
帰宅困難者を考える
大きな地震などの災害が起こると、私たちの暮らしは大きな変化にさらされます。特に都市部では、交通機関が動かなくなることで、多くの人が帰宅できなくなるという問題が起こりかねません。この「帰宅困難者」とは、災害発生時に職場や学校、外出先などにいて、自宅に帰ることができなくなった人のことを指します。
帰宅困難者が大量に発生すると、様々な問題が生じます。まず、多くの人が一斉に自宅を目指して移動するため、道路は大混雑し、緊急車両の通行を妨げることになります。また、食料や水、トイレなどの確保も難しくなり、体調を崩す人も出てくるでしょう。さらに、夜間になると気温が下がり、屋外で過ごす人にとっては厳しい状況となります。長時間にわたる徒歩での移動は、体力の消耗を招き、健康状態の悪化につながる危険性もあります。中には、持病のある人や高齢者、小さな子供連れの人もいるでしょうから、適切な支援が必要不可欠です。
このような事態を防ぐためには、日頃からの備えが重要です。会社や自治体などが作成する帰宅困難者対策マニュアルを確認し、災害発生時の行動を把握しておきましょう。職場やよく行く場所に、水や食料、非常用トイレなどを備えた防災備蓄があれば安心です。また、家族との連絡手段を確保しておくことも大切です。災害時にどこに集まるか、どうやって連絡を取り合うかなどを、事前に話し合っておきましょう。
一人ひとりが、災害に対する意識を高め、日頃から備えておくことが、帰宅困難という問題を少しでも軽減することにつながります。いざという時に慌てないためにも、今できることから始めてみましょう。たとえば、通勤カバンに携帯用のスリッパや雨具を入れておくだけでも、徒歩での帰宅が楽になります。また、普段から周りの地理に目を配り、避難場所や公共施設の位置を確認しておくことも役立ちます。小さな心がけが、大きな助けとなるのです。