潜水病

記事数:(1)

救命治療

減圧症:潜水の危険と安全対策

減圧症は、潜水作業やスキューバダイビングなどで高い水圧下に置かれたのち、急に低い水圧の環境に戻ると発症する病気です。この病気を理解するためには、まず私たちの体が水圧によってどのように影響を受けるのかを知ることが重要です。私たちが水中に潜ると、周囲の水圧は深くなるほど高くなります。この水圧の上昇に伴い、呼吸によって体内に取り込まれた空気中の窒素は、血液や体組織に溶け込みます。水圧が高いほど、より多くの窒素が体内に溶け込むのです。これは、炭酸飲料の瓶詰めに似ています。瓶に炭酸飲料を閉じ込める高い圧力が水圧、炭酸飲料に溶けている炭酸ガスが窒素に相当します。 さて、水中から水面に浮上する、つまり低い水圧の環境に戻る過程を考えてみましょう。もし急激に浮上すると、どうなるでしょうか。体内に溶け込んでいた窒素は、圧力の低下により気泡となります。これは、炭酸飲料の瓶の蓋を急に開けたときに、炭酸ガスが泡となって吹き出す現象と同じです。体内で発生した窒素の気泡は、血管を詰まらせたり、神経を圧迫したりします。これが、減圧症の様々な症状を引き起こす原因です。関節痛や筋肉痛、めまい、吐き気、麻痺、意識障害など、症状は多岐にわたります。重症の場合、生命に関わることもあります。ダイビングを行う際は、ゆっくりと浮上することで、体内の窒素が徐々に放出され、気泡の発生を抑えることができます。安全なダイビングを楽しむためにも、減圧症の知識を身につけ、適切な手順を守ることが大切です。