前負荷

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救命治療

前負荷:心臓の働きへの影響

心臓は、体中に血液を送るポンプのような役割を担っており、縮んだり膨らんだりすることで血液を循環させています。この心臓が縮む際に負担がかかりますが、これを「負荷」と言い、大きく「前負荷」と「後負荷」の2種類に分けられます。 「前負荷」とは、心臓が縮み始める直前の心室内の血液量、つまり心臓が膨らみ切ったときの心室内の血液量に比例した圧力のことです。ゴム風船を思い浮かべてみてください。風船の中に空気をたくさん入れれば入れるほど、ゴムは伸びて、中の空気を押し出す力も強くなります。心臓も同じように、心室内の血液量が多ければ多いほど、心筋が伸びて、より強い力で縮もうとします。 この心室内の血液量は、体の中を巡る血液の量や心臓に戻ってくる血液の量、心房の縮む力などによって変わります。例えば、水分をたくさん摂ると体内の血液量が増え、心臓に戻ってくる血液量も増えるため、前負荷は高くなります。反対に、出血などで体内の血液量が減ると、心臓に戻ってくる血液量も減り、前負荷は低くなります。また、心房の収縮力が弱まると、心室に送られる血液量が減るため、前負荷は低くなります。 前負荷は、心臓の働きを理解する上で重要な指標の一つです。前負荷が高すぎると、心臓に過剰な負担がかかり、心不全などの原因となることがあります。反対に、前負荷が低すぎると、血液を十分に送り出すことができなくなり、めまいや失神などの症状が現れることがあります。そのため、健康な状態を保つためには、適切な前負荷を維持することが大切です。