細菌感染

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救命治療

壊死性筋膜炎:脅威と対策

壊死性筋膜炎は、皮膚のすぐ下にある浅層筋膜に細菌が感染することで発症する、急速に組織が壊死していく恐ろしい病気です。浅層筋膜とは、筋肉や皮下脂肪などを覆っている薄い膜のことを指します。この膜に細菌が侵入し増殖することで、周辺の組織が壊死、つまり細胞が死んでいくのです。まるで腐った果物が広がるように、壊死が急速に広がるのがこの病気の特徴です。重症化すると、多臓器不全などを引き起こし、命に関わるケースも少なくありません。 この病気の恐ろしい点は、些細なきっかけで発症する可能性があることです。例えば、小さな切り傷や虫刺され、注射痕、軽い打撲、やけどなど、日常生活でよくあるちょっとした傷が原因となることがあります。そのため、誰にとっても他人事ではありません。健康な人でも感染する可能性があり、特に免疫力が低下している高齢者や糖尿病患者などは注意が必要です。 壊死性筋膜炎は、感染初期には発赤や腫れ、痛みなどの症状が現れます。しかし、これらの症状は他の病気と似ているため、見過ごされてしまうことも少なくありません。感染が進むと、高熱や激しい痛み、水ぶくれなどが現れ、皮膚の色が紫色や黒色に変化していきます。さらに重症化すると、血液凝固異常や敗血症といった生命に関わる合併症を引き起こす可能性が高まります。敗血症とは、感染によって体内で炎症反応が過剰に起こり、臓器の機能不全に陥る状態です。壊死性筋膜炎が敗血症へと進行すると、予後不良となるケースが多く、早期発見と迅速な治療が何よりも重要です。少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。