AIS:外傷の重症度を測るものさし

AIS:外傷の重症度を測るものさし

防災を知りたい

先生、AISコードって複雑で覚えにくいですね。簡単に説明してもらえませんか?

防災アドバイザー

そうだね。AISコードは怪我の程度を詳しく記録するための暗号みたいなものだよ。例えば、140622.3 というコードは、頭の内部にある脳挫傷で、軽傷であることを表しているんだ。

防災を知りたい

なるほど。数字それぞれに意味があるんですね。ところで、ISSって何ですか?

防災アドバイザー

ISSは、怪我の全体的な重さを数値で表したものだよ。AISコードを使って計算するんだ。つまり、AISコードを正しく理解することがISSを正しく計算するために重要なんだよ。

AISとは。

けがと、けがを防ぐことに関係する言葉「AIS」について説明します。AISとは、1971年にアメリカの自動車医学振興協会から発表された「けがの種類と体のどの部分がどれくらいひどくなったかを表す記号のしくみ」のことです。今は、AIS90update98というものが最新版です。AISの記号は、6つの数字と1つの小数点以下の数字を組み合わせたものです。数字の部分は、それぞれのけがの種類を示し、小数点以下の数字は、そのけがのひどさを示します。例えば、左右の脳にいくつかある、表面に近い脳挫傷(傷の周りのむくみを含めて大きさが30ml以下のもの)の場合、AIS記号は140622.3となります。この例では、最初の1はけがをした場所(頭)を、2番目の4は体のしくみ(内臓)を、3番目と4番目の06は体のどの部分か、またはけがの種類を、5番目と6番目の22はけがの状態を表しています。けがのひどさは1から6までの数字で表し、数字が大きいほどひどい状態です。ただし、6は今の医療では助けることができないけが(脳幹離断、断頭、肝血管系完全分離など)にだけ使われ、ただ助からなかったというだけでは6にはなりません。けがをした人の体のひどさを示す指標であるISSは、AISを使って計算します。ですから、正しくISSを計算するには、正しいAIS記号を選ぶことが大切で、記号の選び方のルールをきちんと理解しておく必要があります。また、AISの手引書には、けがを体の9つの部分に分けて書いていますが、その分け方とISSで使う体の6つの部分の分け方は、必ずしも同じではないので注意が必要です。

外傷の重症度を数値で表す

外傷の重症度を数値で表す

事故や災害など、様々な出来事で人は怪我をします。怪我の程度を正しく測ることは、適切な治療を選び、助かる確率を上げるためにとても大切です。怪我の程度を客観的に評価するための方法として、AIS(怪我の種類と体の部位の重症度を表す記号の体系)が作られました。

AISは、体の様々な部位の損傷を数字で表す仕組みです。医療に携わる人が、共通の物差しで怪我の重症度を測ることを可能にします。例えば、かすり傷のような軽い怪我は1、命に関わるような重度の怪我は6といったように、怪我の程度を数字で表します。これにより、異なる病院でも治療方針に一貫性を持たせることができ、患者を別の病院に運ぶ際にも、スムーズに情報を伝えることができます。

AISを使うメリットは、複雑な怪我の場合でも、迅速かつ正確に重症度を把握できることです。複数の部位に怪我をしている場合、それぞれの怪我の重症度をAISで評価し、最も重症な部位のAISスコアが全体の重症度を表します。これにより、医師はより的確な治療方針を立て、適切な処置を行うことができます。

また、AISは怪我の重症度を記録し、後から分析する上でも役立ちます。過去の症例データを分析することで、より効果的な治療法や予防策を開発することに繋がります。怪我の程度を数字で表すAISは、様々な医療機関で情報を共有するための共通言語と言えるでしょう。AISを使うことで、より多くの命を救い、後遺症を減らすことに貢献できると期待されています。

AIS(傷害重症度スコア) 説明
1 軽傷 かすり傷
6 重傷(命に関わる)
複数部位の損傷 最も重症な部位のAISスコアが全体の重症度を表す

AISコードの仕組み

AISコードの仕組み

事故によるけがの程度を伝えるためのAISコードは、7つの数字で成り立っています。このコードは、けがをした体の場所、けがの種類、どのくらいひどいかを伝えるための共通の言葉のようなものです。

最初の6つの数字は整数で、体のどこをけがしたのかを示します。例えば、「1」は頭を、「2」は胸を指します。このように、体の部位ごとに数字が決められています。最初の数字で大きな分類が決まり、続く数字でさらに詳しいけがの場所や種類が分かります。例えば、頭の中で「おでこ」や「あご」など、さらに細かい場所を示すことができます。また、骨折や切り傷など、けがの種類も数字で表されます。

最後の数字は、小数点以下の数字で、けがの重さを6段階で表します。1から6までの数字を使い、「.1」は軽いけが、「.6」は命に関わるような重いけがを示します。数字が大きくなるほど、けがの程度が重くなることを意味します。例えば、同じ腕の骨折でも、「.1」はひびが入った程度、「.6」は腕の切断など、重さが大きく違います。

このように、AISコードはけがの場所、種類、重さを数字で正確に表すことができます。そのため、医師や看護師の間でけがの状態をすばやく正確に共有することができ、治療方針の決定や搬送先の調整などに役立ちます。また、AISコードを用いることで、多くのけが人を診ている医師が、それぞれのけがの重さを客観的に把握し、治療の優先順位を適切に判断するのにも役立ちます。

内容 説明
1桁目 体の部位(大分類) 1: 頭部、2: 胸部など 体のどの部分を怪我したかを大まかに示す
2~6桁目 体の部位(詳細)、怪我の種類 1桁目の部位に基づき、詳細な場所や骨折、切り傷などを示す 怪我の場所をさらに細かく指定、怪我の種類を示す
7桁目(小数点以下) 怪我の重症度 .1: 軽傷、.6: 重傷 .1~.6の6段階で怪我の重さを示す。数字が大きいほど重症。

AISとISSの関係

AISとISSの関係

けがの程度を数値で表す方法の一つに、傷害重症度スコア(ISS)というものがあります。ISSは、複数のけがをした人の全体的な重症度を測るために使われます。このISSは、解剖学的傷害重症度スコア(AIS)という、体の部位ごとのけがの重さを表す数値を基にして計算されます。

ISSの計算方法は以下の通りです。まず、人体を頭、顔、胸、腹、腕や足、皮膚といった6つの部分に分けます。それぞれの部分で最も重いけがのAISの重症度を二乗します。そして、その中で最も高い3つの部位の二乗した値を合計することでISSが算出されます。ISSの最大値は75で、数字が大きいほどけがの全体的な重症度が高いことを示します。

具体例を挙げると、交通事故で頭に重傷(AIS6)、胸に軽傷(AIS2)、腕に軽傷(AIS1)を負ったとします。この場合、頭は6の二乗で36、胸は2の二乗で4、腕は1の二乗で1となります。これらの中で最も高い3つの部位、つまり頭、胸、腕の値を合計するので、ISSは36+4+1で41となります。もし頭に重傷(AIS5)、胸に中等症(AIS3)、腕に軽傷(AIS1)を負った場合は、ISSは25+9+1で35となります。このように、ISSは複数のけがの重症度を総合的に評価することができます。

ISSは、けがをした人の回復の見込みや治療方針を決める際に役立ちます。また、多数のけが人を同時に受け入れるような災害医療の現場では、ISSを用いることで、限られた医療資源を重症度の高い人から優先的に使うことができます。

正しいISSを計算するためには、AISの値を正しく選ぶことがとても大切です。そのため、医療に携わる人たちは、AISの選び方に関する規則をきちんと理解し、適切に使う必要があります。

ISSの計算方法 具体例1 具体例2
人体を6つの部位(頭、顔、胸、腹、腕/足、皮膚)に分ける。 頭、胸、腕にけが 頭、胸、腕にけが
各部位の最も重いけがのAISの重症度を二乗する。 頭:6の二乗 = 36
胸:2の二乗 = 4
腕:1の二乗 = 1
頭:5の二乗 = 25
胸:3の二乗 = 9
腕:1の二乗 = 1
最も高い3つの部位の二乗した値を合計する。 36 + 4 + 1 = 41 25 + 9 + 1 = 35
ISSの最大値は75

ISSが高いほど、けがの重症度が高いことを示す。

ISSの活用例:
・回復の見込みや治療方針の決定
・災害医療現場での優先順位決定

AISを使う上での注意点

AISを使う上での注意点

自動損傷尺度(AIS)は、けがの重さを測るための便利な道具ですが、使う際にはいくつか気を付けなければいけない点があります。AISは、体の損傷の程度を示すもので、体の働きや患者さんの全体的な状態までは示してくれません。そのため、AISの値だけで患者さんの状態を判断するのではなく、他の検査結果や診察結果も合わせて、総合的に判断することが大切です。

AISでは体を9つの部分に分けていますが、損傷重症度スコア(ISS)で使う体の6つの部分とは、分け方が少し違います。AISとISSの体の部位の違いを理解せずにAISの値を選ぶと、ISSの計算を間違えてしまうことがあります。それぞれの体の部位の定義をきちんと確認し、AISコードを正しく選ぶようにしましょう。

AISの重症度「6」は、助かる見込みのないけがの場合にのみ使います。患者さんが亡くなったというだけで「6」を選んではいけません。亡くなった原因がけがによるものなのか、それとも他の病気などによるものなのかを慎重に見極める必要があります。単に救命できなかったという理由だけで重症度「6」を選択するのは間違いです。

これらの点に注意してAISを正しく使うことで、けがをした患者さんを適切に評価し、治療につなげることができます。AISはあくまで他の情報と組み合わせることで真価を発揮するツールです。日頃からAISの使い方を練習し、理解を深めておくことが重要です。適切な使い方を身につけることで、より正確なけがの評価と、より良い治療につながるでしょう。

AIS使用上の注意点 詳細
AISの限界 体の損傷程度のみを示し、体の機能や全体的な状態は示さない。他の検査結果や診察結果と合わせて総合的に判断が必要。
AISとISSの体の部位の違い AISとISSでは体の部位の分け方が異なる。それぞれの定義を確認し、AISコードを正しく選択する必要がある。ISSの計算ミスを防ぐために重要。
AIS重症度「6」の適切な使用 助かる見込みがない場合のみ使用。死亡原因が怪我か他の要因かを慎重に見極める。救命できなかったという理由だけでは「6」を選択しない。
AISの適切な活用 他の情報と組み合わせて使用することで真価を発揮する。日頃から練習し、理解を深めることが重要。正確な怪我の評価とより良い治療につながる。

AISの継続的な改良

AISの継続的な改良

人のからだの損傷の程度を数値で表すしくみ(損傷尺度)の一つであるAIS(傷害重症度スコア)は、医療の進歩に合わせて、常に改良が重ねられています。このAISは、事故などで傷ついた人の状態をより正確に評価するために欠かせないものです。だからこそ、常に最新のAISを使うことがとても重要なのです。

古いAISを使ってしまうと、けがの重さを正しく判断できないかもしれません。例えば、最新の医学では軽傷とされるけがでも、古いAISでは重傷と判断される可能性があります。そうすると、必要のない治療が行われたり、本当に必要な治療が遅れてしまったりするかもしれません。そのため、医療関係者は常に最新のAISに関する知識を身につけておく必要があります

AISは、様々なけがについて、その重症度を0から6までの数字で表します。0はけががない状態、6は助かる見込みがないほど重い状態を表します。このスコアは、体の部位ごとにつけられます。例えば、頭、胸、お腹など、それぞれにスコアがつけられます。そして、最も高いスコアが、その人の全体のけがの重症度となります。

AISは、けがの重症度を客観的に評価できるため、治療方針の決定や、治療の効果を測るためにも役立ちます。また、複数の医療機関で情報を共有する際にも、共通の基準として使えます。AISの継続的な改良は、より正確なけがの評価を可能にし、より適切な治療につながります。ひいては、多くの人の命を救うことにつながると言えるでしょう。医療関係者は、AISを正しく理解し、活用していくことが求められます。

AIS(傷害重症度スコア) 説明
0 けががない状態
1-5 軽傷から重傷
6 助かる見込みがないほど重い状態
AISの重要性
  • 医療の進歩に合わせて常に改良されている
  • 事故などで傷ついた人の状態をより正確に評価するために欠かせない
  • 常に最新のAISを使うことが重要
  • 古いAISを使うと、怪我の重さを正しく判断できない可能性がある
  • 治療方針の決定や治療効果の測定に役立つ
  • 複数の医療機関で情報を共有する際の共通基準となる