下側肺障害

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救命治療

治りにくい肺炎?下側肺障害を知ろう

寝たきりの状態や、長時間仰向けで寝ていることで、肺の下側に様々な病気が起こることがあります。これをまとめて、下側肺障害と呼ぶことがあります。 私たちの体は重力の影響を受けています。そのため、仰向けで寝ている時は、肺の下側に血液やリンパ液、痰といった体液がたまりやすくなります。これらの体液が肺胞と呼ばれる、ガス交換を行う小さな袋に溜まると、肺胞は十分に膨らむことができなくなります。この状態を無気肺といいます。無気肺になると、血液中に十分な酸素を取り込めなくなり、息苦しさを感じたり、動悸がしたりすることがあります。 特に、高齢者や体の動きが制限されている人、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの肺の病気を抱えている人、手術後などで安静が必要な人、人工呼吸器を使用している人などは、下側肺障害になりやすい傾向があります。 下側肺障害は、無気肺だけでなく、肺炎などの感染症のリスクも高めます。肺の下側に体液がたまることで、細菌が繁殖しやすくなるためです。また、同じ体勢を続けることで、肺への血流が滞り、肺塞栓症といった深刻な病気を引き起こす可能性も否定できません。 こうした病気の予防には、定期的な体位変換が重要です。2時間おきなど、時間を決めて仰向け以外の姿勢をとるようにしましょう。横向きになったり、上体を起こした姿勢をとることで、肺全体に空気が行き渡りやすくなります。また、深呼吸や咳払いを意識的に行うことも、肺の機能維持に役立ちます。医師や看護師、理学療法士などの指導の下、呼吸体操などを取り入れるのも良いでしょう。日頃から、適度な運動を心掛け、バランスの取れた食事を摂ることで、免疫力を高め、肺の健康を守ることが大切です。