救命治療 圧挫症候群:その脅威と対策
圧挫症候群は、長時間、体に強い圧迫が加わることで起こる深刻な病気です。地震や事故で建物が倒壊し、その下敷きになったり、長時間同じ姿勢でいることなどが原因で発症します。この圧迫によって、筋肉組織が損傷を受けます。筋肉が押しつぶされると、筋肉細胞が壊れ、細胞内の様々な物質が血液中に流れ出します。この中には、ミオグロビンという酸素を運ぶたんぱく質やカリウムなど、通常は細胞内に存在する物質が含まれます。また、筋肉の損傷により、体内で様々な有害物質も作られます。これらの物質は、腎臓に大きな負担をかけ、腎臓の機能を低下させます。ひどい場合には、急性腎不全を引き起こし、生命に関わることもあります。さらに危険な点は、圧迫されていた部分の血流が回復した時に起こります。救助活動などで圧迫が解除されると、損傷した筋肉からカリウムやミオグロビンなどの物質が血液中に一気に流れ込みます。カリウムの急激な上昇は心臓の動きに異常をきたし、心停止に至ることもあります。ミオグロビンは腎臓でろ過される際に腎臓の組織を傷つけ、急性腎不全を悪化させる可能性があります。このように、圧挫症候群は多臓器に影響を及ぼす重篤な病態であり、迅速な診断と適切な治療が不可欠です。一刻も早い救出と、輸液療法による体内の有害物質の除去や、血液透析などによる腎機能のサポートが救命につながります。また、発症前の予防として、災害時の安全確保や、長時間同じ姿勢を避けるなどの工夫も大切です。
