輸液

記事数:(1)

救命治療

高浸透圧非ケトン性昏睡:糖尿病の危険な合併症

高浸透圧非ケトン性昏睡は、糖尿病の合併症の一つで、命に関わる危険な状態です。この病態は、血液中の糖分が極めて高濃度になることで引き起こされます。名前の通り、ケトン体と呼ばれる物質は作られません。似たような状態にケトアシドーシス性昏睡がありますが、こちらはケトン体が作られることが大きな違いです。 高浸透圧非ケトン性昏睡は、体内の水分が著しく失われることで意識障害に陥ります。血液中の糖分が過剰になると、腎臓を通して糖分が尿中に排出されます。この時、水分も一緒に排出されるため、脱水状態を引き起こすのです。さらに、のどの渇きを感じにくくなるため、水分を十分に摂ることができず、脱水が悪化し、意識が混濁していきます。 この病態は、高齢の糖尿病患者に多く見られます。特に、感染症にかかったり、手術を受けたり、特定の薬を服用したことがきっかけで発症することがあります。高カロリーの点滴やステロイド剤、一部の血圧を下げる利尿剤などが、発症の危険性を高める薬の例です。 高浸透圧非ケトン性昏睡の怖いところは、自覚症状が少ないことです。そのため、患者さん自身が異変に気づくのが難しく、周囲の人が異変に気づき、迅速な対応をすることが重要です。初期症状としては、口の渇きや多尿、倦怠感などが見られますが、これらの症状は他の病気でも見られるため、見過ごされやすいのです。症状が進むと、意識が混濁し、反応が鈍くなり、最終的には昏睡状態に陥ります。もし、糖尿病患者でこのような症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。