憩室炎

記事数:(1)

救命治療

限局性腹膜炎:局所的な炎症

お腹の中には、胃や腸、肝臓など、様々な臓器が収められています。これらの臓器は薄い膜で包まれており、この膜を腹膜と言います。この腹膜に何らかの原因で炎症が起きる病気を腹膜炎と言います。腹膜炎は、炎症の広がり方によって大きく二つの種類に分けられます。一つは汎発性腹膜炎です。これは、腹膜の炎症がお腹全体に広がっている状態を指します。例えば、虫垂炎が破裂した場合や胃に穴が開いた場合など、腹腔内に細菌が広がり、激しい炎症を引き起こします。高熱や強い腹痛、吐き気などの症状が現れ、緊急手術が必要となる重篤な状態です。迅速な治療が求められるため、早期発見が非常に重要になります。もう一つは限局性腹膜炎です。これは、炎症が腹膜の一部に限局している状態です。例えば、虫垂炎の初期段階などでは、炎症が周囲の組織によって抑え込まれ、広範囲に広がるのを防いでいます。そのため、汎発性腹膜炎に比べて症状は軽く、腹部の特定の場所に軽い痛みを感じる程度の場合もあります。限局性腹膜炎の場合、抗生物質による治療などで改善することもありますが、炎症が治まらずに膿が溜まってしまうと、膿瘍を形成することがあります。膿瘍が大きくなると、周囲の臓器を圧迫したり、破裂して汎発性腹膜炎に移行する危険性もあるため、注意が必要です。腹膜炎は、原因や症状、炎症の範囲によって適切な治療法が異なります。腹痛や発熱などの症状が現れた場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、専門医による診断と治療を受けることが大切です。