災害に強い栃木県を目指して

災害に強い栃木県を目指して

防災を知りたい

先生、「災害に強いとちぎづくり条例」って、何だか難しそうだけど、簡単に言うとどういうものですか?

防災アドバイザー

そうだね、簡単に言うと、栃木県を災害に強い県にするためのルールブックのようなものだよ。災害の被害をできるだけ少なくして、もし災害が起きても早く復興できるように、みんなで協力して頑張ろうね、っていうことを決めたものなんだ。

防災を知りたい

みんなで協力するって、具体的にはどんなことですか?

防災アドバイザー

「自助」といって、まずは自分で自分の身を守る。それから「互助」で近所の人と助け合う。「共助」で地域や企業が協力し合う。そして「公助」で県や市町村が助けてくれる。この4つが協力して災害に備え、立ち向かうんだよ。

災害に強いとちぎづくり条例とは。

この条例は『災害に強いとちぎづくり条例』という名前で、災害への備えと被害からの立ち直りに関係するものです。災害による被害をできるだけ少なくし、そして素早く元の状態に戻れるようにすることを目指しています。そのために、自分の身は自分で守る『自助』、地域の人たちで助け合う『互助』、関係する団体が協力する『共助』、そして国や県や市町村などの行政による支援『公助』という四つの考え方を大切にしています。この条例は、県民みんなが安心して安全に暮らせるようにするために作られました。栃木県を災害に強い地域にするために、みんなで力を合わせて取り組んでいくためのものです。

条例制定の背景

条例制定の背景

近年、地球の気温上昇が原因とみられる大雨や台風といった自然災害が激しさを増し、頻繁に起こるようになっています。これらの災害は、私たちの暮らしに大きな被害をもたらし、命や財産を失うだけでなく、地域社会の土台を揺るがす深刻な事態を引き起こしています。栃木県も例外ではなく、過去の災害の経験を教訓に、これから起こるかもしれない災害への備えを強くし、被害をできる限り小さくするとともに、素早く立ち直れるようにしなければなりません。

これまで栃木県は、平成16年7月の集中豪雨、平成23年3月の東日本大震災、平成27年9月の関東・東北豪雨など、幾度となく大きな災害に見舞われてきました。これらの災害では、多くの尊い命が失われたほか、家屋や公共施設の損壊、農林水産業への打撃など、甚大な被害が発生し、県民生活に深刻な影響を及ぼしました。また、近年、全国各地で大規模な自然災害が頻発している状況を踏まえ、今後、栃木県においても同規模の災害が発生する可能性を否定できません。

このような状況を踏まえ、県民一人ひとりが災害への意識を高め、自らの力で防災活動に取り組むとともに、地域社会全体で助け合う仕組みを作るため、「災害に強いとちぎづくり条例」が作られました。この条例は、自分の身は自分で守る「自助」、地域住民が互いに助け合う「共助」、行政による救助や支援活動である「公助」、そして被災地以外からの支援である「互助」の精神に基づき、県民、事業者、行政が一体となって災害に強い地域づくりを進めるための土台となるものです。この条例によって、県、市町、事業者、県民それぞれが果たすべき役割を明確化し、防災対策を総合的かつ計画的に推進することで、災害に強い栃木県を築き上げていくことを目指しています。具体的には、災害発生時の情報伝達手段の確保、避難場所の整備、防災訓練の実施、地域防災計画の策定などが定められています。また、条例に基づき、県民一人ひとりが防災意識を高め、自主的な防災活動に取り組むこと、事業者が事業継続計画を策定し、災害発生時にも事業を継続できるよう努めることなどが求められています。

条例制定の背景

条例の目的

条例の目的

この条例は、災害から栃木県に住む人々の命と暮らしを守り、安全な生活を確保するために作られました。災害から身を守るには、県民一人ひとりが災害への意識を高め、災害についての知識を学び、実際にどう行動するかを知ることがとても大切です。 災害に強い栃木県を作るためには、県、市町村、県民、そして事業者それぞれが、自分の役割と責任をしっかり自覚し、力を合わせて災害への備えを進める必要があります。そのため、この条例では、それぞれの役割と責任を明確にしています。

具体的には、災害についての教育や訓練を積極的に行い、いざという時に安全に避難できる仕組みを整え、災害から守るための施設を整備するなど、様々な対策を進めます。 これらの対策は、形のあるもの(ハード)と形のないもの(ソフト)の両面から行います。例えば、避難場所となる体育館などの建物を丈夫にすることはハード面の対策です。また、地域住民が一緒に避難訓練を行うことはソフト面の対策です。ハードとソフト、両方の対策をバランス良く進めることで、災害に強い地域社会を作っていきます。

この条例によって、県民の防災意識の向上、防災知識の普及啓発、そして自主的な防災活動の促進を図ります。 また、県、市町、事業者などが協力して、災害に強いまちづくりを進めることで、被害を最小限に食い止め、速やかな復旧復興を実現します。そして、安全で安心して暮らせる栃木県を目指します。

主体 役割と責任 対策 種類 目標
県民 災害への意識向上、知識習得、行動の理解 教育・訓練参加 ソフト 防災意識向上、
防災知識普及啓発、
自主的な防災活動促進、
被害最小限化、
速やかな復旧復興、
安全安心な暮らし
避難行動 ソフト
県、市町村 安全な避難の仕組みづくり、災害防護施設整備 避難場所整備 ハード
避難訓練実施 ソフト
事業者 (条例に明記なし) (条例に明記なし)
県、市町、事業者 協力して災害に強いまちづくり ハード・ソフト両面 ハード・ソフト

基本理念

基本理念

この条例は、災害から住民の生命、身体、財産を守ることを目的としています。そのために、「自助」「互助」「共助」「公助」という四つの基本理念を掲げ、総合的かつ計画的な防災対策を推進します。

まず「自助」とは、自分自身の命は自分で守るという強い心構えを持つことです。災害はいつどこで起こるか予測できません。だからこそ、日頃から防災意識を高め、非常食や防災用品の備蓄、避難場所や経路の確認など、必要な準備をしておくことが重要です。また、防災訓練に積極的に参加し、災害発生時の行動を実践的に学ぶことも大切です。

次に「互助」とは、地域住民が互いに協力し助け合うことです。災害発生時には、近隣住民同士で安否確認を行い、負傷者の救護や避難支援などを行うことで、被害を最小限に抑えることができます。また、日頃から地域コミュニティに参加し、顔見知りになっておくことも、互助の精神を育む上で重要です。

そして「共助」とは、地域社会全体で協力して防災活動を行うことです。自治会や自主防災組織、ボランティア団体、企業などが連携し、防災計画の策定や訓練の実施、情報共有などに取り組むことで、地域全体の防災力を高めることができます。多様な主体がそれぞれの役割を担い、協力体制を構築することが重要です。

最後に「公助」とは、県や市町などの行政機関が、防災対策を推進し、災害発生時には救助や支援活動を行うことです。行政機関は、災害対策に必要な施設や設備の整備、防災情報の提供、避難所の開設、救助活動、医療支援など、幅広い役割を担っています。住民は、行政機関の取り組みを理解し、協力することで、より効果的な防災活動を実現できます。

この条例に基づき、「自助」「互助」「共助」「公助」の四つの理念がバランスよく機能することで、災害に強いまちづくりを進めていきます。

県民の役割

県民の役割

災害はいつどこで起こるか予測できません。だからこそ、私たち一人ひとりが「自分の身は自分で守る」という意識を持つことが大切です。日頃から災害に備えておくことで、被害を少なくし、命を守ることができます。

まず、自分の住んでいる地域の危険性を把握することが重要です。お住まいの市町村が発行している災害危険箇所マップ(ハザードマップ)を活用し、自宅周辺でどのような災害リスクがあるのか確認しましょう。洪水、土砂崩れ、地震など、それぞれの災害に特有の危険性を理解し、安全な場所や避難経路を確認しておくことが大切です。自宅だけでなく、職場や学校周辺の危険性も確認しておきましょう。

次に、自宅での備えを万全にしましょう。家具の転倒防止対策は必須です。固定器具を使って家具を壁や床にしっかりと固定することで、地震の際の転倒を防ぎ、怪我や逃げ道を塞ぐことを防ぎます。また、非常用持ち出し袋を用意することも大切です。数日間生活できるだけの水や食料、懐中電灯、ラジオ、救急用品など、必要なものを揃え、すぐに持ち出せる場所に保管しておきましょう。定期的に中身を確認し、古くなったものは交換することも忘れずに行いましょう。

地域社会との連携も重要です。地域の防災訓練に積極的に参加し、避難場所への経路や避難の手順を確認しておきましょう。また、近隣住民と日頃からコミュニケーションを取り、災害時の協力体制について話し合っておくことも大切です。顔見知りになっておくことで、いざという時に助け合うことができます。

災害発生時は、正確な情報に基づいて冷静に行動することが重要です。テレビやラジオ、自治体のホームページなどで最新の情報を確認し、デマに惑わされないようにしましょう。また、近隣住民と協力し合い、助けが必要な人を支援することも大切です。一人ひとりができることを行い、地域全体で災害を乗り越えることが、災害に強い地域社会の構築につながります。

災害への備え 具体的な行動
危険性の把握 ハザードマップで自宅、職場、学校周辺の災害リスク(洪水、土砂崩れ、地震など)を確認。安全な場所や避難経路の確認。
自宅での備え 家具の転倒防止対策。非常用持ち出し袋の準備(水、食料、懐中電灯、ラジオ、救急用品など)。定期的な中身の確認と交換。
地域社会との連携 防災訓練への参加。避難場所、避難手順の確認。近隣住民とのコミュニケーション、協力体制の構築。
災害発生時の行動 正確な情報収集(テレビ、ラジオ、自治体HP)。デマに惑わされない。近隣住民との協力、助け合い。

事業者の役割

事業者の役割

災害は、人命や財産に甚大な被害をもたらすだけでなく、企業活動にも深刻な影響を及ぼします。そのため、事業者は従業員とその家族の安全確保はもとより、地域社会全体の安全を守るという重要な役割を担っています。

まず、事業者は災害発生時における事業の継続と早期復旧に向けた取り組みを行う必要があります。具体的には、事業継続計画(BCP)を策定し、定期的に見直しを行うことが重要です。BCPには、災害時の連絡体制や代替拠点の確保、重要データのバックアップ方法などを盛り込む必要があります。また、従業員に対して防災教育や訓練を定期的に実施し、災害発生時の行動を周知徹底することも重要です。

さらに、事業者は地域住民との連携も積極的に行うべきです。地域住民との日頃からの信頼関係の構築は、災害発生時の相互扶助に繋がります。例えば、地域住民と共に防災訓練に参加したり、備蓄物資の一部を提供したりするなど、地域防災に貢献する活動を行うことが重要です。また、自治体や地域の自主防災組織と連携し、地域防災計画の作成にも協力することで、より地域に根差した防災活動を行うことができます。

加えて、自社の事業活動が災害時に地域社会に及ぼす影響についても、事業者は深く考える必要があります。例えば、工場の倒壊や有害物質の流出などが、周辺住民に大きな被害を与える可能性も考慮しなければなりません。平時より、地域住民に自社の事業内容や災害時のリスクについて説明し、理解を得る努力が大切です。そして、災害発生時の被害を最小限に抑えるための対策を講じることは、事業者の責任と言えます。

このように、事業者は「共に助け合う」という精神に基づき、地域社会の防災力の向上に貢献していく必要があります。企業活動を通じて培ってきた知識や技術、資源を地域社会に役立てることで、より安全で安心な社会の実現に貢献できるのです。

災害への対応 具体的な行動
事業継続と早期復旧 ・事業継続計画(BCP)策定と見直し

・BCPへの連絡体制、代替拠点確保、データバックアップ方法等の記載

・従業員への防災教育と訓練の実施、災害時行動の周知徹底
地域住民との連携 ・地域住民との信頼関係構築

・地域住民との防災訓練参加、備蓄物資提供

・自治体、自主防災組織との連携、地域防災計画作成への協力
事業活動が地域社会に及ぼす影響への配慮 ・工場倒壊、有害物質流出等のリスク考慮

・地域住民への事業内容、災害時リスクの説明と理解促進

・災害時被害最小限化のための対策

行政の役割

行政の役割

災害から地域住民の命と暮らしを守る上で、県や市町村などの行政機関が担う役割は大変重要です。行政は、地域防災のリーダーとして、様々な取り組みを通じて住民の安全安心を確保する責任があります。

まず、行政は災害に備えて防災計画を立てなければなりません。この計画には、避難場所や避難経路の指定、防災施設の整備計画、災害時の情報伝達方法などが含まれます。また、防災施設、例えば、避難所となる学校や公民館の耐震化、堤防や護岸の建設・補強なども行政の重要な任務です。さらに、住民一人ひとりが災害に対する正しい知識と行動を身につけるために、防災訓練の実施や防災教育の推進にも力を入れる必要があります。

災害が起きた時は、行政は迅速かつ的確な対応をしなければなりません。救助活動や医療支援、避難所の開設・運営、生活必需品の供給など、被災者の生活再建に向けた支援も欠かせません。正確な情報を迅速に住民に伝えることも、混乱を防ぎ、適切な行動を促す上で極めて重要です。

行政だけで全てを行うことはできません。住民一人ひとりの自助の努力、地域住民が互いに助け合う互助の精神、そして行政による公助の支援、これら三つの力をうまく組み合わせることで、地域全体の防災力を高めることができます。行政は、地域住民や事業者と協力し、連携体制を構築することで、より効果的な防災対策を進めることができます。

行政は、こうした様々な取り組みを通じて、災害から住民を守り、安全安心な暮らしを支えるという重要な役割を担っているのです。

役割 災害への備え 災害発生時 その他
地域防災のリーダー 防災計画の策定
– 避難場所・経路の指定
– 防災施設の整備計画
– 災害時の情報伝達方法の確立
防災施設の整備
– 学校や公民館の耐震化
– 堤防や護岸の建設・補強
防災訓練の実施と防災教育の推進
迅速かつ的確な対応
– 救助活動
– 医療支援
– 避難所の開設・運営
– 生活必需品の供給
正確な情報の迅速な伝達
自助・互助・公助の連携
地域住民や事業者との連携体制構築