの原理を利用して、強い揺れが来る前に警告を発しています。また、S波の速度は、伝わる物質の硬さや密度によって変化します。このため、S波の伝わる速度を分析することで、地下の構造を調べる手がかりにもなります。

項目 内容
波の種類 S波(ねじれ波)
伝わる物質 固体のみ
揺れの向き 波の進行方向に対して垂直方向(横方向)
速度 秒速3~4km(P波より遅い)
揺れの大きさ 主要動(体感できる大きな揺れ)
被害 地震被害の主な原因
P波との関係 P波に続いて到達
到達までの時間 震源からの距離に比例
緊急地震速報 P波とS波の時間差を利用
その他 速度は物質の硬さや密度によって変化
地下構造調査の手がかり

S波による揺れ

S波による揺れ

地震の揺れには大きく分けて2つの波があり、初期微動を起こすP波と、主要動と呼ばれる大きな揺れを起こすS波があります。このうちS波は、地面を水平方向に揺らす性質を持っています。P波に続いてやってくるS波は、私たちの体に感じる揺れのうち、物が横に大きく揺さぶられるような、まさに主要動と呼ばれる大きな揺れを起こします。

S波による揺れは、地面を水平方向に振動させるため、建物や橋などの構造物にねじれの力を加えます。この力は、建物の大きさや形、材質、そして建てられた時の設計などによって、構造物に様々な影響を与えます。小さな揺れでは、壁にひびが入る程度の被害で済む場合もありますが、大きな揺れの場合、建物の倒壊や橋の崩落といった甚大な被害につながることもあります。

特に、高層建築物や長大橋などは、S波の揺れと建物の固有周期が一致し、共振と呼ばれる現象を起こしやすいという特徴があります。共振が起こると、揺れは何倍にも増幅され、建物にかかる力はさらに大きくなります。そのため、高層建築物や長大橋などの設計には、S波による揺れへの対策、つまり耐震設計が非常に重要になります。

地震が発生した際には、気象庁から緊急地震速報が発表されます。この緊急地震速報は、初期微動であるP波を検知して、主要動であるS波が到達するまでの数秒から数十秒の間に、身を守るための行動をとるよう促すためのものです。S波が到達するまでの短い時間ではありますが、机の下に隠れる、火を消す、出口を確保するなど、適切な行動をとることで、被害を軽減することにつながります。ですから、緊急地震速報を正しく理解し、日頃から地震への備えをしておくことが大切です。

地震波の種類 特徴 被害 対策
P波 (初期微動) 小さな揺れ 軽微 緊急地震速報の発令に利用
S波 (主要動) 大きな揺れ、地面を水平方向に揺らす、ねじれの力 建物倒壊、橋崩落、高層建築物・長大橋は共振現象により被害拡大 耐震設計、緊急地震速報受信時の適切な行動

地震への備え

地震への備え

日本は地震の多い国土であり、いつどこで大きな地震に遭遇するかわかりません。大切な命を守るため、日頃からの備えが重要です。

まず、家の中の安全対策として、家具の固定を徹底しましょう。タンスや食器棚など、倒れると危険な家具は、専用の器具を使って壁や天井に固定することで、転倒を防ぎ、けがのリスクを減らすことができます。また、寝室には重いものを置かないように心がけ、就寝時は枕元に懐中電灯を備えておきましょう。

次に、避難経路の確認も欠かせません。自宅周辺の地図を確認し、安全な避難場所や経路を把握しておきましょう。家族で避難場所や集合場所を決めておくことも大切です。定期的に家族で避難訓練を行うことで、いざという時に落ち着いて行動できます。

非常持ち出し袋の準備も重要です。数日間生活できるだけの水や食料、懐中電灯、ラジオ、救急用品など、必要な物資を詰めておき、すぐに持ち出せる場所に保管しましょう。定期的に中身を確認し、古くなったものは交換するようにしましょう。

地震発生時には、まず自分の身を守ることが最優先です。初期微動と呼ばれる小さな揺れを感じたら、すぐに安全な場所に移動しましょう。テーブルの下にもぐり、頭や体を守ることが大切です。揺れがおさまるまでは、むやみに外に出ないようにしましょう。また、津波の発生が予想される coastal 地域では、すぐに高台に避難することが重要です。

揺れがおさまった後は、周囲の状況を確認し、二次災害に注意しましょう。火災が発生していないか、建物が倒壊していないかなどを確認し、安全な場所に移動しましょう。また、余震にも警戒し、安全な場所に待機しましょう。

日頃からの備えと、冷静な行動が、地震による被害を最小限に抑えることに繋がります。一人ひとりが防災意識を高め、安全な暮らしを築きましょう。

対策 内容
家の中の安全対策 家具の固定(タンス、食器棚など)、寝室に重いものを置かない、枕元に懐中電灯を備える
避難経路の確認 自宅周辺の地図で安全な避難場所や経路を確認、家族で避難場所や集合場所を決める、定期的に家族で避難訓練を行う
非常持ち出し袋の準備 数日間生活できるだけの水や食料、懐中電灯、ラジオ、救急用品などを用意し、すぐに持ち出せる場所に保管、定期的に中身を確認し、古くなったものは交換
地震発生時の行動 初期微動を感じたら安全な場所に移動(テーブルの下にもぐり頭や体を守る)、揺れがおさまるまではむやみに外に出ない、津波発生予想地域では高台に避難
揺れがおさまった後の行動 周囲の状況を確認、二次災害(火災、建物倒壊など)に注意、安全な場所に移動、余震に警戒

S波の利用

S波の利用

地震の揺れには大きく分けて2種類あります。初期微動と呼ばれる小さく速い揺れを起こすP波と、主要動と呼ばれる大きく遅い揺れを起こすS波です。このうちS波は、固体の中だけを伝わる性質を持っています。このS波の性質を利用することで、様々な分野で役立っています。

まず、S波は地球の内部構造の調査に役立っています。地球の内部は、地殻、マントル、核という層構造になっています。それぞれの層の境界面にS波が当たると、反射したり屈折したりします。S波が地球内部を伝わる速さや、反射、屈折する様子を詳しく調べることで、地球内部の物質の状態や構造を推定することができます。例えば、S波が液体の中を伝わらないという性質を利用すると、地球の外核が液体であることを確認できます。これは、S波が外核を通過しないことから明らかになっています。

また、S波は地下資源の探査にも利用されています。石油や天然ガスなどの地下資源は、特定の地層に存在しています。人工的に発生させたS波を地下に送り込み、その反射波を地表で観測することで、地下の地層構造を詳細に把握することができます。S波の伝わる速さや反射の様子から、地下資源の存在する可能性が高い場所を特定することが可能になります。石油探査の現場では、S波を用いた探査技術が広く活用され、地下資源の開発に大きく貢献しています。

このように、S波は地震災害を引き起こす原因となる一方で、地球内部の構造を解明する科学的な研究や、地下資源の開発といった分野にも役立っています。災害をもたらす側面と、科学技術の発展に貢献する側面、この両面を理解することで、S波に対するより深い知識を持つことができます。

S波の性質 利用分野 活用例
固体の中だけを伝わる 地球内部構造の調査 S波が外核を通過しないことから、外核が液体であることを確認
液体の中を伝わらない 地球内部構造の調査 層の境界面での反射・屈折の様子から、地球内部の物質の状態や構造を推定
固体の中を伝わる 地下資源の探査 人工的に発生させたS波の反射波を観測し、地下の地層構造を把握、地下資源の存在場所を特定