劇症肝炎:知っておくべき脅威
劇症肝炎は、肝臓の働きが急速に悪くなる重い病気です。健康な状態から短期間で肝臓の機能が失われ、命に関わる危険な状態に陥ります。
私たちの肝臓は、食べた物を栄養に変えたり、体に悪い物質を解毒したり、血液を固まりやすくするなど、生きていく上で欠かせない様々な役割を担っています。劇症肝炎になると、これらの大切な働きが急激に低下してしまいます。
肝臓の働きが弱まると、体の中で作られる不要な物(老廃物)を処理できなくなります。例えば、アンモニアなどの有害な老廃物が血液中に溜まり、脳に運ばれてしまいます。すると、意識がぼんやりしたり、ひどい場合は意識を失って昏睡状態に陥る「肝性脳症」が起こることがあります。肝性脳症は命に関わる危険な状態です。
また、肝臓は血液を固めるのに必要な物質も作っています。劇症肝炎によって肝臓の働きが落ちると、この物質が作られなくなり、出血が止まりにくくなります。少しの怪我でも大量に出血したり、内臓で出血が起こる危険性も高まります。
さらに、肝臓の機能が著しく低下すると、他の臓器にも悪影響を及ぼし、腎臓や肺などの臓器が次々と機能不全に陥る「多臓器不全」に進行することがあります。多臓器不全は、命を落とす可能性が非常に高い状態です。
劇症肝炎は早期発見と迅速な治療が何よりも大切です。少しでも体に異変を感じたら、すぐに病院で診察を受けましょう。早期に適切な治療を開始することで、病気の進行を抑え、救命できる可能性が高まります。