核温:深部体温の重要性

核温:深部体温の重要性

防災を知りたい

先生、「核温」って災害時に体温を測る必要があるんですか?

防災アドバイザー

そうだね。災害時は、熱中症や低体温症といった体温の異常で健康被害が起こることがあるから、体温を測ることはとても大切なんだ。特に「核温」は体の深部の温度で、周りの温度に影響されにくいから、体の状態を正しく知るのに役立つんだよ。

防災を知りたい

なるほど。でも、体温計で測る体温とどう違うんですか?

防災アドバイザー

普段脇の下で測る体温は体表温といって、外の温度の影響を受けやすいんだ。核温はそれより深部の温度で、鼓膜や直腸で測ることでより正確な体の状態を把握できる。災害時のような環境の変化が大きいときは特に重要なんだよ。

核温とは。

体の奥深くの温度である「核温」について説明します。体温は体の場所によって違い、大きく分けて体の奥深くの温度(核温または中枢温、深部体温)と体の表面の温度(体表温または末梢温)の2種類があります。核温は体の深部の温度なので、外気温の影響を受けにくく、ほぼ一定に保たれています。鼓膜(耳の中の膜)の温度、直腸の温度、膀胱の温度、スワンガンツカテーテル(心臓などに挿入する管)の先端で測る血液の温度などが核温にあたります。熱中症や偶然に起こる低体温症、治療で行う低体温療法などでは、核温を測ることがとても大切です。一方で、体表温の代表的なものはわきの下などで測る皮膚の温度で、核温とは大きく異なる場合がよくあります。

体温の分類

体温の分類

人の体温は、体のどの部分を測るかによって温度が変わり、大きく分けて中心部の温度(核温)表面の温度(体表温)の2種類に分けられます。中心部の温度は、中枢温や深部体温とも呼ばれ、体の奥深くの温度を表します。脳や心臓、肝臓など、生命活動の中心となる臓器が集まっている部分の温度であり、外気温の影響を受けにくくほぼ一定に保たれています。これは、生命維持にとって非常に重要です。体温調節中枢である間脳の視床下部が、自律神経やホルモンを通して、熱の産生と放散を調整することで、中心部の温度を一定に保つ働きをしています。

一方、表面の温度は皮膚温とも呼ばれ、文字通り体の表面の温度のことです。表面の温度は、外気温の影響を非常に受けやすいのが特徴です。気温が低い冬に外で長時間過ごすと、表面の温度は下がりますが、中心部の温度は一定に保たれるように体は調整を行います。この調整は、皮膚の血管を収縮させて熱の放散を抑えたり、筋肉を震わせて熱を産生したりすることで行われます。

表面の温度と中心部の温度には、常に差があります。健康な人の場合、中心部の温度は約37度で、表面の温度はそれよりも数度低いのが一般的です。また、表面の温度は体の部位によっても異なり、手足の先などは特に低くなります。これは、手足の先は体の中心部から遠く、血液の流れも少ないためです。

このように、中心部の温度と表面の温度はそれぞれ異なった特徴を持っており、人の体の状態を反映しています。健康管理や病気の診断において、体温を測ることは基本的なことであり、体温の種類と特徴を理解することは重要です。

項目 中心部の温度(核温) 表面の温度(体表温)
別名 中枢温、深部体温 皮膚温
説明 体の奥深くの温度(脳、心臓、肝臓など) 体の表面の温度
外気温の影響 受けにくい 受けやすい
温度 約37度 中心部より数度低い
部位による差 ほぼ一定 あり(手足の先など低い)
調整機能 視床下部が自律神経やホルモンで調整 皮膚の血管収縮、筋肉の震え

核温の測定部位

核温の測定部位

核温とは、体の深部の温度のことで、生命活動の中枢となる脳や内臓の温度を指します。体の表面温度である皮膚温は、気温や衣服、運動などの影響を受けやすく変動しやすいのに対し、核温は比較的安定しています。この核温を正確に測ることは、患者の状態を把握し、適切な治療を行う上で非常に重要です。

核温は体の深部に位置するため、一般的な体温計で測ることはできません。そこで、体の深部の温度を反映する部位を測定することで、間接的に核温を推定します。代表的な測定部位としては、鼓膜、直腸、膀胱などがあります。

鼓膜温は、鼓膜から放射される赤外線量を感知して温度を測定します。鼓膜は脳に近い位置にあるため、深部体温を比較的正確に反映します。専用の機器を用いて非接触で手軽に測定できるという利点があります。しかし、耳垢が詰まっている場合や中耳炎など耳の病気を患っている場合は、正確な測定が難しい場合があります。

直腸温は、肛門から直腸に体温計を挿入して測定する方法です。直腸は体の深部に位置し、周囲を筋肉で覆われているため、外気温の影響を受けにくく、安定した測定値が得られます。そのため、現在でも最も正確な核温測定法の一つと考えられています。しかし、挿入という行為に抵抗感を持つ患者もいることや、測定に手間がかかるという難点があります。

膀胱温は、尿道から膀胱内に留置カテーテルを挿入し、そのカテーテルに内蔵された温度センサーで測定します。持続的にリアルタイムで体温を監視できるため、手術中や集中治療室などで重症患者に対して用いられます。ただし、カテーテル挿入に伴う感染症のリスクがあるため、常に必要というわけではありません。

その他、心臓カテーテル検査などの特殊な医療行為において、心臓に挿入したスワンガンツカテーテルの先端で肺動脈内の血液温を測定する方法も、核温の測定として用いられます。

このように、それぞれの測定部位には利点と欠点があります。患者の状態や測定の目的、医療現場の状況などを考慮して、適切な測定部位と測定方法を選択することが重要です。

測定部位 方法 利点 欠点
鼓膜 鼓膜からの赤外線量を感知 脳に近い、非接触、手軽 耳垢詰まり、中耳炎の場合正確な測定不可
直腸 肛門から直腸に体温計挿入 外気温の影響を受けにくい、安定した測定値、正確 抵抗感、手間
膀胱 留置カテーテル内の温度センサー 持続的リアルタイム監視 感染症リスク
肺動脈 スワンガンツカテーテル (心臓カテーテル検査時) 特殊な医療行為

体表温との違い

体表温との違い

体温を知ることは、健康管理の基本です。体温と聞いて、わきの下で測る温度を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。これは体表温と呼ばれ、体の表面の温度を表しています。わきの下で測る以外にも、額や耳で測る方法もあります。これらの体表温は、周囲の温度に影響されやすいという特徴があります。例えば、寒い屋外に長くいると、体表温は下がります。逆に、暑い場所にいたり、激しい運動をした後は、体表温は上がります。つまり、体表温は刻々と変化するものであり、体の内部の状態を正確に反映しているとは言えません。

一方、体の内部の温度は核温と呼ばれ、生命活動の維持に欠かせない重要な指標です。核温は、脳や心臓、肝臓などの臓器の温度を指し、通常は体表温よりも高い値を示します。核温は、体表温のように周囲の温度に左右されにくく、常に一定の狭い範囲に保たれています。これは、自律神経系やホルモンなどによる精緻な体温調節機構が働いているためです。この体温調節機構は、まるで室温を一定に保つエアコンのように、常に体の内部の温度を最適な状態に保つよう機能しています。もし、核温が著しく低下したり上昇したりすると、生命活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

体表温と核温、この二つの体温の違いを理解することは、健康状態を正しく把握するために重要です。体表温は、周囲の温度や活動量などの影響を受けやすいため、一時的な変動に過剰に反応する必要はありません。しかし、体表温の変化が続く場合や、だるさ、発熱などの症状を伴う場合は、核温を測り、体の内部の状態を詳しく確認することが大切です。そして、必要に応じて医療機関を受診するようにしましょう。

項目 体表温 核温
測定部位 わきの下、額、耳など 脳、心臓、肝臓など
特徴 周囲の温度の影響を受けやすい 周囲の温度の影響を受けにくい
変動 刻々と変化する 一定の狭い範囲に保たれる
重要性 健康状態の把握に役立つ 生命活動の維持に不可欠

核温測定の重要性

核温測定の重要性

人の体の奥深くの温度、いわゆる核温を測ることは、様々な病気の診断や治療において極めて大切です。核温とは、体の主要な臓器の温度のことを指し、生命活動の中心となる部分の温度を反映しているため、体表面の温度である体表温よりも、体の状態をより正確に把握できるからです。

例えば、夏の暑い時期に気を付けなければならない熱中症は、体温をうまく調節できなくなり、核温が上昇することで起こる深刻な病気です。この場合、体表温は周囲の気温の影響を受けやすく、必ずしも体の内部の状態を反映しているとは限りません。しかし、核温を測ることで、熱中症の重症度を正確に評価し、適切な処置を行うことができます。

また、長時間寒い環境に置かれることで起こる偶発性低体温症も、核温の低下が主な症状です。この場合も、核温を測定することで、低体温症の程度を正確に把握し、適切な保温や加温などの処置を行うことができます

さらに、脳に損傷を負ったり、心臓が止まってしまったりした患者に対して行われる低体温療法では、意図的に核温を下げることで、脳や心臓への負担を軽減し、回復を促します。この治療においては、核温を精密に測定し、適切な範囲内に保つことが非常に重要です。わずかな温度の変化が患者の予後に大きく影響するため、常に注意深く管理しなければなりません。

このように、核温の測定は、様々な病気の診断と治療において欠かすことのできないものです。医療現場では、鼓膜温測定や食道温測定、直腸温測定など、様々な方法で核温を測定し、患者さんの状態を正確に把握することで、より適切な医療を提供できるよう努めています。

病気/症状 核温の役割 測定方法
熱中症 重症度評価、適切な処置 鼓膜温測定、食道温測定、直腸温測定など
偶発性低体温症 低体温症程度の把握、適切な処置 鼓膜温測定、食道温測定、直腸温測定など
脳損傷、心停止後の低体温療法 脳や心臓への負担軽減、回復促進のための温度管理 鼓膜温測定、食道温測定、直腸温測定など

まとめ

まとめ

人の体温には、大きく分けて二つの種類があります。体の奥深く、内臓などの中心部の温度を核温と言い、皮膚など体の表面の温度を体表温と言います。

核温は、周りの温度変化に左右されにくいという特徴があります。これは、人の体が体温を一定に保とうとする働きがあるためです。核温は、体の内部の状態を正確に反映するため、病気の診断や治療にとって大切な目安となります。例えば、熱中症や思わぬことで体が冷えてしまう偶発性低体温症、また、治療として意図的に体温を下げる低体温療法などでは、核温を測ることが特に重要です。核温が正常範囲から大きく外れると、生命に関わる危険な状態に陥る可能性もあるため、注意深く観察する必要があります。

一方、体表温は周りの温度の影響を受けやすい性質を持っています。そのため、寒い場所に長くいると体表温は下がり、暑い場所に長くいると体表温は上がります。このため、体表温と核温に差が生じることもあります。例えば、気温の低い冬に屋外で長時間過ごした後、すぐに体温を測ると、実際の体の内部の温度よりも低い値が表示されることがあります。これは、冷えた皮膚の温度が体温計に影響を与えているためです。

このように、体温を正しく理解するためには、核温と体表温の違いを理解し、状況に応じて適切な測定方法を選ぶことが重要です。普段から自分の体温を意識することで、体の変化に早く気づき、健康管理に役立てることができます。また、体温計の種類によって測定部位や方法が異なるため、それぞれの体温計の正しい使い方を理解しておくことも大切です。

項目 核温 体表温
定義 体の奥深く、内臓などの中心部の温度 皮膚など体の表面の温度
特徴 周りの温度変化に左右されにくい 周りの温度の影響を受けやすい
重要性 病気の診断や治療の目安、生命に関わる危険な状態の把握 体の変化の把握、健康管理
測定時の注意点 正確な測定が重要 測定部位や方法に注意
関連する症状・治療 熱中症、偶発性低体温症、低体温療法