エンドトキシン吸着

記事数:(1)

救命治療

エンドトキシン吸着療法:敗血症治療の新たな選択肢

エンドトキシン吸着療法は、血液をきれいにする治療法の一つで、体に悪い毒を取り除くことで、重い感染症の治療を助けるものです。 細菌の中には、体に害を及ぼす毒を持っているものがあり、その毒はエンドトキシンと呼ばれています。このエンドトキシンは、特定の種類の細菌(グラム陰性菌)の外壁に存在し、普段は問題ありません。しかし、感染症が重くなると、これらの細菌が壊れ、エンドトキシンが血液中に流れ出てしまいます。これが、高熱、血圧の低下、臓器の損傷といった深刻な症状を引き起こす大きな原因となります。 エンドトキシン吸着療法では、患者の血液をいったん体外に取り出し、特殊な装置に通します。この装置の中には、エンドトキシンを吸着する性質を持った物質が詰まっており、血液中のエンドトキシンだけをくっつけて取り除きます。まるで、コーヒーフィルターでコーヒー豆のかすを取り除くように、血液中の毒素だけを吸い取るのです。 エンドトキシンが取り除かれた血液は、きれいになった状態で再び患者の体内に戻されます。この治療法は、エンドトキシンによる症状を和らげ、感染症の悪化を防ぎ、患者さんの回復を助けることを目指しています。 ただし、この治療法はすべての感染症に効くわけではなく、他の治療法と組み合わせて行われることが多いです。また、まれに副作用が起こる可能性もあるので、医師による適切な診断と説明が必要です。