応急手当

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緊急対応

救急相談センター:#7119

急病や怪我で、救急車を呼ぶべきか病院へ行くべきか迷った時、頼りになるのが救急相談センターです。これは、迷っている人々に適切な助言を与えるための窓口です。東京消防庁では、救急車の利用が本当に必要な場合に限られるように、2007年からこのセンターを運営しています。 救急車は、私たちみんなの大切な資源です。しかし、台数には限りがあるため、本当に必要な人がすぐに利用できないという事態も起こりえます。例えば、一刻を争う重症患者がいる一方で、比較的軽い症状の人が救急車を呼んでしまうと、本当に助けが必要な人が待たされることになりかねません。このような事態を避けるためにも、私たち一人ひとりが救急車を適切に使うという意識を持つことが大切です。 もし、救急車を呼ぶべきか迷ったら、まずは落ち着いて#7119に電話をかけてみましょう。この番号に電話すると、救急相談センターにつながります。センターには、医学の知識を持った相談員が常駐しており、電話をかけてきた人の症状を丁寧に聞き取ってくれます。そして、その症状がどれほど緊急なのかを判断し、救急車を呼ぶ必要があるか、今すぐ病院へ行くべきか、それとも自宅で様子を見て大丈夫かなど、状況に応じた適切な助言をしてくれます。相談員は、症状だけでなく、年齢や持病なども考慮して判断しますので、安心して相談することができます。 救急相談センターの利用は無料です。命に関わるかもしれない緊急時、慌てずに適切な行動をとるために、#7119という番号を覚えておきましょう。いざという時に、きっと役に立つはずです。
救命治療

ショック:生命を脅かす循環不全

ショックとは、体に大きな負担がかかったり、その反応によって、生きていくために必要な臓器に血液がうまく届かなくなり、細胞がうまく働かなくなり、臓器の機能が低下してしまう深刻な状態です。生命維持に不可欠な心臓、脳、肺、腎臓などの臓器への血液供給が滞ることで、酸素や栄養が不足し、老廃物が蓄積します。これは細胞の働きを損ない、臓器の機能不全につながり、最終的には生命の危機をもたらす可能性があります。 ショックを引き起こす原因は様々です。例えば、心臓のポンプ機能が低下して血液を十分に送り出せなくなる「心原性ショック」、出血や脱水などによって血液の量が減ってしまう「出血性ショック」や「脱水性ショック」、細菌感染などによる「敗血症性ショック」、激しいアレルギー反応による「アナフィラキシーショック」、脊髄損傷による「神経原性ショック」などがあります。これらの原因によって、心臓から送り出される血液の量が減ったり、血管が広がって血圧が急激に下がったりすることでショック状態に陥ります。 ショックの兆候としては、意識がもうろうとしたり、顔色が悪くなったり、冷や汗をかいたり、脈が速くなったり弱くなったり、呼吸が速くなったり浅くなったりといった症状が見られます。また、収縮期血圧が90mmHg以下になることが多いですが、これはあくまでも目安であり、普段から血圧が低い人では90mmHg以上でもショック状態になっている可能性があります。逆に、高血圧の人が急に血圧が下がった場合も、数値は90mmHg以上であってもショック状態になっている可能性があります。ショックは一刻を争う緊急事態であり、できるだけ早く医療機関に連絡し、適切な処置を受けることが重要です。周りの人がショック状態の兆候に気づいた場合も、速やかに救急車を呼ぶなどして助けを求める必要があります。
救命治療

救命時の姿勢:昏睡体位

意識がない状態の人は、自らの意思で体を動かすことができないため、様々な危険と隣り合わせです。周囲の状況を認識したり、危険を察知して回避することができないため、周りの人が適切な処置をすることが重要になります。 意識がない場合に特に注意が必要なのは、吐瀉物による窒息です。飲食後まもなく意識を失った場合など、胃の中に未消化の食べ物や水分が残っていると、嘔吐する可能性があります。仰向けで寝ていると、吐瀉物が気道に流れ込みやすく、窒息につながる危険性があります。また、意識がない状態では、舌の付け根が沈下して気道を塞いでしまうこともあります。舌根沈下は、いびきのような呼吸音や呼吸困難に繋がり、最悪の場合は窒息死に至る可能性もあるため注意が必要です。 このような事態を防ぐためには、回復体位をとらせることが重要です。回復体位とは、横向きに寝かせ、顔をやや下に向けることで、吐瀉物が気道に流れ込むのを防ぎ、呼吸を確保するための体位です。気道確保のために、衣服のボタンやベルトを緩めることも大切です。また、救急隊に連絡し、到着するまで意識がない人の呼吸や脈拍の状態を確認し続けましょう。 意識がない状態は一刻一秒を争う事態です。速やかに適切な処置を行い、救急隊の到着を待つことが重要です。日頃から回復体位のとり方などを学んでおくことで、いざという時に落ち着いて行動できるでしょう。
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命を守る気道確保:緊急時の基礎知識

人が生きていく上で欠かせない呼吸。その呼吸を支える空気の通り道、すなわち気道を確保する行為こそが、気道確保です。何らかの理由で気道が狭くなったり、完全に塞がったりした場合、空気の通りを良くして呼吸を助けるための処置を指します。 気道が狭くなったり、塞がったりする原因は様々です。例えば、意識を失うと舌の付け根が沈み込み、気道を圧迫することがあります。また、食べ物などが誤って気管に入り込む、いわゆる誤嚥も気道閉塞の大きな原因の一つです。さらに、アレルギー反応などによって喉が腫れ上がることで、気道が狭くなることもあります。このような緊急事態において、適切な気道確保を行うことは、救命に直結する極めて重要な行為です。 迅速かつ的確な気道確保は、体への酸素供給を維持し、脳への酸素不足による損傷を最小限に抑えるために不可欠です。酸素が脳に届かなくなると、数分後には脳細胞が壊れ始め、取り返しのつかない後遺症が残る可能性も高まります。そのため、一刻も早く気道を確保し、酸素を送り込む必要があります。 気道確保は、救急隊員や医師、看護師といった医療に携わる人にとって必須の技術です。しかし、一般の人々も基本的な知識と技術を身につけておくことで、いざという時に家族や周りの人を助けることができるかもしれません。日頃から、地域の防災訓練や講習会などに積極的に参加し、正しい気道確保の方法を学んでおくことが大切です。また、応急手当の方法を解説した書籍や動画なども参考にし、いざという時に備えましょう。
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縊首と縊死:そのメカニズムと現状

縊首とは、紐のようなもので首を締め、自らの体重で首を圧迫する行為です。紐の一端を何かに固定し、輪になった部分に首を入れることで、体重がかかり首が締め付けられます。この行為によって命を落とすことを縊死、一般的には首吊り自殺と言います。縊首は、残念ながら自殺の方法として広く知られていますが、その仕組みや実態についてはあまり理解されていません。 縊首には、大きく分けて定型的縊首と非定型的縊首の二種類があります。定型的縊首とは、紐が喉仏の位置にあり、左右対称に耳の後ろを通って、体が宙づりになっている状態です。椅子や台などを利用し、紐を高い場所に固定して首を吊る場合などがこれに当たります。一方、非定型的縊首は、定型的縊首以外の全ての場合を指します。例えば、体が地面に着いている状態や、紐が首の横にずれている状態などが該当します。低い場所に紐を固定して首を吊り、体が地面に着いた状態などは、非定型的縊首に分類されます。 縊首による死亡の原因は、首の血管や気道が圧迫されることによる窒息、もしくは頸椎の損傷、脳への血流の遮断などが考えられます。窒息の場合は、数分から数十分で死に至るとされています。また、頸椎損傷や脳への血流遮断の場合は、即死する場合もあります。縊首は、一見簡単な方法に見えますが、実際には様々な要因が絡み合い、複雑なメカニズムで死に至るため、安易な行為は絶対に避けなければなりません。命の尊さを改めて認識し、自ら命を絶つ行為ではなく、生きる道を探ることが何よりも大切です。