培養皮膚

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救命治療

代用皮膚:皮膚を守る技術

私たちの体は、一枚の薄い膜で覆われています。これが皮膚です。皮膚は、まるで鎧のように、外からの刺激やばい菌から体を守ってくれています。紫外線や熱、寒さといった刺激をやわらげ、体の中にある水分や体温を保つのも皮膚の大切な役割です。さらに、ばい菌やウイルスが体の中に侵入するのを防ぐバリアの役割も果たしています。もし、やけどなどのけがで皮膚が大きく損なわれると、体の中の水分が失われやすく、体温の調節ができなくなったり、ばい菌が体内に侵入しやすくなってしまいます。命に関わることもある、深刻な事態になりかねません。 このような皮膚の損傷を補うため、人工的に作られた皮膚が「代用皮膚」です。代用皮膚は、まるで本物の皮膚のように、体の表面を覆い、保護する役割を果たします。失われた皮膚の機能を補うことで、体液の蒸発を防ぎ、体温を維持し、感染症から体を守ってくれます。また、傷口を覆うことで、痛みを和らげる効果もあります。 代用皮膚には様々な種類があり、それぞれに特徴があります。自分の皮膚から細胞を採取して培養した自家培養表皮や、他人の皮膚から培養した同種培養表皮、そして、人工的に合成した人工真皮などがあります。傷の大きさや深さ、患者さんの状態に合わせて、最適な代用皮膚が選択されます。近年、再生医療の進歩とともに、代用皮膚の技術も大きく発展しています。より、本物の皮膚に近い機能を持つ代用皮膚の開発も進められており、多くの患者さんの生活の質の向上に役立っています。この技術は、医療の現場でなくてはならないものとなりつつあります。