命を守る緊急安全確保とは

命を守る緊急安全確保とは

防災を知りたい

先生、「緊急安全確保」って、避難勧告とか避難指示と何が違うんですか? 似たような言葉がたくさんあって混乱しちゃいます。

防災アドバイザー

そうだね、混乱するのも無理はないよ。緊急安全確保は、もうすでに災害が発生しているか、まさに発生しようとしている、とても危険な状況で発令されるんだよ。避難場所に行くことさえ危険な場合に、近くの少しでも安全な場所に移動することを促すための情報なんだ。

防災を知りたい

つまり、避難場所に行くよりも、家の中で安全な場所に移動したり、近くの頑丈な建物に逃げ込んだりする方が良い場合に発令されるんですね。

防災アドバイザー

その通り! 避難勧告や避難指示は、まだ安全に避難できるうちに避難場所へ行くことを促すものだけど、緊急安全確保は、もうすでに避難が難しいほど切羽詰まった状況で、少しでも身の安全を確保するための行動を促すものなんだ。だから、レベル5の避難情報の中で一番切迫度が高いんだよ。

緊急安全確保とは。

災害が起きた時や起きそうな時に使う言葉「緊急安全確保」について説明します。災害が起きていたり、今にも起きそうで、避難場所などへ逃げるのがかえって危険な状態の時があります。そういう時に、まだ危険な場所にいる人に対して、市町村の長が、家などから避難するのではなく、その場で安全を確保するように、特に強く呼びかけたい場合があります。そのような場合に、市町村の長が必要だと認めた地域に住む必要だと認めた人に対して出すのが、危険度レベル5の避難情報である「緊急安全確保」です。

緊急安全確保の目的

緊急安全確保の目的

緊急安全確保は、まさに今、災害が発生しようとしている、あるいは既に発生しているという差し迫った状況で発令されます。この時、指定された避難場所など、普段は安全だと思われている場所へ移動することが、かえって命を危険にさらす可能性がある場合に適用されます。

例えば、土砂災害警戒区域において急激な斜面の崩壊の兆候が見られた場合を考えてみましょう。亀裂の発生や小規模な崩落、異様な音などが確認された際に、屋外に避難しようとすると、土砂に巻き込まれる危険があります。また、大雨による洪水で既に道路が冠水し、避難経路が遮断されている状況も同様です。無理に水の中を進もうとすれば、流される、あるいは水没する危険があります。さらに、地震発生直後に津波警報が発令された場合、海岸沿いの地域では津波の襲来が間近に迫っており、避難場所まで移動する時間がない可能性があります。このような状況では、屋外の避難場所を目指すよりも、自宅や近くの頑丈な建物にとどまる、あるいは屋内のより安全な場所に移動する、例えば、高い階へ上がる、崖から離れた部屋へ移動するなど、緊急的に身の安全を確保する行動が最優先事項となります。

緊急安全確保は、住民に対して避難行動の変更を促し、差し迫った危険から命を守るための最終手段です。発令された場合は、直ちに周囲の状況を確認し、屋内や近くの最も安全な場所に留まる、または屋内のより安全な場所へ移動するなど、迅速かつ的確な行動をとる必要があります。これは決して避難を諦めることを意味するものではなく、生き残るための最善の選択をすることを意味します。日頃からハザードマップや避難場所の確認、非常持ち出し袋の準備など、いざという時のための備えを怠らないことが重要です。

緊急安全確保と避難勧告の違い

緊急安全確保と避難勧告の違い

災害発生時は、自治体から様々な情報が発信されますが、その中でも「緊急安全確保」と「避難勧告」は混同しやすい情報です。どちらも危険が迫っていることを伝えるものですが、その切迫度と取るべき行動が大きく異なります。理解を深め、適切な行動につなげることが生死を分ける可能性もあります。

従来、「避難勧告」は、災害の危険が迫っている状況下で、住民に避難場所への移動を促す情報でした。しかし、「緊急安全確保」は、避難勧告よりもさらに切迫した状況で発令されます。具体的には、既に土砂崩れや洪水が発生し、避難経路が寸断されている、または寸断される危険性が非常に高い場合など、避難場所への移動が危険な状況です。この場合、屋内や近隣の頑丈な建物の上階など、今いる場所で安全を確保することが最優先されます。「避難勧告」は、安全な場所に移動することを促すものですが、「緊急安全確保」は、今いる場所で最も安全な行動をとるように促すものと言えます。

「緊急安全確保」が発令された場合、無理に避難場所へ向かうのは大変危険です。既に屋外が危険な状態になっている可能性が高いため、屋内で少しでも安全な場所に移動する、または近隣の頑丈な建物に避難するなどの行動が必要です。例えば、浸水のおそれがある場合は、建物の高い階へ移動したり、土砂災害のおそれがある場合は、家の反対側の部屋へ移動したりするなど、状況に応じて適切な行動をとる必要があります。

「避難勧告」と「緊急安全確保」は、どちらも住民の安全を守るための重要な情報です。それぞれの意味と取るべき行動の違いを正しく理解し、自治体からの情報に注意を払い、落ち着いて行動することが大切です。日頃からハザードマップを確認し、自宅周辺の危険箇所や避難場所、安全な場所などを把握しておくことで、いざという時に適切な判断ができます。

項目 緊急安全確保 避難勧告
危険度 非常に切迫している (災害発生中、避難困難) 切迫している (災害発生の危険性が高い)
取るべき行動 今いる場所で安全確保 (屋内、近隣の頑丈な建物の上階など) 安全な場所への避難
発令タイミング 土砂崩れ・洪水発生時など、避難経路が寸断されている、または寸断の危険性が高い場合 災害の危険が迫っている状況
目的 命を守るための最終手段 安全な場所への移動

緊急安全確保発令時の行動

緊急安全確保発令時の行動

緊急安全確保は、災害が差し迫っていることを知らせる非常に重要な情報です。この情報が発表されたときは、生き残るために最も安全な行動を迅速に判断し、実行しなければなりません。決して慌てふためいてはいけません。冷静さを保ち、まずは自分の置かれている場所の状況を把握することが大切です。

自宅にいる場合は、直ちに屋内の安全な場所を探してください2階以上の高い階に移動することで、浸水による被害から身を守ることができます。ただし、津波の危険がある沿岸部では、さらに高い建物への避難が必要となる場合もあります。土砂災害の危険がある地域では、斜面から離れた部屋に移動することが重要です。また、窓ガラスや家具の倒壊による怪我を防ぐため、窓から離れ、頑丈な机の下などに隠れるなどの対策も有効です。

既に屋外にいる場合は、近くの頑丈な建物や高い場所に避難しましょう。鉄筋コンクリート造りの建物や、津波避難ビルなどの指定された避難場所が安全です。また、崖や川の近くは大変危険です。速やかにその場を離れ、安全な場所を探してください。近くに安全な建物がない場合は、少しでも高い場所、例えば頑丈な電柱や樹木につかまるなどして、身の安全を確保してください。

常にラジオ、テレビ、インターネットなどで最新の災害情報を入手し、状況の変化に注意を払い続けましょう。携帯電話の災害情報サービスを活用することも有効です。市町村や都道府県などの行政機関からの指示や情報には、必ず従ってください。状況に応じて、避難場所や避難方法が変更される場合もあります。情報を常に確認し、冷静に、かつ迅速に行動することが、あなたの命を守ることに繋がります。

場所 状況 行動
自宅(屋内) 緊急安全確保発令時
  • 屋内の安全な場所を探す
  • 2階以上の高い階へ移動(浸水対策)
  • 津波危険地域:より高い建物へ避難
  • 土砂災害危険地域:斜面から離れた部屋へ移動
  • 窓から離れ、頑丈な机の下などに隠れる
屋外 緊急安全確保発令時
  • 近くの頑丈な建物や高い場所へ避難
  • 鉄筋コンクリート造りの建物、津波避難ビル等へ避難
  • 崖や川の近くから速やかに離れる
  • 安全な建物がない場合、少しでも高い場所(電柱、樹木など)につかまる
共通 緊急安全確保発令時
  • ラジオ、テレビ、インターネット、携帯電話等で最新情報を入手
  • 行政機関の指示に従う
  • 状況に応じて避難場所・避難方法が変更される場合があるので、常に情報を確認

日頃の備えの重要性

日頃の備えの重要性

災害は、いつどこで起こるかわかりません。突然の出来事に直面した時、落ち着いて行動するためには、日頃からの備えが何よりも大切です。まずは、自分の住む地域にどんな危険が潜んでいるのかを知ることから始めましょう。各自治体が発行しているハザードマップを活用すれば、自宅周辺で起こりうる水害や土砂災害などの危険性を把握できます。洪水の場合、浸水の深さや範囲が一目でわかり、土砂災害では、土砂崩れやがけ崩れの危険地域を確認できます。ハザードマップで危険性を認識したら、緊急時の避難場所やそこまでの安全な経路を家族で話し合い、共有しておきましょう。いざという時、慌てずに避難するためには、避難場所への経路を実際に歩いて確認しておくことも有効です。また、非常持ち出し袋の準備も欠かせません。懐中電灯、携帯ラジオ、予備の電池、食料、水、救急用品など、最低3日分の物資を備蓄しておきましょう。食料は、缶詰や乾パンなど、調理せずに食べられるものが適しています。飲料水は、一人あたり1日3リットルを目安に用意しましょう。これらの非常持ち出し袋の中身は、定期的に点検し、古いものや不足しているものを補充することが大切です。さらに、地域住民との連携も、防災において重要な役割を果たします。日頃から地域防災訓練に積極的に参加し、避難訓練や応急救護の方法を身につけておくことは、いざという時に大きな力になります。また、近所の人と普段から挨拶を交わしたり、連絡先を交換したりすることで、緊急時に助け合える関係を築きましょう。顔見知りであれば、避難する際に声を掛け合ったり、困っている人に手を差し伸べたりすることができます。これらの日頃からの備えが、あなた自身や大切な家族の命を守り、災害による被害を最小限に抑えることに繋がるのです。

防災対策 具体的な行動 目的
危険の把握 ハザードマップを活用し、自宅周辺の水害、土砂災害リスクを確認 災害発生時の被害想定を理解
避難計画 避難場所、安全な経路を家族で共有、実際に歩いて確認 迅速で安全な避難
非常持ち出し袋 懐中電灯、ラジオ、電池、食料、水、救急用品(3日分)を準備、定期点検・補充 避難生活の初期対応
地域連携 地域防災訓練参加、避難訓練・応急救護を習得、近所との関係構築 地域での助け合い、被害軽減

情報の入手方法

情報の入手方法

災害発生時は、正しい情報を迅速に入手することが、あなたの命を守る上で非常に重要です。市町村は様々な方法で緊急情報を発信していますので、複数の情報源を確保し、普段から確認しておくことが大切です。

古くから利用されている情報伝達手段として、防災無線があります。屋外にいる際に緊急情報を聞くことができますが、聞き逃してしまう可能性もあるため、他の手段も併用することが重要です。地域の情報伝達システムも、地域住民へ迅速に情報を伝える手段として有効です。

テレビやラジオも重要な情報源です。緊急放送は、災害発生時に速やかに情報を入手できる手段として有効です。普段から緊急放送に切り替わる周波数を確認しておきましょう。

近年では、携帯電話やスマートフォンが情報入手手段の中心になりつつあります。市町村が提供する防災アプリやメールサービスに登録しておけば、避難情報や災害状況をリアルタイムで入手できます。これらのサービスは、プッシュ通知機能により、情報を直接受信できるため、見逃す可能性を低減できます。また、自治体のホームページや防災情報ポータルサイトも重要な情報源です。これらのウェブサイトでは、災害に関する様々な情報が掲載されているため、定期的に確認し、最新の災害情報や避難場所、支援情報などを把握しておくことが重要です。

情報入手手段を複数持っておくことは、災害時における情報収集の確実性を高めるだけでなく、特定の手段が利用できない場合の代替手段を確保することにも繋がります。様々な情報源を普段から確認し、緊急時に備えましょう。

情報伝達手段 メリット デメリット 備考
防災無線 屋外で情報入手可能 聞き逃す可能性あり 他の手段と併用が重要
地域情報伝達システム 地域住民へ迅速に情報伝達
テレビ・ラジオ 緊急放送で速やかな情報入手 緊急放送の周波数を事前に確認
携帯電話・スマートフォン(防災アプリ・メールサービス) リアルタイムの情報入手、プッシュ通知で確実な受信 事前登録が必要
自治体ホームページ・防災情報ポータルサイト 様々な情報が掲載 定期的な確認が必要