災害時の本人確認:生体認証の活用
近年、地震や台風、大雨など、大きな被害をもたらす自然災害が毎年のように発生しています。こうした災害時に、被災された方の状況を素早く、そして間違いなく把握し、必要な手助けをすることはとても大切です。中でも、被災された方一人ひとりが誰なのかを確認することは、何よりも優先されるべき重要な仕事です。名前がわからないと、医療の手当てや必要な物資の提供、ご家族との連絡などが滞ってしまい、適切な支援を行うことが難しくなります。
これまで、本人確認は、運転免許証や健康保険証といった持ち物によって行われてきました。しかし、災害時にはこれらの大切な書類がなくなったり、壊れてしまったりしていることが多く、確認作業が思うように進まないことが少なくありません。また、持ち物がなくても確認できる方法として、名前や住所、生年月日などを尋ねる方法もありますが、混乱した状況の中では、正確な情報を聞き取ることが難しかったり、記憶違いが起こる可能性も否定できません。
このような課題を解決するために、近年注目を集めているのが、体の特徴を使って個人を識別する技術です。指紋や顔、目の虹彩といった、一人ひとり異なる体の特徴を利用して本人を確認するこの技術は、災害時でも確実な本人確認手段として期待されています。指紋や顔認証などは、既に私たちの暮らしの中でも広く利用されており、スマートフォンやパソコンのセキュリティ対策としても活用されています。この技術を災害時の本人確認に応用することで、書類の紛失や記憶違いといった問題を解消し、迅速かつ正確に本人確認を行うことができるようになります。また、この技術は、支援物資の公平な分配にも役立ちます。物資を受け取る際に本人確認を行うことで、不正な受給を防ぎ、本当に支援が必要な人に確実に物資を届けることができます。