災害時の備え:要配慮者への支援

災害時の備え:要配慮者への支援

防災を知りたい

先生、「要配慮者」ってよく聞くんですけど、一体どんな人のことを指すんですか?

防災アドバイザー

良い質問だね。災害時に自分で自分の身を守る行動をとるのが難しかったり、避難所で生活する必要のある人のことだよ。例えば、高齢の方や障がいのある方、病気の方などがそうだね。

防災を知りたい

なるほど。つまり、災害時に助けが必要な人たちのことですね。具体的にどんな支援が必要なんですか?

防災アドバイザー

そうだね。避難の案内や、避難場所での生活支援、医療的なケアなど、状況に応じて様々な支援が必要になる。そのため、普段から地域で見守ったり、支援方法を考えておくことが大切なんだよ。

要配慮者とは。

災害にまつわる言葉で「要配慮者」というものがあります。以前は「災害時要援護者」と呼ばれていましたが、平成25年の災害対策基本法の改正によって、「要配慮者」と「避難行動要支援者」の二つの言葉に分けられ、それぞれのはっきりとした意味が定められました。この「要配慮者」とは、災害が起こった時に、必要な情報を素早く正しく理解したり、自分の身を守るために安全な場所に避難したりといった、一連の行動をとるのが難しい人のことです。たとえば、家を失って避難所で暮らす人も含まれます。

要配慮者とは

要配慮者とは

災害時要配慮者とは、大地震や洪水などの災害が起こった際に、自分自身の力で安全を確保することが難しい人々のことを指します。具体的には、お年寄りや体の不自由な方、まだ幼い赤ちゃん、お腹に赤ちゃんがいる妊婦さん、日本語がわからない外国人、そして認知症の方などが該当します。

こうした方々は、災害に関する情報を得ることや避難場所まで移動することが難しかったり、避難所での生活を送る際に特別な手助けが必要となることがあります。例えば、お年寄りは足腰が弱っていたり持病を抱えている方も多く、自力での避難が困難な場合があります。また、体の不自由な方は、避難経路に段差や階段があった場合に移動に苦労するかもしれません。乳幼児や妊産婦さんは、粉ミルクやオムツ、衛生用品など特別な物資が必要になります。外国人の方は、日本語での情報が理解できず、適切な行動が取れない可能性があります。認知症の方は、状況の把握が難しく、混乱してしまうかもしれません。

平成25年の災害対策基本法の改正によって、「要配慮者」と「避難行動要支援者」に分けられ、それぞれ誰を指すのかがより明確になりました。災害が起きた時に、すぐに必要な支援を届けることができるように、地域社会全体でこれらの要配慮者がどこに誰がいるのかを把握し、普段から適切な支援体制を作っておくことが重要になります。災害が起きる前の準備こそが、災害発生時の混乱を防ぎ、一人でも多くの命を守ることに繋がるのです。また、要配慮者自身も、ご近所の方や地域の人々に自分の状況を伝えておき、必要な支援について事前に相談しておくことが大切です。

災害時要配慮者 具体的な例 災害時の困難 必要な支援
高齢者 足腰が弱い、持病がある 自力での避難困難 避難の介助、健康管理
体の不自由な方 車椅子利用者など 段差や階段での移動困難 バリアフリーな避難経路の確保、移動支援
乳幼児 特別な物資が必要 粉ミルク、オムツ、衛生用品の提供
妊産婦 特別な物資、ケアが必要 衛生用品、妊婦服、医療ケア
外国人 日本語がわからない 情報理解の困難、適切な行動困難 多言語情報提供、通訳支援
認知症の方 状況把握困難、混乱 見守り、情報伝達、安全確保

避難行動要支援者への個別支援

避難行動要支援者への個別支援

災害時には、自力で避難することが難しい方々への手助けが欠かせません。このような避難行動要支援者には、お年寄りや体の不自由な方、赤ちゃん、妊婦さん、日本語が分からない方、認知症の方など、様々な方が含まれます。それぞれが置かれている状況は違いますので、一人ひとりに合わせた支援計画を作ることが大切です。

例えば、車いすを使っている方の場合は、避難する道の段差をなくしたり、坂道を登る際に手伝ったりする必要があります。また、避難場所にも車いすで入れるトイレなどの設備が必要です。目の見えない方の場合は、音声で情報を伝えたり、避難の際に付き添って誘導したりする必要があります。点字で書かれた案内板や触って分かる地図も役に立ちます。耳の聞こえない方の場合は、文字で書いたものを見せたり、手話で伝えたり、テレビの画面に字幕を付けるなどして情報を伝えることが重要です。日本語が分からない方には、その方の言葉で情報を伝えたり、通訳の人を付ける必要があります。

このように、避難行動要支援者一人ひとりの状況を把握し、必要な支援をあらかじめ考えておくことが大切です。地域の人々が協力し合い、一人でも多くの方々が安全に避難できるような仕組みを作っていく必要があります。日頃から、近所のお年寄りや体の不自由な方などに声をかけて、困っていることはないか、災害時にどのような支援が必要かを確認しておくことも重要です。また、防災訓練に参加して、実際に避難することで、それぞれの課題や必要な支援が見えてきます。行政も、様々な状況にある方々への支援体制をしっかりと整え、誰もが安心して暮らせる地域づくりを進める必要があります。

避難行動要支援者 必要な支援 備え
車いす利用者 段差解消、坂道での介助、車いす対応トイレ 避難経路のバリアフリー化、車いす対応設備の設置
視覚障害者 音声情報提供、誘導、点字案内板、触地図 音声案内システムの整備、点字・触地図の設置
聴覚障害者 文字情報提供、手話通訳、テレビ字幕 筆談用具の用意、手話通訳者の確保、字幕放送の活用
日本語が分からない方 多言語情報提供、通訳 多言語翻訳システムの導入、通訳ボランティアの育成
高齢者・認知症の方 個別支援計画作成、見守り、声かけ 地域の見守り体制の構築、個別の避難計画作成
妊婦 体調に配慮した支援、休息場所の確保 妊婦への配慮事項の周知、休息場所の設置
乳幼児 ミルク・おむつなどの物資提供、安全な避難場所の確保 乳幼児用品の備蓄、安全な避難場所の確保

地域社会による支え

地域社会による支え

災害から地域を守るには、そこに住む人々全体で協力することが何よりも大切です。特に、災害時に一人で避難することが難しい方々、例えば、お年寄りや体の不自由な方、病気の方などは、周りの助けがなければ危険な状況に陥ってしまいます。ですから、地域の人々が日頃からお互いの顔と名前を知り、暮らしぶりを理解しておくことが重要になります。

例えば、一人暮らしのお年寄りの家には、近所の人が時々訪ねて様子を伺ったり、普段から連絡を取り合うことで、異変に早く気付くことができます。また、災害が起こった際に安否を確認する方法を決めておくことも大切です。電話や近所の人同士で声を掛け合うなど、すぐに安否が分かる仕組みを作っておきましょう。

地域で防災訓練を行う際は、お年寄りや体の不自由な方にも参加しやすいように工夫することが重要です。避難場所までの移動手段を確保したり、必要な支援について事前に相談しておくことで、災害時の対応力を高めることができます。また、普段から行政、地域の人々、自主防災組織、民生委員などが協力し、助けが必要な方を地域全体で支える仕組みを作っておくことで、災害時の被害を少なくすることができます。

災害に強い地域を作るには、日頃から地域の人々がお互いに交流し、助け合う気持ちを育むことが大切です。祭りやイベントなどを通して交流を深めたり、困っている人がいたら進んで手を差し伸べることで、地域の繋がりを強くすることができます。普段から地域に根ざした活動をすることで、災害時にもスムーズに助け合うことができます。また、地域の特性を活かした防災対策を考えることも重要です。例えば、近くに川がある地域では水害対策を、地震が多い地域では建物の耐震化を進めるなど、地域に合った対策を行うことで、災害への備えをより確かなものにすることができます。

災害に強い地域を作るための要素 具体的な行動 関係者
日頃からの交流と助け合いの精神
  • 顔と名前を知り、暮らしぶりを理解する
  • 一人暮らしのお年寄りの様子を伺う
  • 普段から連絡を取り合う
  • 安否確認の方法を決めておく
  • 祭りやイベントなどで交流を深める
  • 困っている人に手を差し伸べる
地域住民全体
災害時要支援者への配慮
  • 避難場所までの移動手段の確保
  • 必要な支援について事前に相談
  • 防災訓練への参加を促し、支援体制を整える
地域住民、行政、自主防災組織、民生委員
地域特性を活かした防災対策
  • 地域に合った対策(水害対策、耐震化など)
地域住民、行政、専門家
多様な主体による連携
  • 行政、地域住民、自主防災組織、民生委員などの協力
  • 助けが必要な方を地域全体で支える仕組みづくり
行政、地域住民、自主防災組織、民生委員

情報の伝達

情報の伝達

災害が起こったとき、確かな情報を速やかに伝えることは大変重要です。特に、配慮が必要な人々にとっては、情報を得られるかどうかが生死を分ける大きな違いを生むこともあります。ですから、様々な方法で情報を伝え、配慮が必要な人々にも確実に情報が届くように工夫しなければなりません。

まず、様々な情報を伝える手段を組み合わせることで、より確実に情報を伝えることができます。例えば、防災無線、緊急速報メール、テレビ、ラジオ、インターネット、広報車など、色々な手段を同時に使うことで、より多くの人に情報が届く可能性が高まります。

次に、高齢者や体の不自由な方など、情報機器の操作が難しい方々への配慮も欠かせません。このような方々に対しては、地域に住む人々や民生委員などが情報を伝えたり、生活を支えるための体制を整える必要があります。顔なじみの近所の人や、普段から地域で見守っている人からの声掛けは、情報伝達だけでなく安心感を与える上でも大変有効です。

さらに、言葉が異なる人々への情報提供も大切です。外国から来た人々が多く住む地域では、様々な言語で情報を発信することで、災害時の混乱を防ぎ、速やかに避難行動を取れるように促すことができます。言葉が通じないという不安を取り除き、適切な行動に繋げるためには、多言語対応は必要不可欠です。

このように、災害時の情報伝達は、様々な状況に合わせてきめ細やかな対応が求められます。情報を確実に届けることで、被害を少しでも減らし、人々の命を守ることに繋がります。

対象者 情報伝達手段 支援方法
一般住民 防災無線、緊急速報メール、テレビ、ラジオ、インターネット、広報車など 様々な手段を組み合わせることで、より多くの人に情報を届ける
高齢者、体の不自由な方 地域住民、民生委員による口頭での情報伝達 地域住民、民生委員による生活支援、声掛けによる安心感の提供
言葉が異なる人々 多言語での情報発信 多言語対応による不安の軽減、適切な避難行動の促進

避難所の環境整備

避難所の環境整備

災害発生時、避難所は被災者にとって安全な場所であるべきです。特に、乳幼児、高齢者、障がい者、病気を持つ方など、配慮を必要とする方々にとっては、避難所の環境が適切でなければ、健康状態の悪化や精神的な負担の増大につながる可能性があります。そのため、要配慮者の様々なニーズに合わせた環境整備が欠かせません。

まず、プライバシーの確保は重要です。避難所では多くの人が共同生活を送るため、個人の空間を確保することが難しく、精神的なストレスを感じやすい状況です。間仕切りやカーテンなどを活用し、一人ひとりのプライベート空間を確保することで、安心感を与えるとともに、落ち着いた休息を促すことができます。

次に、バリアフリー化も必要です。高齢者や障がいを持つ方にとって、段差や狭い通路は大きな障害となります。車いすでも移動しやすいよう、スロープを設置したり、通路の幅を広く確保するなど、移動の負担を軽減する対策が必要です。また、多機能トイレの設置も重要です。

さらに、衛生管理も徹底しなければなりません。感染症の発生を防ぐため、トイレや洗面所の清掃・消毒をこまめに行うとともに、ゴミの適切な処理を行う必要があります。また、食中毒予防のため、食品の衛生管理にも注意を払い、安全な食事を提供することが重要です。

その他にも、乳幼児連れの家族のために授乳スペースやおむつ交換台を設置したり、アレルギーを持つ方のために除去食などの対応を検討するなど、多様なニーズに応える必要があります。また、医療ニーズへの対応として、医師や看護師と連携し、必要な医療を提供できる体制を事前に整えておくことも大切です。これらの配慮を事前に検討し、避難所運営マニュアルを作成・共有することで、円滑な避難所運営につながります。災害時に適切な対応ができるよう、日頃から準備を整えておくことが大切です。

配慮事項 具体的な対策 対象者
プライバシーの確保 間仕切りやカーテンの活用による個人空間の確保 全員、特に精神的にストレスを感じやすい方
バリアフリー化 スロープの設置、通路幅の確保、多機能トイレの設置 高齢者、障がい者
衛生管理 トイレ・洗面所の清掃・消毒、ゴミの適切な処理、食品の衛生管理 全員
乳幼児への配慮 授乳スペース、おむつ交換台の設置 乳幼児連れの家族
アレルギー対応 除去食などの提供 アレルギーを持つ方
医療ニーズへの対応 医師・看護師との連携、医療提供体制の整備 病気を持つ方など、医療を必要とする方