関東大震災

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地震

海底の脅威:トラフとは?

海底に細長く伸びる谷のような地形、それがトラフです。陸上の谷とよく似た形をしていますが、水深が6000メートルよりも浅いものを指します。この深さは富士山の高さを優に超えるほどで、途方もない深さを持つ谷が海底に存在していることになります。トラフの斜面は急峻で、谷底は平らな形状をしています。まるで海底に深い溝が刻まれているかのような姿です。 このトラフは、地球の表面を覆う巨大な板状の岩盤、すなわちプレートの動きによって作られます。地球の表面はいくつかのプレートで覆われており、これらのプレートは互いに押し合い、または片方がもう片方の下に沈み込むといった動きを常に繰り返しています。トラフは、海のプレートが陸のプレートの下に沈み込む場所、すなわち沈み込み帯に形成されます。 海のプレートが陸のプレートの下に沈み込む際、海の底も一緒に引きずり込まれます。この引きずり込まれる作用によって、海底に深い溝が作られ、トラフが形成されるのです。トラフ周辺では、プレート同士がぶつかり合うために、地質活動が非常に活発です。そのため、大きな地震が発生しやすく、また、地震に伴って津波が発生する危険性も高い地域です。トラフの存在は、地球内部のダイナミックな活動を示す証拠の一つであり、同時に我々が暮らす地球の大きな脅威ともなりうるのです。
災害に備える

防災の日:備えあれば憂いなし

今からちょうど百年、大正十二年九月一日の午前十一時五十九分、関東地方をマグニチュード7.9という巨大地震が襲いました。後に「関東大震災」と呼ばれる未曾有の大災害です。震源は神奈川県相模湾北西沖。首都東京をはじめ、神奈川、千葉、埼玉、静岡など関東地方の広い範囲が激しく揺れました。 揺れによる建物の倒壊はもちろんのこと、地震発生時刻がちょうど昼食の準備をしている時間帯と重なったために、火災が各地で発生しました。強風にあおられた火は瞬く間に燃え広がり、東京の下町一帯を火の海に変えました。人々は逃げ惑い、多くの尊い命が犠牲となりました。さらには、混乱の中で流言飛語が広まり、社会不安を増大させました。当時の記録によれば、死者・行方不明者は約十万五千人。近代日本の発展を根底から揺るがす大惨事となりました。 この大震災の教訓を後世に伝え、災害への備えを怠らないようにとの願いから、九月一日は「防災の日」と定められました。毎年この日には、全国各地で防災訓練や啓発活動が行われています。大震災から百年が経ち、私たちの生活は大きく変化しましたが、自然災害の脅威は今も変わりません。関東大震災の記憶を風化させることなく、日頃から防災意識を高め、家庭や地域で防災対策をしっかり行うことが大切です。家具の固定や非常持ち出し袋の準備はもちろんのこと、家族や地域との連絡方法の確認、避難場所の確認なども重要です。未来の災害から命を守るために、防災の日をきっかけに、今一度、備えを見直しましょう。
地震

首都直下地震への備え

『首都直下地震』とは、私たちの暮らす首都圏の直下で起こる地震のことです。これは、大きく分けて二つの種類が考えられています。一つは、相模湾の海底深くにある『相模トラフ』と呼ばれるプレートの境界で起こる非常に大きな地震です。この種類は、過去に大きな被害をもたらした大正関東地震(関東大震災)と同じタイプのものです。関東大震災では、揺れによる建物の倒壊や火災の発生、そして津波などによって多くの尊い命が奪われました。 もう一つは、首都圏の地下深くにある活断層で起こる地震です。こちらは相模トラフの地震よりは規模は小さいものの、人口が密集した都市部の真下で起こるため、大きな被害が出ることが予想されます。活断層は、過去に何度もずれ動いた地面の割れ目のことで、これらが動くことによって地震が発生します。首都圏には、こうした活断層が数多く存在しています。 政府は、これらの二つのタイプの地震をまとめて『首都直下地震』と呼び、今後30年以内に70%の確率でマグニチュード7クラスの地震が発生すると予測しています。これは、いつ起こってもおかしくない高い確率です。私たちは、首都直下地震の発生を他人事と考えず、日頃から防災意識を高め、家具の固定や非常持ち出し袋の準備など、適切な備えを行う必要があります。また、家族や地域との連携を深め、災害発生時の対応について話し合っておくことも大切です。一人ひとりが防災意識を持ち、行動することで、被害を最小限に食い止めることができるのです。
津波

津波の脅威と防災対策

津波は、海で起こる大きな変化によって発生する恐ろしい自然災害です。津波を引き起こす原因はいくつかありますが、最も多いのは海底で起こる地震です。海底で地震が起きると、海底の地盤が大きく隆起したり、反対に沈んだりします。この激しい地盤の動きが、その上にある海水を大きく揺らし、波として四方八方に広がるのです。これが津波の始まりです。津波の波は、普通の波とは違って波の間隔が非常に長く、数百キロメートルにも及ぶことがあります。沖合では波の高さはそれほど高くありませんが、海岸に近づくにつれて水深が浅くなるため、波のエネルギーが狭い範囲に集中し、波の高さが急激に高くなります。これが、津波が沿岸地域に甚大な被害をもたらす理由です。 地震以外にも、津波を引き起こす原因はあります。海底火山の噴火もその一つです。海底火山が噴火すると、大量の火山灰や溶岩が海に流れ込み、海水を押し上げます。この押し上げられた海水が津波となって広がっていくのです。また、海底地すべりも津波の原因となります。海底の斜面で地盤が崩れると、大量の土砂が海に流れ込み、やはり海水を押し上げて津波を発生させるのです。海底火山の噴火や海底地すべりで発生する津波は、地震による津波に比べると発生する回数は少ないですが、局地的に非常に大きな津波が発生する可能性があり、決して油断はできません。津波の発生原因を正しく理解することは、津波を予測したり、効果的な防災対策を考えたりする上で非常に重要です。そして、日頃から津波への備えをしておくことが、私たちの命と財産を守る上で欠かせないと言えるでしょう。
地震

マグニチュード:地震の規模を読み解く

地震が発生すると、報道で必ず伝えられるのが「規模」です。この規模を示す尺度が「マグニチュード」と呼ばれ、震源で放出されたエネルギーの大きさを表しています。マグニチュードの数字が大きければ大きいほど、地震の規模も大きくなります。 このマグニチュードは、値のわずかな違いがエネルギーの大きな差に繋がるため、注意深く理解する必要があります。マグニチュードが1増えると、地震のエネルギーは約32倍になり、2増えると約1000倍、3増えるとなんと約32000倍にも跳ね上がります。つまり、マグニチュード7の地震とマグニチュード9の地震では、エネルギーの差は実に1000倍にもなるのです。これはマグニチュードが1上がるごとに、エネルギーが飛躍的に増大することを意味しています。 過去の地震を例に考えてみましょう。1923年の関東大震災はマグニチュード7.9、1995年の兵庫県南部地震は7.2でした。これらの地震は私たちの記憶に新しい大きな被害をもたらしました。また、2011年の東日本大震災はマグニチュード9.0を記録し、未曾有の被害をもたらしました。これらの事例からも、マグニチュードのわずかな違いが、どれほど大きなエネルギーの差を生み出し、甚大な被害に繋がるのかを理解することが大切です。日頃から防災意識を高め、地震への備えを怠らないようにしましょう。