前向き研究:未来への備え
前向き研究とは、ある特定の事柄の影響を受ける集団と、影響を受けない集団を、長い期間に渡って観察し、将来特定の病気や状態になるかどうかを比べる研究方法です。未来に何が起こるかを予測するために、現在から未来へと視点を向けることから「前向き」と呼ばれています。
この研究方法は、原因となるかもしれない事柄と、結果として起こるかもしれない病気との間の関係を明らかにする上で、とても有力な手段となります。例えば、ある特定の食生活を送っている人たちのグループと、そうでない人たちのグループを時間を追って調べ、将来どちらのグループに特定の病気が多く発生するかを観察することで、その食生活と病気のつながりを調べることができます。
この研究の特徴は、調査を始める時点で病気になっていない人たちを対象とする点です。時間の流れに沿って観察を行うため、特定の事柄への影響が病気の発生よりも先に起こっていることを確かめることができ、原因と結果の関係を推測するのに役立ちます。また、いくつかの事柄と、いくつかの病気を同時に調べることもできます。
しかし、長期間にわたる追跡調査が必要となるため、時間と費用がかかるという難点もあります。また、調査対象者が途中でやめてしまう可能性も考えなければなりません。さらに、めったに起こらない病気を研究する場合には、とても多くの参加者が必要となることもあります。
それでも、これらの難点を考えても、前向き研究は病気の原因を解き明かし、予防策を作るために欠かせない研究方法です。未来への影響を予測できるという点で、公衆衛生の向上に大きく貢献する可能性を秘めています。