退避の基礎知識:災害から身を守る
防災を知りたい
先生、「退避」って避難とどう違うんですか?どちらも危険な場所から逃げることですよね?
防災アドバイザー
いい質問だね。確かにどちらも危険から逃れるための行動だけど、避難は危険な場所から安全な場所へ移動すること。退避は危険が及ばない場所に一時的に身を寄せることだよ。避難はより遠くへ移動するイメージで、退避は近くの安全な場所に移動するイメージかな。
防災を知りたい
なるほど。東海村の事故の時の屋内退避は、家の中に留まることでしたよね?それも退避なんですか?
防災アドバイザー
その通り。家の外に出ると危険だけど、家の中にいれば安全な場合、家の中に留まることも退避になるんだ。家の外は危険だけど、一時的に家の中にいれば安全が確保できる場合もあるからね。
退避とは。
災害を防いだり、災害から身を守るために使う言葉に「退避」があります。危険から逃げるという意味で、原子力災害の時には、避難計画の一部として考えられています。例えば、東海村で臨界事故が起こったときには、事故現場から10キロメートル県内の住民は、家にこもるように指示されました。
退避とは
退避とは、身の危険を感じた際に、安全な場所へ移動する行動のことです。危険には様々な種類がありますが、自然災害はもちろん、火災や事故、事件なども含まれます。危険が迫っている、あるいは既に発生している状況において、迅速かつ的確に退避を行うことで、命を守ることができます。
退避には、大きく分けて屋内退避と屋外退避の二種類があります。屋内退避とは、自宅や頑丈な建物など、屋内に留まって危険が去るのを待つ方法です。例えば、地震の際は、丈夫な机の下に隠れる、火災の際は、煙を吸い込まないように低い姿勢で移動する、といった行動が挙げられます。屋内退避を行う際は、窓ガラスの破片による怪我を防ぐために、窓から離れた場所に移動することが重要です。また、窓ガラスに飛散防止フィルムを貼ったり、カーテンを閉めたりするなどの対策も効果的です。
一方、屋外退避とは、危険な場所から離れ、指定された避難場所やより安全な屋外へ移動する方法です。例えば、津波や洪水が発生した場合、高台や避難ビルへ避難する、土砂災害の危険性がある場合は、指定された避難場所へ移動する、といった行動が挙げられます。屋外退避を行う際は、避難経路や集合場所を事前に確認しておくことが不可欠です。また、非常持ち出し袋を準備し、いつでも持ち出せるようにしておきましょう。持ち出し袋には、水や食料、懐中電灯、救急用品など、必要最低限の物資を入れておきます。さらに、徒歩での移動を想定し、動きやすい服装と靴を身につけることも大切です。
近年の災害は、規模が大きく広範囲に及ぶ傾向があるため、日頃から様々な災害を想定し、状況に応じた適切な退避行動を取れるように準備しておくことが重要です。家族や地域で避難訓練に参加したり、ハザードマップを確認したりすることで、いざという時に冷静に行動できるよう備えましょう。
退避の種類 | 説明 | 例 | 注意点 |
---|---|---|---|
屋内退避 | 自宅や頑丈な建物など、屋内に留まって危険が去るのを待つ。 | 地震:丈夫な机の下に隠れる 火災:煙を吸い込まないように低い姿勢で移動する |
窓ガラスから離れる、飛散防止フィルム、カーテンを閉める |
屋外退避 | 危険な場所から離れ、指定された避難場所やより安全な屋外へ移動する。 | 津波・洪水:高台や避難ビルへ避難する 土砂災害:指定された避難場所へ移動する |
避難経路・集合場所の確認、非常持ち出し袋の準備、動きやすい服装と靴 |
退避の必要性
災害は、いつ、どこで発生するか予測できません。地震、津波、台風、洪水、火山噴火など、様々な災害が私たちの暮らしを脅かしています。こうした災害から命を守るために最も大切な行動の一つが「退避」です。退避とは、危険な場所から安全な場所へ移動することで、災害による被害から身を守ることができます。
災害の種類によって、退避すべき場所やタイミングは異なります。例えば、地震が発生した場合は、まずは身の安全を確保し、揺れがおさまってから、津波の恐れがあれば高い場所や指定された避難場所へ退避します。台風や洪水の場合は、浸水のおそれがある地域から早めに避難することが重要です。火山噴火の場合は、噴石や火山灰、溶岩流から身を守るため、風向きなどを考慮して安全な場所へ避難する必要があります。
日頃からハザードマップを確認し、自宅周辺の危険な場所や安全な場所、避難場所への経路などを把握しておくことが大切です。また、災害発生時の情報収集手段も確認しておきましょう。携帯電話やラジオ、地域の情報板など、複数の情報源から情報を得られるようにしておくと安心です。
退避は、自分自身を守るだけでなく、周りの人々を守る行動にもつながります。特に、高齢者や障害のある方、乳幼児など、支援が必要な人がいる場合は、周りの人が協力して安全な場所へ退避する必要があります。地域住民同士で協力体制を築き、助け合える関係を築いておくことも重要です。平時からの備えが、災害発生時の生死を分けるといっても言い過ぎではありません。普段から災害への心構えを持ち、適切な行動をとることで、被害を最小限に抑え、安全を確保しましょう。
災害の種類 | 退避場所 | タイミング |
---|---|---|
地震 | 高い場所、指定避難場所 | 揺れがおさまってから、津波の恐れがあれば |
津波 | 高い場所、指定避難場所 | 津波警報・注意報発令時 |
台風 | 浸水のおそれがない場所、指定避難場所 | 浸水のおそれがある場合、早めに |
洪水 | 浸水のおそれがない場所、指定避難場所 | 浸水のおそれがある場合、早めに |
火山噴火 | 噴石、火山灰、溶岩流が届かない安全な場所 | 噴火警報・予報発令時 |
平時の備え |
---|
ハザードマップの確認(危険な場所、安全な場所、避難場所への経路) |
情報収集手段の確認(携帯電話、ラジオ、地域の情報板など) |
地域住民同士の協力体制の構築 |
退避の種類
災害から命を守るためには、状況に合わせた適切な退避行動が重要です。退避には大きく分けて、屋内退避と屋外退避の二種類があります。それぞれの退避方法の特徴と、どのような災害時に有効なのかを理解しておきましょう。
屋内退避とは、頑丈な建物の中に留まり、危険が去るまで待つ方法です。家や職場、学校など、普段生活している場所が退避場所となります。地震の揺れによる建物の倒壊や落下物、爆風などから身を守ることができます。屋内退避を行う際は、窓ガラスから離れたり、机の下に隠れたりするなど、安全な場所に身を置くことが大切です。ただし、建物自体が危険な状態にある場合は、屋内退避は適切ではありません。建物の損傷が激しい場合や、火災が発生した場合などは、状況に応じて屋外退避が必要となることもあります。
一方、屋外退避とは、危険な場所から速やかに離れ、あらかじめ指定された避難場所や安全な場所へ移動する方法です。津波や洪水、土砂災害、大規模な火災など、広範囲に影響が及ぶ災害時に有効な手段です。屋外退避を行う際は、ハザードマップで確認した避難場所や、地域で定められた安全な場所へ迅速に移動することが重要です。また、避難する際は、持ち物や服装にも注意が必要です。貴重品や必要な物資を入れた非常持ち出し袋を持ち、動きやすい服装と靴を着用しましょう。周りの人と協力し合い、安全に避難場所まで移動することが大切です。
どの退避方法を選択するかは、発生した災害の種類や規模、自分のいる場所の状況によって異なります。例えば、津波警報が発令された場合は、速やかに高台や避難ビルへ屋外退避する必要があります。また、地震が発生し、建物が倒壊する危険性がある場合は、屋内退避ではなく屋外退避を選択する必要があるでしょう。日頃から、ハザードマップを確認し、自宅や職場周辺の危険な場所や避難場所を確認しておくことが大切です。また、家族や職場の人と避難方法について話し合っておくことも重要です。いざという時に、落ち着いて適切な行動をとれるよう、災害の種類に応じた退避方法を理解し、日頃から備えを万全にしておくようにしましょう。
退避方法 | 説明 | 有効な災害 | 注意点 |
---|---|---|---|
屋内退避 | 頑丈な建物の中に留まり、危険が去るまで待つ。 | 地震の揺れ、建物の倒壊、落下物、爆風 | 建物自体が危険な状態(損傷が激しい、火災発生など)の場合は屋外退避が必要 |
屋外退避 | 危険な場所から速やかに離れ、避難場所や安全な場所へ移動する。 | 津波、洪水、土砂災害、大規模な火災 | ハザードマップで避難場所を確認、持ち物(非常持ち出し袋)、服装(動きやすい服装と靴)に注意 |
具体的な事例
東海村で一九九九年に起きた原子力事故では、核分裂の連鎖反応が制御できなくなり、放射性物質が外部に漏れ出す事態となりました。この事故により、周辺に住む人々には屋内退避の指示が出されました。放射性物質から身を守るため、住民は家の中に留まり、窓を閉めて換気を控えるよう指導を受けました。外に洗濯物を干すことも控えるよう呼びかけられ、この屋内退避は数日間続きました。この事故は、原子力災害において屋内退避がいかに重要かを示す具体的な例となりました。
二〇〇一年に起きたアメリカ同時多発テロでは、世界貿易センタービルに旅客機が衝突し、崩壊しました。この時、多くの人がビルの倒壊や煙による被害を避けるため、屋外への退避を余儀なくされました。建物の崩壊や火災の危険から逃れるため、人々は近くの公園や広場など、安全な場所へ避難しました。しかし、混乱の中、適切な避難場所の情報が得られず、多くの人が逃げ惑う事態となりました。この事例は、大規模災害時における情報伝達と避難誘導の重要性を浮き彫りにしました。
二〇一一年に起きた東日本大震災では、巨大地震による大津波が発生し、沿岸部の多くの地域が浸水しました。この未曾有の大災害においても、屋外退避は多くの人命を救う上で重要な役割を果たしました。津波の襲来を予測した住民は、高台や避難ビルへと避難し、難を逃れました。しかし、津波の規模があまりにも大きく、避難場所が不足したり、情報伝達の遅れが生じたりするなど、様々な課題も明らかになりました。これらの事例は、災害の種類や状況に応じて適切な退避方法を選択することの重要性を示しています。同時に、平時からの情報収集や避難訓練、非常持ち出し袋の準備など、日頃から災害に備えておくことの大切さを教えています。災害はいつ起こるか分かりません。平時からの備えこそが、私たちの命を守る鍵となるのです。
災害 | 発生年 | 退避の種類 | 退避の理由 | 課題/教訓 |
---|---|---|---|---|
東海村原子力事故 | 1999年 | 屋内退避 | 放射性物質の漏洩 | 原子力災害における屋内退避の重要性を示す |
アメリカ同時多発テロ | 2001年 | 屋外退避 | ビルの崩壊、煙による被害 | 情報伝達と避難誘導の重要性を浮き彫りにした |
東日本大震災 | 2011年 | 屋外退避 | 巨大地震による津波 | 避難場所の不足、情報伝達の遅れなどの課題を明らかにした |
まとめ
災害から命を守る大切な行動、それが退避です。退避には大きく分けて屋内退避と屋外退避があり、発生した災害の種類やその時々の状況に応じて適切な方を選ぶ必要があります。
まず、屋内退避とは、頑丈な建物の中に留まり安全を確保する方法です。地震や竜巻などが発生した場合、屋内に留まることで、落下物や強風から身を守ることができます。家の中でも、より安全な場所を把握しておくことが大切です。例えば、地震の際は、机の下に隠れる、窓ガラスから離れるといった行動が必要です。竜巻の場合は、家の中で最も強度が高いとされる部屋、もしくは地下室などに避難すると良いでしょう。
次に、屋外退避とは、危険な場所から安全な場所に移動する方法です。津波や洪水、土砂災害などが発生した場合、一刻も早く高台や指定された避難場所へ移動する必要があります。ハザードマップで自宅周辺の危険な区域を確認し、安全な避難場所や経路を日頃から確認しておくことが重要です。
日頃からの備えこそが、いざという時に適切な行動をとる鍵となります。ハザードマップで自宅周辺の危険な場所を確認しておくだけでなく、避難経路や避難場所も調べておきましょう。非常持ち出し袋には、水や食料、懐中電灯、ラジオ、救急用品など、最低3日間生き延びられる物資を準備しておきましょう。家族や地域住民と日頃からコミュニケーションを取り、災害発生時の連絡方法や役割分担などを話し合い、協力し合える関係を築いておくことも大切です。行政機関が発信する避難情報や災害情報に常に注意を払い、的確な判断と迅速な行動を心がけましょう。災害はいつ起こるか分かりません。だからこそ、日頃からの備えと、適切な退避行動を理解しておくことが、自分自身と大切な人の命を守るために不可欠です。
退避の種類 | 災害の種類 | 具体的な行動 | 日頃の備え |
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屋内退避 | 地震、竜巻 |
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屋外退避 | 津波、洪水、土砂災害 | 高台や指定された避難場所へ移動 |
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