アルファ崩壊

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アルファ線の基礎知識

放射線の一種であるアルファ線は、アルファ崩壊という現象で放出されます。アルファ崩壊とは、不安定な原子核がより安定な状態へと変化する過程で起こる現象です。この過程で高速で移動する粒子の流れが生じ、これがアルファ線と呼ばれるものです。 アルファ線を構成する粒子、すなわちアルファ粒子は、陽子2個と中性子2個がくっついた構造をしています。これは、ヘリウム原子の中心部分である原子核と全く同じ構造です。ヘリウム原子核はプラス2の正電荷を持っています。そのため、アルファ粒子もプラス2の正電荷を帯びているのです。 アルファ粒子は正電荷を持っているため、電場や磁場の影響を受けやすいという性質があります。電場や磁場の中にアルファ線を通すと、その進路が曲げられることが確認できます。この性質は、アルファ線を他の放射線と区別する上で重要な手がかりとなります。 アルファ崩壊を起こしやすい物質としては、ラジウム226やウラン238などが挙げられます。これらの物質は、原子核が不安定な状態にあります。不安定な原子核は、より安定な状態へと変化しようとする性質を持っています。この変化の過程でアルファ崩壊が起こり、アルファ線が放出されるのです。アルファ崩壊によって原子核の陽子の数は2個、中性子の数は2個減少し、原子番号と質量数が変化します。結果として、元の原子とは異なる新しい原子へと変わります。 アルファ線は、紙一枚で遮ることができるほど透過力が弱い放射線です。しかし、体内に入ると細胞に大きな損傷を与える可能性があります。そのため、アルファ線を出す物質を扱う際には、適切な安全対策を講じることが重要です。