地震動:揺れの周期と影響
防災を知りたい
先生、地震動について教えてください。地震の揺れのことだと思うのですが、詳しく説明してもらえますか?
防災アドバイザー
そうだね。地震動は、地面の揺れそのものを指す言葉だよ。地震が起きた時に、地震波が地面に伝わって揺れるでしょ?その揺れのことを地震動というんだ。 ただ揺れと言っても、いろいろな揺れ方があるんだよ。
防災を知りたい
いろいろな揺れ方があるというのはどういうことですか?
防災アドバイザー
たとえば、ゆっくりとした大きな揺れもあれば、小刻みな速い揺れもある。地面が横に揺れる場合もあれば、縦に揺れる場合もあるよね。地震動は、揺れの周期(揺れが1往復するのにかかる時間)や、揺れの大きさ(変位や速度、加速度)、揺れの向きなど、様々な視点から分析されるんだ。周期が長い揺れは遠くまで伝わりやすいといった特徴もあるんだよ。
地震動とは。
地震による揺れを表す言葉に『地震動』というものがあります。地震動とは、地震の波が伝わって地面が揺れることです。地震の揺れを振動として捉えた考え方で、揺れの周期によって6種類に分けられます。一般的に、周期が長い揺れほど弱まりにくく、長い時間をかけて遠くまで伝わります。また、地面が硬いほど周期の短い揺れを伝えやすい性質があります。揺れの大きさや傾き具合を見る場合には、変位や震度、速度、加速度といった言葉が使われます。
地震動とは
地震動とは、地震によって引き起こされる地面の揺れのことを指します。地下深くで断層が急激にずれ動くことで、莫大なエネルギーが解放されます。このエネルギーは、地震波と呼ばれる波動の形で、震源からあらゆる方向へ伝わっていきます。この地震波が地表に到達すると、地面が揺れ始めます。これが私たちが地震動として感じる揺れです。
地震動は、単に地面が揺れるだけの現象ではありません。その揺れの大きさや揺れ方によって、建物や構造物、そして私たち人間や自然環境に様々な影響を及ぼします。小さな揺れでは物が倒れる程度で済むかもしれませんが、大きな揺れになると、建物が倒壊したり、地盤が液状化したり、山崩れや津波といった二次災害を引き起こす可能性があります。
地震動の揺れ方は、震源からの距離、地震の規模(マグニチュード)、地盤の性質など、様々な要因によって変化します。震源に近いほど揺れは大きくなり、マグニチュードが大きいほど揺れの範囲が広くなります。また、柔らかい地盤は硬い地盤に比べて揺れが増幅されやすい性質があります。
地震動の特性を理解することは、防災上非常に重要です。揺れの大きさや揺れ方を予測することで、建物の耐震設計に役立てたり、地震発生時の適切な行動を事前に決めておくことができます。また、地震による被害を軽減するための対策を講じる上でも、地震動の特性を理解することは欠かせません。地震はいつどこで発生するか予測できないからこそ、日頃から地震動について学び、備えをしておくことが大切です。
地震動の周期
地震の揺れは、周期という尺度で測ることができます。この周期とは、揺れが一度行って戻ってくるまでにかかる時間で、揺れの速さを表す重要な要素です。地震の揺れは単一の周期ではなく、短い周期から長い周期まで様々な周期の揺れが複雑に組み合わさって発生します。そして、建物の高さによって、共振しやすい周期が異なるため、同じ地震でも揺れ方は大きく変わります。
例えば、高層ビルのように背の高い建物は、地震の揺れのうち、周期の長いゆっくりとした揺れに共振しやすいため、大きく揺れます。一方、戸建て住宅のような低い建物は、周期の短い速い揺れに共振しやすいため、小刻みに揺れます。地震が起きた時、高層ビルの上層階で大きく揺れを感じるのはこのためです。同じ地震でも、場所や建物によって揺れ方が異なるのは、地盤の特性や建物の構造、そして地震波の周期が複雑に影響し合っているからです。
地震の規模が大きいほど、周期の長い揺れが強くなります。また、震源からの距離が遠いほど、高周波の短い周期の揺れは減衰しやすく、長周期の揺れが伝わりやすい傾向があります。さらに、地盤が柔らかいほど、地震波は増幅されやすく、周期も長くなるため、揺れが大きくなりやすいです。
このように、地震の揺れは周期という概念で理解することで、建物の耐震設計や防災対策に役立てることができます。建物の固有周期を把握し、地震波の周期による影響を予測することで、被害を最小限に抑える対策を講じることが可能になります。
建物の種類 | 共振しやすい揺れの周期 | 揺れ方 |
---|---|---|
高層ビル | 長い周期 | 大きくゆっくりと揺れる |
戸建て住宅 | 短い周期 | 小刻みに揺れる |
地震の規模 | 震源からの距離 | 地盤 | 揺れの周期への影響 |
---|---|---|---|
大きい | – | – | 長周期の揺れが強い |
– | 遠い | – | 長周期の揺れが伝わりやすい |
– | – | 柔らかい | 揺れが増幅されやすく、周期が長くなる |
周期による分類
地震の揺れは、その周期(揺れが一往復するのにかかる時間)によって、建物の被害状況や人間の体感に大きな違いをもたらします。地震の揺れは大きく六つの周期に分類され、それぞれ異なる特徴を持っています。
まず、周期0.1秒未満の揺れを超短周期地震動と呼びます。これは非常に速い揺れであり、体感としてはそれほど大きく感じない場合もあります。
次に、周期0.1秒から0.5秒の揺れは短周期地震動と呼ばれ、ガタガタとした小刻みな揺れとして感じられます。食器棚の中の食器が音を立てたり、棚から物が落ちたりするなど、比較的小さなものが揺れて被害が生じやすい周期帯です。
周期0.5秒から1秒はやや短周期地震動です。短周期地震動と同様、小刻みな揺れですが、家具の移動や転倒などが起こる可能性があります。
周期1秒から2秒の揺れは中周期地震動と呼ばれます。この周期帯では、木造家屋などの中低層の建物に被害が出やすくなります。
周期2秒から5秒の揺れはやや長周期地震動です。ゆっくりとした大きな揺れであり、高層ビルの上層階ほど大きく揺れるのが特徴です。高層ビルでは家具の転倒や窓ガラスの破損といった被害が想定されます。
最後に、周期5秒以上の揺れは長周期地震動です。これは非常にゆっくりとした大きな揺れであり、遠くまで伝わりやすい性質を持っています。震源から遠く離れた場所でも被害が発生する可能性があり、高層ビルだけでなく、石油タンクのスロッシング現象(タンク内の液体が大きく揺れる現象)を引き起こすこともあります。このように、地震の周期によって揺れの性質や被害状況が大きく異なるため、建物の設計や防災対策においては、それぞれの周期帯の揺れに対する対策を講じることが重要となります。
周期 | 名称 | 体感 | 被害状況 |
---|---|---|---|
0.1秒未満 | 超短周期地震動 | それほど大きく感じない | – |
0.1秒~0.5秒 | 短周期地震動 | ガタガタとした小刻みな揺れ | 食器棚の中の食器が揺れる、棚から物が落ちる |
0.5秒~1秒 | やや短周期地震動 | 小刻みな揺れ | 家具の移動や転倒 |
1秒~2秒 | 中周期地震動 | – | 木造家屋などの中低層の建物に被害 |
2秒~5秒 | やや長周期地震動 | ゆっくりとした大きな揺れ | 高層ビルの上層階ほど大きく揺れ、家具の転倒や窓ガラスの破損 |
5秒以上 | 長周期地震動 | 非常にゆっくりとした大きな揺れ | 遠くまで伝わり、高層ビルや石油タンクのスロッシング現象 |
地盤との関係
地震による大地の揺れ、すなわち地震動は、伝わる地盤の性質によって大きく変化します。硬い地盤と柔らかい地盤では、地震動の伝わり方が異なるため、同じ地震でも場所によって揺れの大きさが変わるのです。
まず、岩盤などの硬い地盤を考えてみましょう。硬い地盤は、周期が短い地震動、つまり小刻みな揺れを伝えやすい性質があります。これは、硬い地盤が地震のエネルギーを効率よく伝え、速い速度で揺れを伝播させるためです。このような短周期の揺れは、背の低い建物、例えば木造家屋や低層の集合住宅などに大きな影響を与えます。家屋が揺れと共振しやすく、損傷が大きくなる可能性があるのです。
一方、埋め立て地や干拓地のような柔らかい地盤では、周期が長い地震動、つまりゆったりとした大きな揺れを伝えやすい性質があります。柔らかい地盤は、地震のエネルギーを吸収しやすく、揺れの速度が遅くなるため、長周期の揺れが増幅されるのです。このような長周期の揺れは、高層ビルや長大橋などの高い構造物に大きな影響を与えます。高層ビルが大きく揺さぶられ、家具の転倒や壁のひび割れといった被害だけでなく、場合によっては建物の倒壊につながる危険性も高まります。
このように、地盤の種類によって地震動の伝わり方が大きく異なるため、建物を設計・建築する際には、その土地の地盤特性を十分に調査し、適切な耐震対策を施すことが非常に重要です。地盤と建物の固有周期を考慮することで、地震による被害を最小限に抑えることができるのです。
地盤の種類 | 揺れの周期 | 影響を受けやすい建物 | 被害の特徴 |
---|---|---|---|
硬い地盤 (岩盤など) | 短い (小刻みな揺れ) | 木造家屋、低層の集合住宅 | 家屋との共振による損傷 |
柔らかい地盤 (埋め立て地、干拓地など) | 長い (ゆったりとした大きな揺れ) | 高層ビル、長大橋 | 大きく揺さぶられ、家具転倒、壁のひび割れ、建物の倒壊 |
地震動の大きさ
地震の揺れの大きさを知ることは、建物を安全に設計したり、災害への備えを考える上でとても大切です。地震の揺れは様々な尺度で測られますが、主なものを見ていきましょう。
まず、地面がどれくらい動いたかを表すのが変位です。これは地震によって地面が本来の位置からどれくらいずれたかを示すもので、センチメートルやメートルといった単位で表されます。次に、地面が動く速さを表すのが速度です。これは、一秒間にどれくらいの速さで地面が動いているかを示し、メートル毎秒といった単位で表されます。そして、速度の変化を表すのが加速度です。これは、地面の動く速さがどれくらい早く変化しているかを示すもので、ガルやメートル毎秒毎秒といった単位で表されます。建物は加速度が大きいほど大きな力を受けるため、建物の耐震設計では加速度が特に重要な指標となります。
これらの指標に加えて、ある地点での地震の揺れの強さを示すのが震度です。日本では気象庁震度階級を用いて、0から7までの10段階で表します。震度0は揺れを感じないことを、震度7は揺れによる被害が甚大であることを示します。震度は、人々が揺れをどのように感じたか、あるいは周りの物や建物にどのような変化があったかといった観測に基づいて決められます。機器による計測値とは異なり、人の感覚や周囲の状況による判断が含まれるため、震度は必ずしも客観的な指標ではありません。しかし、地震発生直後に速報として伝えられ、被害状況の把握に役立つ情報です。
変位、速度、加速度といった物理的な指標と、体感や周囲の状況から判断される震度。これらの指標を理解することで、地震の揺れの大きさを多角的に捉えることができ、より適切な防災対策を講じることが可能になります。
指標 | 説明 | 単位 | 備考 |
---|---|---|---|
変位 | 地面が本来の位置からどれだけずれたか | センチメートル、メートル | |
速度 | 地面が動く速さ | メートル毎秒 | |
加速度 | 地面の動く速さの変化 | ガル、メートル毎秒毎秒 | 建物の耐震設計で特に重要 |
震度 | ある地点での地震の揺れの強さ | 0~7の10段階(気象庁震度階級) | 体感や周囲の状況から判断、客観的な指標ではないが被害状況の把握に役立つ |