物語で病気を理解する:NBMとは

物語で病気を理解する:NBMとは

防災を知りたい

先生、NBMってEBMとどう違うんですか?どちらも医療の略語ですよね?

防災アドバイザー

そうだね、どちらも医療に関する用語だね。EBMは『根拠に基づいた医療』で、科学的なデータや研究結果を重視する考え方だよ。一方、NBMは『物語に基づいた医療』で、患者さんが語る病気の体験や気持ちを重視するんだ。

防災を知りたい

なるほど。つまり、EBMはデータ重視、NBMは患者さんの気持ち重視ってことですね。でも、患者さんの気持ちって医療に関係あるんですか?

防災アドバイザー

もちろん関係あるよ。患者さんの気持ちや背景を理解することで、より適切な治療方法を見つけたり、患者さんが安心して治療を受けられるようになったりするんだ。NBMはEBMを補うもので、患者さん中心の医療を実現するために大切なんだよ。

NBMとは。

災害と防災に関係する言葉「NBM」について説明します。「NBM」とは、物語という意味の Narrative から来ており、患者さんが語るそれぞれの体験談から病気の背景を理解し、抱えている問題に全体的な方法で取り組もうとする医療のやり方のことです。NBMの特徴として、第一に患者さんが語る病気の体験談にしっかりと耳を傾け、それを大切にすること。第二に患者さんにとって、科学的な説明だけが唯一の真実ではないことを理解すること。そして第三に患者さんが語る体験談を共有し、そこから新しい物語が生まれることを重視することが挙げられます。科学的根拠に基づく医療「EBM」が重視されている現代において、NBMはEBMを補足するものであり、互いに相反する考え方ではありません。

物語医学の登場

物語医学の登場

近年の医療現場では、確かな証拠に基づく治療法が重視されています。これは、科学的な研究結果から得られたデータをもとに、最も効果的で安全な治療法を選択するという考え方です。しかし、このような科学的な医療だけで全てが解決するわけではありません。同じ病気であっても、患者一人ひとりの生活や考え方、感じ方は違います。このような一人ひとりの違いを大切にする新しい医療の形として、「物語医療」が登場しました。

物語医療は、患者を病気を持った「個」として捉えます。患者はそれぞれの人生を歩んできており、病気になった背景や感じている苦しみも様々です。物語医療では、医師が患者の話をじっくりと聞き、その人の人生や価値観、病気に対する思いを理解しようとします。例えば、仕事に情熱を注いでいる人にとって、病気で働けなくなることは大きな苦しみとなるでしょう。また、家族を支えている人にとって、病気は家族への負担となることを心配するでしょう。このような、数値やデータには表れない、患者それぞれの状況や気持ちを理解することが、物語医療では重要です。

医師が患者の物語に耳を傾けることで、病気の本当の原因や患者が抱える悩みの本質が見えてきます。すると、患者にとって本当に必要な治療やケアが見えてきます。例えば、痛みが強い患者にとって、痛み止めを使うだけでなく、痛みの原因となっている不安やストレスを取り除くことが大切かもしれません。また、病気が治った後も、社会復帰への不安を抱えている患者には、心のケアや社会的な支援が必要となるでしょう。

このように、物語医療は、患者一人ひとりの物語を尊重し、共有することで、より良い医療を実現しようとする試みです。患者中心の医療を実現するためには、科学的な医療と物語医療の両方が必要と言えるでしょう。

医療の種類 考え方 重視する点 治療方針
科学的医療 確かな証拠に基づく治療 科学的データ、研究結果 効果的で安全な治療法の選択
物語医療 患者を「個」として捉える 患者の人生、価値観、病気に対する思い 患者にとって本当に必要な治療とケア

患者の物語に耳を傾ける

患者の物語に耳を傾ける

病気と向き合う人々の話を親身になって聞くことは、医療の大切な柱となります。医師は、患者さんの言葉はもちろん、表情やしぐさからも、病気に対する思いや不安、希望を読み取ろうと努めます。これは、検査結果などの客観的な情報だけでなく、患者さん自身がどのように病気を体験しているかという主観的な情報も大切に扱うということです。

同じ病気であっても、人によって症状の感じ方や病気との向き合い方は大きく違います。ある人は、病気を乗り越えるための試練と考えて、積極的に治療に取り組むかもしれません。一方で、別の誰かは、病気に打ちひしがれ、生きる望みを失ってしまうかもしれません。また、ある人は、痛みを強く感じる一方で、別の誰かは、それほど痛みを感じないかもしれません。同じ病気でも、一人ひとりの感じ方や考え方は様々なのです。

このような一人ひとりの違いを理解するために、医師は患者さんの話にじっくりと耳を傾け、心の中の世界を深く理解しようとします。患者さんがどのような人生を歩んできたのか、どのような価値観を持っているのか、どのような希望や不安を抱えているのか。こうしたことを理解することで、初めてその人に合った適切な医療を提供することができるのです。

例えば、病状の説明をする際にも、患者さんの理解度や希望に合わせて、分かりやすい言葉を選び、丁寧に説明する必要があります。また、治療方針を決める際にも、患者さんの価値観や生活スタイルを尊重し、一緒に考え、相談しながら決めていくことが大切です。患者さんの話をよく聞き、信頼関係を築くことで、より良い医療を提供できるようになります。

医療の柱 内容 具体例
親身な傾聴 患者さんの言葉、表情、しぐさから病気への思い、不安、希望を読み取る。客観的情報だけでなく、主観的な情報も大切に扱う。 患者さんの人生、価値観、希望、不安を理解する。
個別性の尊重 同じ病気でも、症状の感じ方や病気との向き合い方は人それぞれ違うことを理解する。
  • 積極的に治療に取り組む人
  • 病気に打ちひしがれる人
  • 痛みの感じ方が異なる人
適切な説明と治療方針の決定 患者さんの理解度や希望に合わせた説明、価値観や生活スタイルを尊重した治療方針の決定。 病状説明を分かりやすい言葉で行う。治療方針を一緒に考え、相談しながら決める。
信頼関係の構築 患者さんの話をよく聞き、信頼関係を築くことで、より良い医療を提供する。

物語の共有と創造

物語の共有と創造

語り継がれてきた物語には、災害への備えに役立つ知恵が詰まっていることがあります。古くから伝わる昔話や民話、地域の言い伝えの中には、地震や津波、洪水などの災害を経験した先人たちの教訓が込められています。例えば、ある地域に伝わる「大蛇が山を下りてきたら津波が来る」という言い伝えは、山に棲む動物たちが異変を察知して避難する様子から、津波の到来を予兆したものだと考えられます。このような言い伝えを知ることで、自然からのサインに気づき、いち早く避難行動をとることができるかもしれません。

また、過去の災害体験を語り継ぐことも大切です。実際に災害を経験した人たちの証言は、災害の恐ろしさを伝えるだけでなく、生き残るための知恵や工夫を学ぶ貴重な機会となります。被災時の状況、避難場所の確保、食料や水の確保、そして、地域社会の助け合いの様子など、体験に基づいた具体的な情報は、防災意識を高め、適切な行動をとるための助けとなります。

さらに、物語を創作することも防災に役立ちます。地域住民が集まり、地震や洪水などの災害を想定した物語を作ることで、災害発生時の状況を具体的にイメージし、それぞれの役割や避難経路などを確認することができます。子どもたちと一緒に防災絵本を作ることで、楽しみながら防災について学ぶこともできます。また、創作した物語を地域で共有することで、地域全体の防災意識の向上に繋がるでしょう。物語は、過去の災害を学び、未来の災害に備えるための、強力な道具となるのです。

語り継ぐ、共有する、そして新しく創造する。物語を通して、私たちは災害と向き合い、命を守ることができるのです。

方法 内容 効果
語り継ぐ 昔話、民話、言い伝え、体験談などを語り継ぐ 自然からのサインに気づき、避難行動をとる助けとなる。災害の恐ろしさを知り、生き残るための知恵や工夫を学ぶ。
共有する 過去の災害体験を共有する 防災意識を高め、適切な行動をとるための助けとなる。
創造する 地震や洪水などの災害を想定した物語を創作する。防災絵本を作る。 災害発生時の状況を具体的にイメージし、それぞれの役割や避難経路などを確認できる。楽しみながら防災について学ぶことができる。地域全体の防災意識の向上に繋がる。

科学的根拠と物語の調和

科学的根拠と物語の調和

災害への備えは、科学的な知見と、地域に根付いた物語の両方が欠かせません。地震や水害といった災害は、自然の法則に基づいて発生します。そのため、科学的なデータや分析は、災害の予測や対策を立てる上で非常に大切です。例えば、過去の災害記録や地盤の性質を調べることで、危険な場所を特定し、建物の耐震性を高めるといった対策を講じることができます。また、最新の科学技術を用いたシミュレーションは、災害の規模や影響範囲を予測するのに役立ち、避難計画の策定に役立ちます。

しかし、科学的な情報だけでは、真に効果的な防災対策は実現できません。なぜなら、災害は自然現象であると同時に、そこに住む人々の生活や文化と深く関わっているからです。地域に伝わる災害の物語や言い伝えは、過去の災害の記憶を後世に伝えるだけでなく、その土地特有の危険性を示唆していることが少なくありません。「この川は急に増水する」「あの丘は崩れやすい」といった言い伝えは、科学的なデータが不足していた時代から、人々が災害と向き合ってきた知恵の結晶と言えるでしょう。また、地域社会の結びつきの強さや、住民一人ひとりの防災意識の高低も、災害時の被害の大きさを左右する重要な要素です。

科学的な知見と、地域に根付いた物語。この二つを組み合わせることで、より実効性の高い防災対策を構築することができます。例えば、過去の災害記録を分析する際に、地元の古老から聞き取った話を参考にすれば、公式記録には残っていない貴重な情報を得られるかもしれません。また、避難訓練を行う際には、地域に伝わる災害の物語を教材として活用することで、住民の防災意識を高めることができるでしょう。科学的な知見は、客観的な分析や予測を可能にする一方で、地域に伝わる物語は、人々の心に訴えかけ、行動を促す力を持っています。まるで車の両輪のように、この二つをバランスよく活用することで、地域社会の安全・安心を守ることができるのです。

要素 内容 役割 具体例
科学的知見 データ分析 災害予測、対策 過去の災害記録、地盤分析、危険地域特定、耐震性向上
シミュレーション 規模/影響範囲予測 避難計画策定
科学技術
地域に根付いた物語 言い伝え 危険性認識 増水しやすい川、崩れやすい丘
過去の災害の記憶 教訓
地域社会の結びつき、防災意識 被害軽減
両者の連携 過去の記録分析 + 老人の話 公式記録以外の情報入手
避難訓練 + 物語教材 防災意識向上

全人的医療の実現に向けて

全人的医療の実現に向けて

病気は、体だけに起きるものではありません。心の状態や日々の暮らし、周りの人たちとの関わり、これまで歩んできた人生、そういった様々なことが複雑に絡み合って病気を引き起こすことがあります。

全人的医療とは、まさにこのような病気の複雑な成り立ちを理解し、患者さんを体だけでなく、心も、そしてその人を取り巻くあらゆる状況も含めて、まるごと診ていく医療のことです。

従来の医療では、病気の原因を特定し、その原因を取り除くことに重点が置かれてきました。例えば、熱があるなら解熱剤を、細菌がいるなら抗生物質をといった具合です。もちろん、こういった治療は大変重要ですが、患者さん一人ひとりの背景や、病気に対する感じ方、そして人生における価値観などを考慮しなければ、本当にその人にとって良い医療とは言えません

全人的医療では、患者さんの話をじっくりと聞き、その人がどのような人生を歩んできたのか、どのような思いで病気と向き合っているのかを理解しようと努めます。まるで物語を紐解くように、患者さんの人生に触れることで、隠されていた病気の本当の原因や、その人にとって最適な治療法、そしてケアの方法が見えてくるのです。

例えば、同じ腹痛でも、仕事で強いストレスを抱えている人、家族との関係に悩んでいる人、将来に不安を抱えている人では、その痛みの意味や、必要なケアは全く違ってきます。全人的医療では、このような一人ひとりの違いを大切にし、その人らしい生き方を尊重しながら、治療やケアを進めていきます

これからの医療は、病気を治すだけでなく、患者さんが自分らしく、より良く生きていくことを支えるものでなくてはなりません。全人的医療は、そんな医療の未来を照らす、大切な考え方と言えるでしょう。

項目 説明
病気の成り立ち 体だけでなく、心、周りの人との関わり、人生経験など、様々な要因が複雑に絡み合っている。
全人的医療 患者を体、心、置かれた状況を含めてまるごと診る医療。
従来の医療 病気の原因を特定し、取り除くことに重点を置く(例:解熱剤、抗生物質)。患者個人の背景、病気への感じ方、価値観への配慮が不足。
全人的医療の進め方 患者の人生経験や病気への思いを理解しようと努める。隠れた原因、最適な治療法、ケアの方法を見つける。
具体例 同じ腹痛でも、ストレス、家族関係、将来への不安など、背景によって痛みの意味や必要なケアは異なる。
全人的医療の目指すもの 病気を治すだけでなく、患者が自分らしくより良く生きることを支える。