任意避難地区とは?
任意避難地区とは、災害時に住民自身の判断で避難できる地域のことです。大きな火事や土砂崩れなど、差し迫った危険が予測される地域とは異なり、比較的安全な場所とされています。そのため、市町村などからの強制的な避難の指示は出されず、住民は自分の置かれた状況を考え、必要に応じて自ら避難することになります。
例えば、大雨で川の水位が上がっているものの、自宅は浸水の危険がない程度に高い場所にある場合を考えてみましょう。このような場合、危険は迫っているとはいえ、必ずしもすぐに避難が必要というわけではありません。家の中にいる方が安全だと判断する人もいるでしょうし、小さな子どもや高齢者がいる家庭では、避難所の混雑を避け、自宅で様子を見ることを選ぶ場合もあるでしょう。任意避難地区は、このような状況を想定し、住民一人ひとりの事情に合わせた柔軟な避難行動を可能にするために設けられています。
任意避難地区は、あくまで相対的に安全な地域というだけで、絶対に安全というわけではありません。災害の状況は刻一刻と変化しますし、予測が外れる可能性もゼロではありません。気象情報や自治体からの情報に注意し、少しでも危険を感じたら、ためらわずに避難することが大切です。自主的な避難を促すための情報提供も重要な役割を果たします。ハザードマップで危険な区域を確認したり、地域の避難所の場所や連絡先を事前に把握しておくなど、日頃からの備えが、いざという時の適切な判断につながります。また、近所の人と避難について話し合っておくことも大切です。助け合いの精神は、災害時における大きな力となるでしょう。