気管挿管

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救命治療

気道熱傷:高温の煙による危険

火災や爆発といった災害時に、高温の煙や水蒸気、有毒ガスなどを吸い込むことで呼吸の通り道がやけどをするように損傷を受け、気道熱傷を引き起こすことがあります。この気道熱傷は、文字通り空気が通る道である気道が火傷のような状態になることで、口や鼻から始まる上気道だけでなく、気管や肺といった下気道にまで及ぶことがあります。 熱い空気や煙を吸い込むと、その熱によって気道の粘膜が損傷を受け、炎症や腫れが生じます。これにより、呼吸が苦しくなったり、酸素を体内に取り込むことができにくくなったりします。気道熱傷の重症度は、吸い込んだ煙の温度や、煙に含まれる有毒物質の種類、そして煙にさらされていた時間の長さによって大きく変わってきます。少し煙を吸っただけでも、後から症状が現れる場合もあります。 初期症状としては、声がかすれたり、咳が出たり、呼吸が速くなったりすることがあります。重症化すると、顔が腫れたり、口の中や喉に水ぶくれができたり、息を吸うたびにヒューヒューと音がする喘鳴が現れたりします。さらにひどくなると、呼吸困難に陥り、意識を失うこともあります。気道熱傷は命に関わる危険な状態を引き起こす可能性があるため、火災現場からの救出後には速やかに酸素吸入などの適切な処置を行う必要があります。適切な治療が行われなければ、後遺症が残る可能性も懸念されます。そのため、火災現場では煙を吸い込まないように低い姿勢で避難すること、濡れタオルなどで口と鼻を覆うこと、そして少しでも煙を吸い込んだ場合はすぐに医療機関を受診することが重要です。
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命を守る気道確保:緊急時の基礎知識

人が生きていく上で欠かせない呼吸。その呼吸を支える空気の通り道、すなわち気道を確保する行為こそが、気道確保です。何らかの理由で気道が狭くなったり、完全に塞がったりした場合、空気の通りを良くして呼吸を助けるための処置を指します。 気道が狭くなったり、塞がったりする原因は様々です。例えば、意識を失うと舌の付け根が沈み込み、気道を圧迫することがあります。また、食べ物などが誤って気管に入り込む、いわゆる誤嚥も気道閉塞の大きな原因の一つです。さらに、アレルギー反応などによって喉が腫れ上がることで、気道が狭くなることもあります。このような緊急事態において、適切な気道確保を行うことは、救命に直結する極めて重要な行為です。 迅速かつ的確な気道確保は、体への酸素供給を維持し、脳への酸素不足による損傷を最小限に抑えるために不可欠です。酸素が脳に届かなくなると、数分後には脳細胞が壊れ始め、取り返しのつかない後遺症が残る可能性も高まります。そのため、一刻も早く気道を確保し、酸素を送り込む必要があります。 気道確保は、救急隊員や医師、看護師といった医療に携わる人にとって必須の技術です。しかし、一般の人々も基本的な知識と技術を身につけておくことで、いざという時に家族や周りの人を助けることができるかもしれません。日頃から、地域の防災訓練や講習会などに積極的に参加し、正しい気道確保の方法を学んでおくことが大切です。また、応急手当の方法を解説した書籍や動画なども参考にし、いざという時に備えましょう。