ハロンガスと代替消火剤
火災が発生した際、火を消すために使うものを消火剤と言い、様々な種類があります。古くから水は消火剤として使われてきました。水は入手しやすく、大量に使えるため、多くの火災現場で有効です。しかし、水をかけることで損傷してしまう電気機器や精密機器などには使用できません。水は電気を通すため、感電の危険がありますし、精密機器に水をかけると故障の原因になります。
そこで、水以外の消火剤としてガスを使った消火設備が開発されてきました。そのガス消火剤の一つとして、以前はハロンガスが広く使われていました。ハロンガスは、燃焼の連鎖反応を抑えることで、素早く消火できるという優れた特徴を持っていました。しかし、後にハロンガスがフロンガスと同様にオゾン層を破壊することが分かり、製造が中止されました。
オゾン層は、太陽光に含まれる有害な紫外線を吸収する役割を担っており、地球上のすべての生き物にとって非常に重要です。オゾン層が破壊されると、地上に届く紫外線量が増え、皮膚がんや白内障などの健康被害が起こる危険性が高まります。さらに、植物や動物への悪影響など、生態系への影響も心配されています。そのため、地球環境を守るためには、オゾン層を破壊する物質の使用を減らしていく必要があります。現在では、ハロンガスの代わりに、オゾン層を破壊しない代替のガス消火剤が開発され、使われています。これらの消火剤は、それぞれ異なる特徴を持つため、火災の種類や場所に応じて適切な消火剤を選ぶことが大切です。