感染症対策

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救命治療

選択的消化管除菌:感染症予防の最前線

入院中の患者さん、特に体の抵抗力が弱まっている方には、院内での感染症が大きな危険となります。集中治療室(ICU)で治療を受けている患者さんは、免疫の働きが低下しているため、感染症にかかりやすく、重症化しやすい状態にあります。感染症は、患者さんの命に関わるだけでなく、治療期間の長期化や医療費の増加にもつながるため、その予防は大変重要です。 院内感染の予防には、手洗いや消毒、マスクの着用など様々な方法がありますが、近年注目されているのが「選択的消化管除菌」という方法です。これは、口から特別な薬を服用することで、消化管の中にいる特定の細菌の増殖を抑え、感染症の発症を防ぐという画期的な取り組みです。私たちの消化管には、たくさんの細菌が住んでいますが、その中には体に有益な菌と、病気を引き起こす可能性のある菌がいます。選択的消化管除菌は、病気を引き起こす可能性のある菌だけを狙って退治し、有益な菌はそのまま残すことで、消化管内細菌のバランスを調整し、感染症のリスクを減らすのです。 従来の抗菌薬は、広範囲の細菌に効果を示すため、病気を引き起こす菌だけでなく、体に良い菌も殺してしまうという欠点がありました。そのため、薬の使用によってかえって細菌のバランスが崩れ、別の種類の感染症を引き起こす危険性もありました。しかし、選択的消化管除菌は、特定の細菌にだけ作用する薬を使用するため、このような危険性を低減できます。 選択的消化管除菌は、ICUに入院している患者さんにとって、肺炎や敗血症などの深刻な感染症を予防する上で、大きな効果が期待されています。今後の更なる研究によって、この方法がより多くの患者さんの健康を守るために役立つことが期待されます。
緊急対応

消毒の基礎知識と重要性

消毒とは、身の回りの物や場所にいる、病気の原因となる小さな生き物、つまり病原菌をなくしたり減らしたりする作業のことです。病原菌は目に見えないほど小さいですが、私たちの体に侵入すると、風邪やインフルエンザといった様々な病気を引き起こすことがあります。このため、病原菌を退治したり増えるのを抑えたりすることは、健康を守る上でとても大切です。 消毒は、病原菌の広がりを食い止める有効な手段です。例えば、家の中でも、テーブルやドアの取っ手、おもちゃなど、人がよく触れる場所は病原菌が付着しやすく、そこから私たちの手に病原菌が移動し、口や鼻を触ることで体内に侵入することがあります。そのため、これらの場所を消毒することで、病原菌が手に付くのを防ぎ、感染の危険性を下げることができます。 消毒には、様々な方法があります。よく使われるのは、消毒液を吹き付けて拭き取ったり、煮沸消毒で熱を使って殺菌したりする方法です。その他にも、紫外線を利用した消毒なども行われています。どの方法が適しているかは、消毒する対象や状況によって異なります。 消毒は、感染症が流行している時期だけでなく、普段から行うことが重要です。こまめな消毒は、清潔な環境を保ち、健康を守ることに繋がります。特に、小さなお子さんや高齢者、持病のある方など、感染症にかかりやすい方は、より注意深く消毒を行うようにしましょう。家族みんなで消毒の習慣を身につけ、健康な毎日を送りましょう。
防災用品

不織布マスク:備えあれば憂いなし

不織布マスクとは、名前の通り、糸を織って布にするのではなく、繊維を熱や化学薬品などでシート状に結合させた素材を使ったマスクのことです。この製法のおかげで、様々な特徴を持つマスクが作られています。 まず挙げられるのが、ガーゼマスクに比べて顔へのフィット感が高い点です。不織布マスクは柔らかく、顔の曲線に沿って密着しやすいため、隙間ができにくくなっています。この高い密着性によって、外からの空気の出入りが少なくなり、ウィルスや細菌、花粉などの侵入を防ぐ効果が期待できます。 次に、細かい粒子を捕集する能力に優れていることも大きな特徴です。不織布マスクは繊維が複雑に絡み合っているため、ガーゼマスクよりも細かい網目構造になっています。そのため、花粉はもちろんのこと、風邪のウィルスや、新型流行風邪、鳥流行風邪などの、より微細な病原菌も捕らえやすくなっています。このろ過性能の高さが、感染症対策として注目される理由の一つです。 近年、感染症の流行が懸念される中で、厚生労働省も新型流行風邪対策として不織布マスクの備蓄を推奨しています。家庭での備えとして、災害時の備蓄品の中に加えておくことも重要です。 このように、不織布マスクは、風邪や花粉症、感染症などの予防に役立つアイテムとして、私たちの健康を守る上で欠かせないものとなっています。普段使いはもちろんのこと、もしもの時の備えとして、常備しておくことをお勧めします。