デング熱に備える
デング熱は、蚊を介して人に広がるウイルス性の病気です。ヒトスジシマカという蚊が、デングウイルスを持っている人を刺し、その後に別の人を刺すことで感染が伝播します。このヒトスジシマカは、黒い体に白い縞模様があるのが特徴で、主に日中に活動し、屋内や屋外問わず人々が生活する場所で吸血します。
デングウイルスに感染すると、3日から7日間の潜伏期間を経て、突然の高熱、強い頭痛、目の奥の痛み、筋肉痛、関節痛、発疹などの症状が現れます。熱は39度を超えることもあり、発疹は体全体に広がることもあります。これらの症状は、2日から7日間ほど続きます。多くの場合、これらの症状は比較的軽く、安静にして水分をしっかりと補給すれば回復に向かいます。しかし、まれに重症化することがあり、デング出血熱やデングショック症候群といった命に関わる状態になることもあります。特に、乳幼児や高齢者、持病のある人は重症化する危険性が高いため、注意が必要です。
デング熱は、世界中の熱帯や亜熱帯地域で広く流行しており、近年では日本でも海外から持ち込まれる事例が増えています。地球温暖化の影響で蚊の生息域が北上しているため、日本国内での感染拡大も心配されています。デング熱に有効なワクチンや特効薬は今のところありません。そのため、感染を防ぐためには、蚊に刺されないようにすることが何よりも大切です。屋外では長袖長ズボンを着用し、肌を露出しないようにしましょう。また、虫除けスプレーなども有効です。家の中でも、蚊の発生源となる水たまりをなくすなど、蚊の繁殖を防ぐ対策を心がけましょう。もしデング熱の疑いがある場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。