免震構造

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地震

耐震構造と免震構造の違い

地震が多い日本では、建物の耐震性は安全な暮らしを守る上で欠かせません。地震に強い建物とは、地震の揺れに耐え、倒壊しない建物のことを指します。これは、建物の構造や設計、使用されている材料、そして地盤との関係など、様々な要素が組み合わさって実現されます。 まず、建物の骨組みとなる構造部分には、鉄筋コンクリート造や鉄骨造といった頑丈な工法が用いられます。鉄筋コンクリート造は、鉄筋とコンクリートを組み合わせることで、圧縮に強いコンクリートと引っ張りに強い鉄筋、それぞれの長所を活かした構造です。鉄骨造は、鉄骨の骨組みにより建物を支える構造で、高い強度と自由な設計が可能です。これらの構造は、柱や梁といった主要な部分を太く頑丈にするだけでなく、壁の配置や部材の接合方法にも工夫を凝らすことで、地震の力に抵抗する能力を高めています。 さらに、建物の高さや形、そして地盤の状態も耐震性に大きく影響します。高い建物は、低い建物に比べて揺れやすい特徴があるため、より高度な耐震設計が求められます。また、複雑な形の建物は、地震の揺れによって一部分に力が集中しやすいため、均等に力が分散するように設計する必要があります。地盤についても、軟弱な地盤は地震の揺れを増幅させるため、地盤の状態に合わせた基礎工事を行うことが重要です。 日本の耐震基準は、過去の地震被害の教訓を活かし、常に改良されています。1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災では、多くの建物が倒壊し、甚大な被害が発生しました。これらの震災を教訓に、耐震基準が見直され、より安全な建物が建てられるようになっています。また、既存の建物についても、耐震診断や耐震改修を行うことで、耐震性を向上させる取り組みが進められています。私たち一人ひとりが建物の耐震性に関心を持つことは、安全な暮らしを守る上で大切なことです。
地震

長周期地震動:高層ビルへの脅威

長周期地震動は、地震波の中でも、揺れの周期が特に長いもののことです。周期とは、揺れが一度行って戻ってくるまでの時間を指し、この長周期地震動は数秒から十数秒にもなります。普段私たちが感じる地震の揺れは、ガタガタという速い揺れが中心ですが、長周期地震動は周期が長いため、ゆっくりとした大きな揺れになります。遊園地にあるブランコを想像してみてください。軽く押すと小刻みに揺れますが、大きくゆっくりと押すと、大きくゆったりと揺れます。この、大きくゆっくりとした揺れが、長周期地震動の揺れ方に似ています。 この長周期地震動は、高層ビルや長い橋のような大型の構造物に大きな影響を与えます。それぞれの建物には固有の揺れやすい周期があり、この周期と地震波の周期が一致すると、共振という現象が起こります。共振は、ブランコをタイミングよく押すと、揺れがどんどん大きくなっていくのと同じように、建物の揺れを増幅させます。高層ビルなどの高い建物は、長周期地震動の周期と共振しやすいため、大きく揺さぶられ、家具の転倒や落下だけでなく、建物の損傷に繋がることもあります。また、長周期地震動は遠くまで伝わりやすい性質を持つため、震源から遠く離れた地域でも高層ビルなどが被害を受ける可能性があります。そのため、長周期地震動への対策は、高層ビルだけでなく、広範囲で必要となります。