骨折

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フォルクマン拘縮:知っておくべき知識

腕の骨が折れる、特に子供の上腕の骨が折れた時に、フォルクマン拘縮という恐ろしい後遺症が起こることがあります。これは、前腕の筋肉が縮んで硬くなってしまう病気で、日常生活に大きな影響を及ぼします。 この病気は、骨折によって腕の血管や神経が傷つけられることで起こります。折れた骨の周りの筋肉が腫れ上がり、血管を圧迫することで、筋肉への血流が滞ってしまうのです。血流が不足すると、筋肉は酸素や栄養を受け取ることができなくなり、次第に縮んで硬くなっていきます。特に、肘の近くの骨折で起こりやすいとされています。 フォルクマン拘縮の初期症状としては、指先の痺れや冷たさ、腫れ、痛みなどが挙げられます。また、指を動かそうとしても動かしにくくなり、握力が低下することもあります。症状が進むと、手首が曲がったまま伸びなくなり、指も曲がったまま伸びなくなることがあります。このような状態になると、字を書いたり、箸を使ったり、ボタンを掛けたりといった日常の動作が困難になります。 フォルクマン拘縮の治療は、早期発見、早期治療が非常に重要です。初期の段階であれば、手術によって血管や神経の圧迫を取り除き、血流を回復させることで、症状の進行を食い止めることができます。しかし、症状が進行してしまうと、筋肉の移植や腱の延長術など、より大掛かりな手術が必要になる場合もあります。また、手術後もリハビリテーションを続けることで、手の機能を回復させることが大切です。 フォルクマン拘縮は、適切な処置を行うことで予防できる可能性のある病気です。骨折をした際は、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。また、ギプスや包帯などで固定する際は、締め付けすぎないように注意し、血流が悪化しないように気を配る必要があります。定期的に指先の状態を確認し、少しでも異常を感じたら、すぐに医師に相談しましょう。
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墜落の危険と対策

墜落とは、文字通り空中に浮いた状態から落下することを指します。階段や坂道を滑り落ちる転落とは異なり、一時的に宙に浮く点が大きな違いです。高い場所からの落下は、地面との衝突による衝撃で重大な怪我につながる危険性を孕んでいます。 落下による怪我の程度は、落下する高さに大きく左右されます。高い場所から落ちれば、それだけ衝撃も大きくなります。また、地面の状態も重要な要素です。固いコンクリートに落下した場合と、柔らかい芝生に落下した場合では、受ける衝撃は全く異なり、怪我の程度も大きく変わります。コンクリートへの落下は、骨折だけでなく内臓損傷などの重傷を負う可能性も高まります。一方で、芝生であれば衝撃が吸収されるため、怪我の程度は軽減される可能性があります。 さらに、身体のどの部分が最初に地面に接触するかも怪我の程度に影響します。頭から落下した場合、脳挫傷などの致命傷に至る危険性が非常に高くなります。足から着地した場合でも、足首や膝、股関節の骨折、あるいは脊椎損傷などの重傷を負う可能性があります。腕から着地しようとして反射的に手をついた場合も、手首や肘の骨折につながることがあります。 このように、墜落は様々な要因が複雑に絡み合い、怪我の程度が大きく変化します。高い場所での作業や、不安定な足場での行動は、墜落の危険性を高めます。そのため、墜落事故を防ぐためには、安全対策を徹底することが不可欠です。安全帯の着用や、足場の点検など、状況に応じた適切な対策を講じることで、墜落の危険性を最小限に抑えられます。
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コンパートメント症候群:緊急を要する症状

私たちの腕や脚の筋肉は、いくつかの束に分かれています。それぞれの束は、骨と筋膜と呼ばれる膜に囲まれた区画の中に収まっています。この区画のことをコンパートメントといいます。コンパートメント症候群とは、このコンパートメント内にある筋肉や神経、血管が圧迫されることで起こる深刻な状態です。 コンパートメント内の圧力が高まる原因は様々です。最も多いのは、骨折や打撲などの外傷です。骨が折れたり、組織が損傷したりすると、出血や腫れが生じます。これによりコンパートメント内の圧力が高まり、神経や血管を圧迫してしまうのです。また、激しい運動もコンパートメント症候群を引き起こす可能性があります。ランニングやジャンプのような繰り返しの動作により、筋肉が腫れ上がり、コンパートメント内の圧力が増加することがあります。 コンパートメント症候群の初期症状としては、強い痛みやしびれが挙げられます。患部は腫れ上がり、触ると硬く感じることがあります。さらに症状が進行すると、感覚が鈍くなったり、筋肉が麻痺したりすることもあります。最悪の場合、放置すると組織が壊死し、手足を切断しなければならないケースもあります。 コンパートメント症候群は早期発見、早期治療が重要です。疑わしい症状が現れたら、すぐに医療機関を受診しましょう。適切な処置を受ければ、多くの場合、後遺症を残さずに回復できます。予防策としては、運動前後の適切なストレッチや、運動中の水分補給などが有効です。また、外傷を負った場合は、患部を高く上げて安静にすることが大切です。