エコノミークラス症候群に注意!

エコノミークラス症候群に注意!

防災を知りたい

先生、『深部静脈血栓症』って災害時によく聞く言葉ですよね。なぜ災害時に多いのでしょうか?

防災アドバイザー

そうだね、災害時は避難所生活などによる『長期臥床(長期間寝たきり)』になりやすいからだよ。じっと同じ姿勢でいることが多くなるので、足の血管に血の塊ができやすくなるんだ。

防災を知りたい

なるほど。同じ姿勢でいると血が固まりやすいんですね。他にどんなことが原因でなるんですか?

防災アドバイザー

そうだね、足の怪我や手術後、それから体内の水分が不足した脱水症状なども原因になるよ。災害時は避難生活で十分な水分補給ができなかったり、怪我をすることもあるから注意が必要なんだ。

深部静脈血栓症とは。

災害時など、じっとして動かない時間が長いと、『深部静脈血栓症』という病気になる危険性があります。これは、足の奥にある静脈に血のかたまりができる病気です。はっきりとした症状が出ないこともありますが、足がむくんだり、皮膚の色が変わったり、左右の足で太さが違ったり、血管が太く見えたり、皮膚の色が黒ずんだり、湿疹やかさぶた、潰瘍ができることもあります。血のかたまりがはがれて肺に詰まると、命に関わることもあります。太っている人、手術後、長く寝たきりになっている人、妊娠中の人、けがや火傷をした人、がんの人、ホルモン治療を受けている人は特に注意が必要です。最近では、飛行機で長時間移動することで起きるこの病気や肺塞栓症が『エコノミークラス症候群』と呼ばれ、注目されています。血液検査で『D-ダイマー』という値を調べると、血栓ができているかどうかがわかります。この検査キットも販売されています。予防策としては、弾性ストッキングや空気で圧迫する器具を使う方法のほか、リスクが高い人には薬を使うこともあります。

長時間移動での危険

長時間移動での危険

長時間の移動は、思いもよらない健康上の問題を引き起こすことがあります。飛行機での旅行で耳にする「エコノミークラス症候群」は、医学的には「深部静脈血栓症」と呼ばれ、深刻なケースでは命に関わる危険性も秘めています。

この症状は、足の奥深くにある静脈に血液の塊(血栓)ができることが原因です。長時間同じ姿勢で座り続けると、足の血液循環が悪くなります。すると、血液が滞りやすくなり、血栓が生じやすくなってしまうのです。特に飛行機の座席のように、足元が狭く動きが制限される空間では、その危険性が高まります。しかし、飛行機に限らず、長距離バスや新幹線など長時間座り続ける移動手段全般で発症リスクがあります。エコノミークラス症候群という名称から、飛行機のエコノミークラス特有の症状と思われがちですが、座席の種類や移動手段に関わらず、同じ姿勢を長時間続けることで誰でも発症する可能性があります。

この症状を防ぐためには、移動中の心がけが重要です。まず、こまめな水分補給を心がけましょう。水分が不足すると血液が濃くなり、血栓ができやすくなります。また、軽い運動も効果的です。座席に座ったままでも、足首を回したり、ふくらはぎの筋肉を伸縮させたりすることで、血液の流れを促進することができます。通路側の席を予約し、時々席を立って歩いたり、機内を軽く散歩するのも良いでしょう。さらに、弾性ストッキングを着用することで、足の血液循環をサポートし、血栓の予防に役立ちます。

快適な旅を楽しむためにも、これらの予防策を忘れず、長時間の移動による健康リスクに備えましょう。旅行前に医師に相談し、自分に合った対策を検討することも有効です。

症状名 エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)
原因 長時間同じ姿勢での着席による足の血液循環悪化、血栓発生
発生しやすい場面 飛行機、長距離バス、新幹線など長時間の着席を伴う移動
予防策 こまめな水分補給、軽い運動(足首回し、ふくらはぎの伸縮など)、時々席を立つ、弾性ストッキング着用

症状と兆候

症状と兆候

深部静脈血栓症は、自覚症状が少ないため、発見が遅れることが多く、放置すると命に関わる危険な病気です。病状の進行度合いによって症状は様々ですが、初期段階では足のむくみやだるさといった、日常で感じる疲れと似た症状が現れることがあります。そのため、単なる疲れと勘違いして見過ごしてしまう可能性があります。また、ふくらはぎや太ももに皮膚の色の変化、例えば赤紫色に変色したり、熱を持っているように感じたりすることもあります。これらの症状は、血栓が静脈の中で成長し、血液の流れを悪くしているサインです。

さらに症状が進むと、足の痛みが強くなります。初期の軽い痛みとは異なり、ズキズキとした痛み焼けるような痛みを感じることもあります。特に、片方の足だけにこれらの症状が現れる場合は、深部静脈血栓症の可能性が高いと考えられます。両足に症状が出ることもありますが、多くの場合、片方の足に症状が集中します。

深部静脈血栓症は自然に治ることは稀で、血栓が肺に移動して肺塞栓症を引き起こす危険性があります。肺塞栓症は、突然の激しい胸の痛みや呼吸困難を引き起こし、命に関わることもある恐ろしい病気です。ですから、足のむくみ、だるさ、痛み、皮膚の色の変化、熱感など、少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診することが大切です。早期発見、早期治療によって重症化を防ぎ、健康な状態を保つことができます。

進行度 症状 解説
初期 足のむくみ、だるさ 日常の疲れと似た症状で、見過ごされやすい
初期 ふくらはぎや太ももの皮膚の色の変化(赤紫色など)、熱感 血栓が静脈内で成長し、血液の流れが悪くなっているサイン
進行期 強い足の痛み(ズキズキ、焼けるような痛み) 片方の足に集中することが多い
重症化(肺塞栓症) 突然の激しい胸の痛み、呼吸困難 命に関わる危険な状態

血栓によるリスク

血栓によるリスク

血栓は、血管の中で血液が固まってできる塊のことを指します。この血栓は、様々な健康問題を引き起こす可能性があり、特に深部静脈血栓症は深刻な合併症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

深部静脈血栓症とは、体の深いところに位置する静脈、主に足の静脈に血栓ができる病気です。血栓によって血管が狭くなったり、完全に塞がったりすることで、血液の流れが滞ります。この結果、組織への酸素や栄養の供給が不足し、様々な症状が現れます。初期症状としては、足のむくみや痛み、皮膚の赤みなどが挙げられます。

深部静脈血栓症で最も恐ろしいのは、血栓の一部が剥がれて血流に乗って肺に移動し、肺の血管を詰まらせてしまうことです。これは肺塞栓症と呼ばれ、呼吸困難や胸の痛み、失神、脈拍の増加などの症状が現れます。肺塞栓症は命に関わる危険な状態であり、迅速な治療が必要です。最悪の場合、死に至ることもあります。

また、血栓は静脈の中で成長し続け、血管を完全に塞いでしまうこともあります。こうなると、血液の流れが完全に遮断され、組織への酸素供給が完全に途絶えます。その結果、組織が壊死する可能性があり、特に足の静脈に血栓ができた場合は、足の壊疽につながる危険性があります。壊疽は重症化すると、切断を余儀なくされるケースもあります。

このように、血栓症、特に深部静脈血栓症と肺塞栓症は命に関わる危険な病気です。普段から適度な運動を心がけ、長時間同じ姿勢を続けないなど、血栓予防の意識を持つことが重要です。また、少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。

なりやすい人

なりやすい人

深部静脈血栓症は、体の深いところを通る静脈に血の塊(血栓)ができる病気です。血栓によって血管が詰まると、血液の流れが悪くなり、様々な症状が現れます。

この病気になりやすい方の特徴には、いくつかあります。まず、体の大きな方は、体重によって足の血管が圧迫されやすく、血流が滞りやすいため、血栓ができやすい傾向にあります。また、手術後も注意が必要です。手術中は長時間同じ体勢でいることが多く、さらに手術による体の負担も加わるため、血栓が生じやすくなります。

病気や怪我で寝たきりの状態が続くと、足の筋肉が動かないため、血液を心臓に戻すポンプ機能が低下し、血流が滞って血栓ができやすくなります。同様に、妊娠中はホルモンバランスの変化や大きくなった子宮による血管の圧迫により、血栓症のリスクが高まります。

怪我や火傷を負うと、体の炎症反応によって血液が固まりやすくなるため、深部静脈血栓症のリスクも高まります。がんも深部静脈血栓症のリスクを高める病気の一つです。がん細胞自体が血液を固まりやすくする物質を放出するほか、抗がん剤治療も血栓症のリスクを高める可能性があります。女性ホルモンを使った治療を受けている方も、血液が固まりやすくなるため、注意が必要です。

これらの要因が複数重なると、深部静脈血栓症のリスクはさらに高くなります。例えば、大きな体の方で、手術を受けた後に寝たきり状態になると、非常に高いリスクにさらされます。さらに、血栓症になったことがある血縁者がいる方は、遺伝的に血液が固まりやすい体質の可能性があるため、特に注意が必要です。心当たりがある方は、医師に相談してみましょう。

なりやすい人

予防と対策

予防と対策

足の血管に血の塊ができることで起きる深部静脈血栓症。これを防ぐには、日頃からの心がけと適切な対策が重要です。まず、医療用の弾性ストッキングや空気圧迫装置が有効です。これらの道具は、足への圧迫を適切に調整することで、足の血液が心臓へ戻る流れを促し、血栓ができるのを防ぎます。まるで第二の心臓のように、足の筋肉のポンプ機能を助ける働きをします。

こまめな水分補給も大切です。水分が不足すると血液がドロドロになり、血栓ができやすくなります。お茶や水をこまめに飲み、血液の流れをよくしましょう。また、適度な運動も効果的です。長時間同じ姿勢でいると、足の血液の流れが滞りやすくなります。飛行機や車での長旅などでは、1時間ごとに席を立ち、歩いたり、足の指を動かしたり、ふくらはぎのストレッチをするなどして、血行を促しましょう。

手術後やケガで安静が必要な場合など、動けない状態が続く場合は特に注意が必要です。医師の指示に従い、弾性ストッキングや空気圧迫装置を必ず使用し、少しでも足を動かせる状態であれば、定期的に足首を回したり、指を曲げ伸ばしするなどの軽い運動を行いましょう。

さらに、血栓ができやすいと診断された人や、過去に血栓症になったことがある人には、医師から血液をサラサラにする薬が処方されることがあります。これらの薬は、血栓ができるのを防ぐだけでなく、すでにできてしまった血栓を溶かす効果も期待できます。ただし、薬には副作用もあるため、医師の指示を守り、正しく服用することが大切です。これらの予防策と適切な治療で、深部静脈血栓症の危険を減らすことができます。

対策 効果 具体的な方法 対象者
医療機器の使用 足の血液を心臓へ戻す流れを促し、血栓ができるのを防ぐ。 医療用の弾性ストッキング、空気圧迫装置 血栓症のリスクがある人、手術後やケガで安静が必要な人
水分補給 血液の流れをよくする。 お茶や水をこまめに飲む 全員
適度な運動 足の血液の流れを促進する。 1時間ごとに歩いたり、足の指を動かしたり、ふくらはぎのストレッチをする。 長時間同じ姿勢でいる人、飛行機や車での長旅の人
軽い運動 血行を促す。 足首を回したり、指を曲げ伸ばしする。 手術後やケガで安静が必要な人
薬物療法 血栓ができるのを防ぐ、すでにできてしまった血栓を溶かす。 医師から処方される血液をサラサラにする薬 血栓ができやすいと診断された人、過去に血栓症になったことがある人

診断方法

診断方法

足の奥深くにある静脈に血の塊(血栓)ができる病気を深部静脈血栓症と言います。この病気の診断には、主に血液検査と超音波検査を用います。血液検査では、「D-ダイマー」と呼ばれる物質の量を調べます。この物質は、血栓が溶けるときに作られるため、数値が高い場合は体内に血栓がある可能性を示唆します。しかし、D-ダイマーは、けがや手術後、あるいは妊娠中など、血栓症以外の原因でも上昇することがあります。そのため、D-ダイマー検査だけで深部静脈血栓症と確定診断することはできません。

超音波検査は、足の静脈の状態を直接確認できる検査方法です。体に害のない超音波を足に当て、その反射を画像化することで、静脈の中に血栓があるかどうか、ある場合はその大きさや位置を調べることができます。この検査では、血栓によって静脈がどれだけ圧迫されているかも分かります。

これらの検査結果を総合的に判断し、他の病気の可能性も考慮しながら、最終的な診断を下します。深部静脈血栓症は、放置すると血栓が肺に移動して肺塞栓症を引き起こす危険性があります。肺塞栓症は命に関わることもあるため、早期発見と迅速な治療開始が非常に重要です。そのため、足のむくみや痛み、熱感といった症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、必要な検査を受けるようにしましょう。

検査 方法 結果 注意点
血液検査 D-ダイマーの量を測定 数値が高い場合は血栓がある可能性 血栓以外でも数値が上昇することがあるため、確定診断には不十分
超音波検査 超音波を足に当て、反射を画像化 血栓の有無、大きさ、位置、静脈の圧迫状態を確認