抗凝固療法:血栓を防ぐ
血液が固まるのを抑える治療法、それが抗凝固療法です。私たちの体には、血管の傷口をふさいで出血を止める働きが備わっています。これは、生きていく上で欠かせない大切な機能です。しかし、時にこの機能がうまく働かず、血管の中で血液の塊ができてしまうことがあります。この血液の塊を、血栓といいます。血栓は血管を詰まらせてしまい、体の様々な場所に深刻な影響を及ぼすことがあります。心臓では、血管の詰まりによって心臓の筋肉に血液が行き渡らなくなり、胸の痛みや息苦しさといった症状が現れる狭心症や、心臓の筋肉の一部が壊死してしまう心筋梗塞を引き起こす可能性があります。脳では、脳梗塞の原因となります。脳梗塞は、手足の麻痺やしびれ、言葉の障害など、後遺症が残る可能性のある恐ろしい病気です。また、肺では、肺塞栓症を引き起こす可能性があります。これは、肺動脈と呼ばれる肺につながる血管が詰まる病気で、突然の息苦しさや胸の痛みなどの症状が現れ、命に関わることもあります。抗凝固療法は、このような血栓の発生と成長を抑え、血管の詰まりを防ぎます。血液をさらさらの状態にすることで、心臓、脳、肺などの大切な臓器に必要な血液を届け続け、健康を維持する上で重要な役割を果たします。抗凝固療法は様々な病気を予防し、健康な生活を送るために役立つ治療法です。