凍結

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異常気象

霜への備え:農作物などを守るために

霜は、冬の寒い朝によく見られる現象で、まるで白い粉をまぶしたように、地面や植物を覆います。空気中の水分が凍ってできるのですが、実は雪とは異なる生成過程を持っています。雪は、上空の雲の中で水蒸気が氷の結晶となり、それが成長して地上に落ちてくるのに対し、霜は、地表付近の空気中の水蒸気が直接固体化してできます。 霜ができるためには、いくつかの条件が必要です。まず、気温が氷点下であることは必須です。水は0度以下で凍るので、気温がプラスである限り、霜はできません。次に、空気中に十分な水蒸気が含まれている必要があります。乾燥した空気では、たとえ気温が氷点下でも、霜は発生しにくいのです。そして、風が穏やかであることも重要です。強い風が吹くと、地表付近の冷たい空気と上空の暖かい空気が混ざり合い、地表の温度が上がり、霜ができにくくなります。 晴れた夜は放射冷却現象によって地表の温度が特に大きく下がります。雲がないため、地表から放射された熱が宇宙空間に逃げていきやすく、地表付近の気温が急激に低下するからです。そのため、霜は晴れた夜に発生しやすくなります。また、地面に近い場所ほど冷え込みが厳しくなるため、霜は地面や植物の葉など、地表近くの物体に付着しやすい傾向があります。 このように、霜の発生には気温、湿度、風、放射冷却など、様々な気象条件が複雑に関係しています。これらの条件が揃うと、空気中の水蒸気が昇華と呼ばれる現象によって、気体から液体になることなく直接固体になり、微細な氷の結晶となって物体の表面に付着するのです。これが、私たちが目にする美しい霜の正体です。