ハンドル外傷:交通事故の危険
ハンドル外傷とは、交通事故の際に、運転席に座っていた人が体の正面にあるハンドルにぶつかることで起こる様々な外傷のことを指します。自動車の衝突や急ブレーキといった強い衝撃によって、ハンドルが胸やお腹に大きな力を加え、内臓を傷つける危険性があります。
事故の直後は、体の表面に目立った外傷がない、あるいは軽い打撲のように見える場合でも、内臓に深刻な損傷を受けている可能性があります。見た目では分かりにくい内部の損傷を見逃すと、命に関わる事態に発展することもありますので、注意が必要です。
ハンドル外傷によって損傷を受けやすい臓器としては、心臓、肺といった呼吸器系、肝臓、膵臓、脾臓といった消化器系が挙げられます。心臓が損傷すると、心機能の低下や不整脈を引き起こす可能性があり、肺が損傷すると、呼吸困難や血胸といった症状が現れることがあります。また、肝臓や膵臓、脾臓は、出血しやすい臓器であるため、損傷を受けると大量出血を起こし、ショック状態に陥る危険性があります。十二指腸も損傷しやすい臓器の一つで、損傷すると消化液が漏れ出し、腹膜炎を引き起こすことがあります。
交通事故に遭い、胸やお腹に痛みや違和感、圧迫感、息苦しさ、吐き気などの症状がある場合は、たとえ軽い症状であっても、すぐに医療機関を受診し、検査を受けることが大切です。特に、シートベルトを着用していた場合でも、ハンドル外傷は起こり得ますので、油断は禁物です。早期に適切な治療を受けることで、後遺症のリスクを減らし、健康な状態を取り戻すことに繋がります。