プルトニウム

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その他

ペレット:原子力の心臓部

小さな粒のような形をした、燃料や飼料など様々なものを指す言葉に「ペレット」というものがあります。原子力発電においてもペレットと呼ばれるものがありますが、これは全く異なる特別なものです。原子力発電で使うペレットは、ウランやプルトニウムといった核分裂を起こす物質を材料とした、直径1センチメートルほどの小さな焼き物製の円柱です。この小さな粒の中に、莫大なエネルギーが秘められており、私たちの暮らしを支える電気の源となっています。 火力発電では石炭を燃やして熱を作り出しますが、原子力発電ではこのペレットの中で核分裂反応を起こすことで熱エネルギーを取り出します。核分裂というのは、ウランやプルトニウムの原子核が分裂する際に、莫大なエネルギーを放出する現象です。このペレットの中には、非常に多くのウランやプルトニウムの原子が詰まっているため、小さなペレットでも大きなエネルギーを生み出すことができるのです。 ペレットの中で発生した熱は、周囲の水を沸騰させ、高温の蒸気を発生させます。この蒸気は、タービンと呼ばれる羽根車を勢いよく回し、タービンにつながった発電機を回転させることで、電気エネルギーを作り出します。つまり、原子力発電所においてペレットは、火力発電所における石炭と同じように、燃料としての役割を果たしているのです。このように、小さなペレットは、私たちの生活を支える電気を生み出すための、重要な役割を担っていると言えます。
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プルトニウム:知っておくべき基礎知識

プルトニウムは、原子番号94番の元素で、人工的に作り出される放射性元素です。自然界にはごく微量しか存在しません。ウランと同じように核分裂を起こす性質を持つため、核分裂性物質とも呼ばれています。では、どのようにしてプルトニウムは作り出されるのでしょうか。プルトニウムは原子炉の中でウラン238から作られます。原子炉の中でウラン238が中性子を吸収すると、ウラン239に変わります。このウラン239は、不安定なため、ベータ崩壊という現象を起こしてネプツニウム239になります。さらにネプツニウム239もベータ崩壊を繰り返して、最終的にプルトニウム239になります。 プルトニウムには、中性子を吸収する量によってプルトニウム239以外にも様々な種類(同位体)が存在します。中でもプルトニウム239は、最も多く存在する代表的な核種です。プルトニウム239の半減期は約2万4千年です。半減期とは、放射性物質の量が半分になるまでの期間のことです。プルトニウム239は崩壊する際にアルファ線を放出します。アルファ線は紙一枚で遮ることができるほど透過力は弱いですが、体内に入ると細胞に大きな損傷を与える可能性があります。他のプルトニウム同位体では、アルファ線に加えてベータ線、ガンマ線、中性子線なども放出します。これらの放射線は、それぞれ異なる性質と透過力を持っています。適切な遮蔽材を用いることで、これらの放射線から身を守ることができます。
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放射能半減期:安全への理解

放射線を出す物質は、時間が経つにつれて放射線を出しながら、別の物質に変わっていきます。この変化の速さを示す尺度が半減期です。半減期とは、読んで字のごとく、放射性物質の量が最初の半分になるまでにかかる時間のことです。 例として、ある放射性物質の半減期が10年だと考えてみましょう。最初の量が100グラムだとすると、10年後には50グラムに減ります。そして、さらに10年後、つまり最初の時点から20年後には25グラムになります。最初の時点から30年後には12.5グラム、40年後には6.25グラムと、一定の時間が経つごとに半分ずつ減っていくのです。 重要なのは、この半減期はそれぞれの放射性物質によって決まっているということです。ある物質は数秒で半分になる一方で、別の物質は何万年、何億年という長い時間をかけて半分になるものもあります。半減期の長さによって、放射性物質の影響がどのくらいの期間続くのかが変わってきます。短い半減期の物質は短期間で放射線を強く出すため、初期の被ばくには注意が必要ですが、比較的早く安全なレベルまで下がります。逆に長い半減期の物質は長い期間にわたって放射線を出し続けるため、長期間の影響を考慮する必要があります。 この半減期の長さは物質の種類によって決まっており、人工的に短くしたり長くしたりすることはできません。温度や圧力などの外部の影響を受けることもありません。そのため、放射性物質を扱う際には、その物質の半減期を理解し、適切な対策を講じることが重要となります。
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核物質とは何か?

核物質とは、国際原子力機関の設立憲章で定められた、原子力発電や核兵器に利用できる物質のことを指します。大きく分けて二つの種類があり、一つは原料物質、もう一つは特殊核分裂性物質です。 原料物質とは、自然界に存在するウラン鉱石から抽出されるウランのことを指します。ウランには、核分裂を起こしやすいウラン235と、起こしにくいウラン238が含まれています。このうち、ウラン235の割合を減らした劣化ウランも原料物質に含まれます。また、これらのウランから作られた金属や合金、化合物の形でも原料物質となります。天然ウランはそのままでは原子力発電に利用するにはウラン235の濃度が低いため、濃縮する必要があります。しかし、劣化ウランは核分裂を起こしにくい性質を利用して、放射線遮蔽材や装甲材などに利用されています。 特殊核分裂性物質とは、核分裂の連鎖反応を起こしやすい物質です。具体的には、プルトニウム239、ウラン233、そしてウラン235が挙げられます。プルトニウム239は、ウラン238に中性子を照射することで人工的に作り出されます。ウラン233も、トリウム232に中性子を照射することで人工的に生成されます。ウラン235は天然ウランにもわずかに含まれていますが、核兵器や原子力発電に利用するためには、このウラン235の割合を高める必要があります。この作業を濃縮と言い、濃縮によってウラン235の割合を高めたものを濃縮ウランと呼びます。濃縮ウランは特殊核分裂性物質に分類され、原子力発電の燃料として利用されます。核兵器への転用を防ぐため、濃縮ウランの製造や使用は厳しく管理されています。