JPTEC:命を守る外傷救護の標準
突然起こる交通事故や高いところからの転落事故などは、体に大きな傷を負わせる外傷を引き起こし、命に関わる重大な事態につながることがあります。一刻も早く適切な処置をすることが生死を分けるため、救急隊員による迅速で的確な対応が求められます。日本において、このような外傷による死亡を減らすために、病院前外傷観察・処置標準教育活動計画、略してJPTECが作られました。
JPTECは、救急隊員が事故現場で、全国どこでも同じ手順で観察や処置を行うための方法を決めたものです。これは、本来防ぐことができた外傷による死亡を減らすという大きな目標を掲げています。JPTEC委員会が平成15年に発足して以来、全国で多くの救急隊員がこの計画に基づいた訓練を受け、質の高い外傷の手当を提供できるよう、日々努力を続けています。
JPTECは、具体的には、傷の程度や呼吸の状態、脈拍などを速やかに確認し、適切な処置を行う手順を定めています。例えば、気道確保や酸素吸入、出血の抑制、骨折の固定など、患者の状態を悪化させないための応急処置を迅速かつ的確に行うことが重要です。また、病院への搬送についても、患者の容体や外傷の種類に応じて適切な医療機関を選定し、速やかに搬送する手順が定められています。これらの手順を統一することで、救急隊員の対応の質を高め、防ぐことのできた外傷死を減らすことに貢献しています。JPTECは、私たちの安全で安心できる暮らしを守る上で重要な役割を担っていると言えるでしょう。