救命治療 急性肺傷害:知っておくべき基礎知識
急性肺傷害(急性肺しょうがい)は、肺に急速に発生する深刻な病気です。様々な要因で発症し、呼吸機能を著しく低下させる危険な状態です。私たちの肺の中には、空気中の酸素を取り込み、体内で発生した二酸化炭素を排出するための、肺胞と呼ばれる小さな袋がたくさんあります。肺胞の周りには、毛細血管と呼ばれる細い血管が網の目のように張り巡らされており、ここで酸素と二酸化炭素の交換が行われます。急性肺傷害では、これらの肺胞や毛細血管が損傷を受けます。損傷を受けた肺胞や毛細血管は、酸素をうまく取り込めなくなり、血液中の酸素濃度が低下します。その結果、息苦しさや呼吸困難といった症状が現れます。急性肺傷害は、外傷や手術後、感染症、薬物、化学物質の吸入など、様々な原因で引き起こされることがあります。また、アメリカとヨーロッパの合同会議で提唱された急性呼吸障害の概念の一つであり、発症から比較的短い時間で症状が現れるのが特徴です。胸部エックス線写真で、両方の肺に浸潤影と呼ばれる白い影が見られ、血液中の酸素濃度が著しく低下している状態が、急性肺傷害を示す所見となります。ただし、心臓の働きが悪くなることで起こる呼吸不全は、急性肺傷害には含まれません。急性肺傷害は、放置するとさらに重症化し、急性呼吸窮迫症候群(急性こきゅうきゅうはくしょうこうぐん)と呼ばれるさらに深刻な状態に進行する可能性があります。そのため、早期の診断と適切な治療が非常に重要です。呼吸が苦しい、息切れがするなどの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。
