ガス産生菌感染症

記事数:(1)

救命治療

縦隔気腫:その原因と対処法

縦隔気腫とは、心臓や大きな血管、気管、食道といった大切な器官が存在する胸の中央部分、縦隔と呼ばれる場所に空気が入り込んでしまう病気です。本来、縦隔には空気は存在しないため、そこに空気が入り込むと、様々な症状が現れることがあります。 この病気の原因は様々ですが、最も多いのは肺からの空気の漏れです。激しい咳やくしゃみ、嘔吐などによって肺胞という空気の交換を行う小さな袋が破れ、肺から漏れた空気が縦隔に入り込むことで発症します。また、喘息発作や気管支炎といった呼吸器の病気、人工呼吸器の使用、外傷なども原因となることがあります。さらに、食道に穴が開く食道穿孔や、首や胸の手術の合併症として発生する可能性もあります。 縦隔気腫になると、胸の痛みや圧迫感、息苦しさ、呼吸困難といった症状が現れることがあります。空気が急速に大量に縦隔に漏れ出た場合には、血圧低下や意識障害といった重篤な状態に陥る可能性もあり、迅速な対応が必要です。 診断は、胸部エックス線写真やCT検査で行います。胸部エックス線写真では、心臓の上部に位置する大動脈弓の外縁に沿って空気が溜まっている様子が、まるで帆船の帆のように見えることがあり、『スピネーカーサイン』と呼ばれています。また、天使の羽のように見える場合は『エンジェルウィングサイン』と呼ばれ、これらの特徴的な画像は診断の重要な手がかりとなります。CT検査では、より詳細に縦隔の状態を把握でき、原因の特定にも役立ちます。 治療は、原因となっている病気を治療することが基本です。多くの場合、安静にしていれば自然に空気が吸収され、症状は改善します。しかし、症状が重い場合や原因となっている病気が重篤な場合は、酸素吸入や胸腔ドレナージといった処置が必要になることもあります。まれに、外科手術が必要となるケースもあります。