呼吸機能

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救命治療

肺コンプライアンス:肺の柔らかさを知る

肺のふくらみやすさを示す指標に、肺コンプライアンスというものがあります。肺コンプライアンスとは、簡単に言うと肺がどれくらい楽に膨らむかを示す値です。 新しいゴム風船を想像してみてください。少しの力で大きく膨らみますよね。しかし、古くなったゴム風船は硬くなってしまい、膨らませるのにより大きな力が必要になります。肺も同じように、コンプライアンスが高いほど、少ない力で大きく膨らみます。これは肺の柔らかさを示していると考えて良いでしょう。 私たちは呼吸をする際に、肺を膨らませたり縮ませたりすることで空気の出し入れを行っています。この肺の膨らみやすさが、呼吸のしやすさに直接関係しているのです。コンプライアンスが高い、つまり肺が柔らかく膨らみやすい状態であれば、呼吸は楽になります。逆にコンプライアンスが低い、つまり肺が硬く膨らみにくい状態だと、呼吸をするのにより多くの力が必要になり、息苦しさを感じやすくなります。 では、このコンプライアンスはどのように測るのでしょうか。コンプライアンスの値は、肺の体積変化と圧力変化の関係から計算されます。具体的には、一定の圧力をかけた時に、肺の体積がどれくらい変化するかを測定することで、肺コンプライアンスを知ることができます。この値は、様々な呼吸器の病気の診断や治療方針を決める上で重要な情報となります。例えば、肺線維症などの病気では肺が硬くなりコンプライアンスが低下します。逆に、肺気腫などの病気では肺が過剰に膨らんだ状態になり、コンプライアンスが異常に高くなることがあります。このように、コンプライアンスの値を調べることで、肺の状態を詳しく把握することができるのです。