
長周期地震動:高層ビルへの脅威
長周期地震動は、地震波の中でも、揺れの周期が特に長いもののことです。周期とは、揺れが一度行って戻ってくるまでの時間を指し、この長周期地震動は数秒から十数秒にもなります。普段私たちが感じる地震の揺れは、ガタガタという速い揺れが中心ですが、長周期地震動は周期が長いため、ゆっくりとした大きな揺れになります。遊園地にあるブランコを想像してみてください。軽く押すと小刻みに揺れますが、大きくゆっくりと押すと、大きくゆったりと揺れます。この、大きくゆっくりとした揺れが、長周期地震動の揺れ方に似ています。
この長周期地震動は、高層ビルや長い橋のような大型の構造物に大きな影響を与えます。それぞれの建物には固有の揺れやすい周期があり、この周期と地震波の周期が一致すると、共振という現象が起こります。共振は、ブランコをタイミングよく押すと、揺れがどんどん大きくなっていくのと同じように、建物の揺れを増幅させます。高層ビルなどの高い建物は、長周期地震動の周期と共振しやすいため、大きく揺さぶられ、家具の転倒や落下だけでなく、建物の損傷に繋がることもあります。また、長周期地震動は遠くまで伝わりやすい性質を持つため、震源から遠く離れた地域でも高層ビルなどが被害を受ける可能性があります。そのため、長周期地震動への対策は、高層ビルだけでなく、広範囲で必要となります。