糖尿病

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乳酸アシドーシス:知っておくべき知識

乳酸アシドーシスとは、血液中に乳酸と呼ばれる物質が過剰に溜まり、体の状態が酸性に傾く病態です。私たちの体は、呼吸によって取り込んだ酸素を使ってエネルギーを作り出しています。しかし、激しい運動をした時や、酸素が不足している状態では、エネルギーを作る過程で乳酸が大量に作られます。通常は、肝臓や腎臓などで乳酸は分解され、血液中の乳酸濃度は一定に保たれています。しかし、何らかの原因で乳酸の産生量が処理能力を上回ると、血液中に乳酸が蓄積し始めます。これが乳酸アシドーシスと呼ばれる状態で、血液が酸性に傾くと、様々な臓器の働きに支障をきたします。乳酸アシドーシスの原因は様々です。激しい運動や、呼吸困難を引き起こす病気、心不全、敗血症といった重篤な感染症、特定の薬の副作用などが挙げられます。また、糖尿病の患者さんも乳酸アシドーシスを発症するリスクが高いと言われています。糖尿病では、インスリンというホルモンの不足や働きが悪くなることで、糖がエネルギーとしてうまく利用できなくなり、代わりに乳酸が作られやすくなるためです。乳酸アシドーシスは、単独の病気ではなく、他の病気の合併症として現れることが一般的です。症状としては、吐き気、嘔吐、倦怠感、腹痛、呼吸が速くなる、意識障害などが見られます。重症になると、昏睡状態に陥り、生命に関わる危険性もあります。そのため、早期発見と適切な治療が非常に重要です。乳酸アシドーシスの治療では、まず原因となっている病気を特定し、その治療を行います。同時に、酸素吸入や水分補給、重炭酸ナトリウムなどの薬剤投与を行い、血液の酸性度を正常に戻すための処置を行います。
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糖尿病とケトアシドーシス

糖尿病性ケトアシドーシスは、糖尿病の患者さんの血糖値が異常に高くなることで起こる危険な状態です。命に関わることもあるため、正しく理解することが大切です。私たちの体は、通常、食事から摂取した糖分をエネルギー源として利用しています。この糖分を細胞に取り込むために必要なのが、インスリンというホルモンです。糖尿病の患者さんでは、このインスリンが不足していたり、うまく働かなかったりします。インスリンが不足すると、細胞は糖分をエネルギーとして利用できなくなります。体はエネルギー不足を補うため、代わりに脂肪を分解し始めます。脂肪が分解される過程で、ケトン体と呼ばれる物質が作られます。ケトン体は、少量であれば問題ありませんが、大量に作られると血液中に蓄積し、血液を酸性に傾けてしまいます。この状態をアシドーシスといいます。糖尿病によって起こるアシドーシスのため、糖尿病性ケトアシドーシスと呼ばれています。糖尿病性ケトアシドーシスは、吐き気、嘔吐、腹痛、激しい喉の渇き、頻尿、呼吸が速くなるなどの症状が現れます。さらに症状が進むと、意識がぼんやりしたり、昏睡状態に陥ったりすることもあります。放置すると命に関わる危険な状態となるため、迅速な治療が必要です。高血糖だけでなく、感染症や外傷、手術なども糖尿病性ケトアシドーシスを引き起こす要因となるため、普段から血糖コントロールをしっかり行い、体調の変化に気を付けることが重要です。また、インスリンポンプを使用している場合は、ポンプの故障やカテーテルの閉塞にも注意が必要です。少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
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浸透圧利尿:体液バランスの理解

浸透圧利尿とは、体の中の水分や塩分のバランスを保つ働きが、尿の量に影響を与える現象のことです。ふだん、腎臓は体の中の水分と塩分のバランスを細かく調整しています。まるで、体の中の水分量を常に監視している番人のような働きをしています。しかし、血液中に特定の物質(浸透圧物質と呼ばれるもの)が多すぎると、この腎臓の働きに変化が現れます。浸透圧物質とは、砂糖の一種であるグルコースや、尿素窒素などです。これらの物質は、水に溶けると周りの水分を引き寄せる性質があります。血液中にこれらの物質が過剰に存在すると、腎臓にある尿細管という細い管の中も水分で満たされた状態になります。すると、水分が尿の中に引き込まれ、尿の量が増えるのです。これが浸透圧利尿です。浸透圧利尿は、体の中の水分量の調整において大切な役割を担っています。体の中の水分が多すぎる時に、浸透圧利尿によって余分な水分を尿として排出することで、水分量のバランスを保つことができるのです。しかし、過剰な浸透圧利尿は、体の中の水分が失われすぎてしまうことがあります。水分が不足すると、脱水症状が現れたり、体の中の電解質バランスが崩れたりする可能性があります。ひどい場合には、命に関わることもあります。そのため、浸透圧利尿は、体にとって必要な現象である一方、過剰になると危険な状態を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。
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高浸透圧非ケトン性昏睡:糖尿病の危険な合併症

高浸透圧非ケトン性昏睡は、糖尿病の合併症の一つで、命に関わる危険な状態です。この病態は、血液中の糖分が極めて高濃度になることで引き起こされます。名前の通り、ケトン体と呼ばれる物質は作られません。似たような状態にケトアシドーシス性昏睡がありますが、こちらはケトン体が作られることが大きな違いです。高浸透圧非ケトン性昏睡は、体内の水分が著しく失われることで意識障害に陥ります。血液中の糖分が過剰になると、腎臓を通して糖分が尿中に排出されます。この時、水分も一緒に排出されるため、脱水状態を引き起こすのです。さらに、のどの渇きを感じにくくなるため、水分を十分に摂ることができず、脱水が悪化し、意識が混濁していきます。この病態は、高齢の糖尿病患者に多く見られます。特に、感染症にかかったり、手術を受けたり、特定の薬を服用したことがきっかけで発症することがあります。高カロリーの点滴やステロイド剤、一部の血圧を下げる利尿剤などが、発症の危険性を高める薬の例です。高浸透圧非ケトン性昏睡の怖いところは、自覚症状が少ないことです。そのため、患者さん自身が異変に気づくのが難しく、周囲の人が異変に気づき、迅速な対応をすることが重要です。初期症状としては、口の渇きや多尿、倦怠感などが見られますが、これらの症状は他の病気でも見られるため、見過ごされやすいのです。症状が進むと、意識が混濁し、反応が鈍くなり、最終的には昏睡状態に陥ります。もし、糖尿病患者でこのような症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。