体腔内圧

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救命治療

人工呼吸器と圧外傷:その危険性と対策

圧外傷とは、身体の内側と外側の圧力の差によって起こる様々な体の損傷のことです。この圧力の差は、周囲の気圧が急激に変化したり、医療行為によって体内の圧力が異常に高まったりすることで生じます。 身近な例では、飛行機の離着陸時や山を登り下りする際に、耳が詰まったり、痛みを感じたりすることがあります。これは鼓膜の内側と外側の圧力のバランスが崩れることで起こる圧外傷の一種です。同様に、スキューバダイビングで深く潜ったり、急に浮上したりすると、体内の空気の体積が変化し、肺や副鼻腔などに圧外傷を引き起こす可能性があります。この急激な圧力変化は、鼓膜の損傷だけでなく、めまい、吐き気、場合によっては意識を失うなどの深刻な症状を引き起こすこともあります。 医療現場では、人工呼吸器の使用によって肺に圧外傷が生じることがあります。人工呼吸器は、肺に空気を送り込むことで呼吸を助ける医療機器ですが、設定を誤ったり、肺の状態が弱っている場合には、肺胞と呼ばれる肺の中の小さな袋に過剰な圧力がかかります。これが原因で肺胞が破裂し、気胸と呼ばれる状態になることがあります。気胸とは、肺から空気が漏れ出し、胸腔と呼ばれる肺の周りの空間に溜まる状態です。症状が悪化すると、呼吸困難に陥り、生命に関わる危険性も出てきます。そのため、人工呼吸器を使用する際には、患者さんの状態を綿密に観察し、適切な設定を行うことが非常に重要です。