
アレルギーと救急医療
アレルギーとは、特定の物資(抗原)に対して、私たちの体が過剰に反応してしまうことを指します。例えば、花粉、食べ物、薬、虫の毒などが原因となることがあります。初めてその物資に触れたときは、体に変化が現れないことも珍しくありません。しかし、再び同じ物資に接触すると、私たちの体の防衛機構である免疫システムが、その物資を有害なものと誤って認識し、攻撃を始めてしまいます。これがアレルギー反応です。
この反応は、実に様々な形で現れます。皮膚にかゆみを感じたり、発疹が出たりすることがあります。また、くしゃみや鼻水、涙などの症状が出ることもあります。さらに、息苦しさやゼーゼーとした呼吸困難といった、呼吸器に関連する症状が現れる場合もあります。時には、下痢や腹痛といった消化器系の症状が出ることもあります。アレルギー反応の程度は人によって大きく異なり、軽い症状ですむ場合もあれば、命に関わるような重い症状を引き起こす場合もあります。
アレルギー反応は、大きく分けて即時型、細胞傷害型、免疫複合体型、遅延型の四つの型に分類されます。救急医療の現場で特に注意が必要なのは、即時型アレルギーです。即時型アレルギーは、原因となる物資に触れてから数分~数十分以内に症状が現れるのが特徴で、じんましん、呼吸困難、血圧低下などを引き起こし、アナフィラキシーショックと呼ばれる生命を脅かす状態に陥ることもあります。アナフィラキシーショックは、迅速な治療が必要となるため、救急医療においては、即時型アレルギーへの対応が非常に重要となります。