コンパートメント症候群:緊急を要する症状
防災を知りたい
先生、『コンパートメント症候群』って難しくてよくわからないんですけど、簡単に説明してもらえますか?
防災アドバイザー
そうですね。簡単に言うと、筋肉を包んでいる膜の中で、筋肉が腫れたりしてパンパンになると、血管や神経が圧迫されて、ひどい場合は組織が壊死してしまう状態のことだよ。
防災を知りたい
なるほど。骨折とか打撲でなるんですか?
防災アドバイザー
そうそう。骨折や打撲が多いけど、激しい運動でも起こりうるんだ。特に、筋肉が多い前腕や下腿で起こりやすいんだよ。強い痛みや腫れがあったら、すぐに病院で診てもらうことが大切だよ。
コンパートメント症候群とは。
体の部分には、骨や膜で囲まれたたくさんの小さな部屋があって、その中に筋肉がいくつか入っています。この部屋のことをコンパートメントと言います。骨が折れたり、強く打ったりすると、筋肉が腫れてこの部屋の中の圧力が高くなります。すると、部屋の中にある筋肉や血管、神経が押されて、血がうまく流れなくなり、組織が死んでしまったり、神経が麻痺してしまうことがあります。これがコンパートメント症候群です。特に、腕や足によく起こります。激しい運動でも起こることがあります。強い痛みがあり、腫れや、感覚が鈍くなったり、押すと強い痛みを感じたりします。すぐに治療しないと、筋肉が死んでしまったり、神経が麻痺してしまいます。部屋の中の圧力が40mmHg以上になると、膜を切って圧力を下げる手術が必要です。
コンパートメント症候群とは
私たちの腕や脚の筋肉は、いくつかの束に分かれています。それぞれの束は、骨と筋膜と呼ばれる膜に囲まれた区画の中に収まっています。この区画のことをコンパートメントといいます。コンパートメント症候群とは、このコンパートメント内にある筋肉や神経、血管が圧迫されることで起こる深刻な状態です。
コンパートメント内の圧力が高まる原因は様々です。最も多いのは、骨折や打撲などの外傷です。骨が折れたり、組織が損傷したりすると、出血や腫れが生じます。これによりコンパートメント内の圧力が高まり、神経や血管を圧迫してしまうのです。また、激しい運動もコンパートメント症候群を引き起こす可能性があります。ランニングやジャンプのような繰り返しの動作により、筋肉が腫れ上がり、コンパートメント内の圧力が増加することがあります。
コンパートメント症候群の初期症状としては、強い痛みやしびれが挙げられます。患部は腫れ上がり、触ると硬く感じることがあります。さらに症状が進行すると、感覚が鈍くなったり、筋肉が麻痺したりすることもあります。最悪の場合、放置すると組織が壊死し、手足を切断しなければならないケースもあります。
コンパートメント症候群は早期発見、早期治療が重要です。疑わしい症状が現れたら、すぐに医療機関を受診しましょう。適切な処置を受ければ、多くの場合、後遺症を残さずに回復できます。予防策としては、運動前後の適切なストレッチや、運動中の水分補給などが有効です。また、外傷を負った場合は、患部を高く上げて安静にすることが大切です。
項目 | 内容 |
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定義 | コンパートメント(筋膜で囲まれた区画)内の筋肉、神経、血管が圧迫される深刻な状態 |
原因 |
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症状 |
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対策 |
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症状と兆候
コンパートメント症候群は、筋肉を包む膜(筋膜)で囲まれた区画(コンパートメント)内の圧力が異常に上昇することで、筋肉や神経、血管などを圧迫し、様々な症状を引き起こす深刻な状態です。この圧力上昇は、骨折や打撲、筋肉の過度の使用など、様々な原因によって引き起こされます。
最も特徴的な症状は、耐え難いほどの強い痛みです。これは、区画内の圧力上昇によって、神経や血管が圧迫されるために起こります。患部は腫れ上がり、触れると強い痛みを感じ、まるでパンパンに膨らんだ風船のような状態になります。また、しびれや感覚の麻痺、チクチクするような異常感覚といった神経の圧迫症状が現れることもあります。これは、神経への血流が阻害され、神経機能が低下するために起こります。さらに、皮膚の色が青白くなったり、脈拍が弱くなったりすることもあります。これは、区画内の圧力上昇によって、動脈血流が阻害され、組織への酸素供給が不足するために起こります。
これらの症状は、初期には軽微である場合もありますが、時間の経過とともに悪化していく傾向があります。初期症状を見逃すと、筋肉の壊死(筋肉組織が死んでしまうこと)や神経の麻痺といった重い後遺症が残る可能性が高くなります。場合によっては、手足の切断を余儀なくされるケースもあるため、早期発見と適切な処置が非常に重要です。少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診するようにしてください。迅速な診断と治療が、後遺症を最小限に抑える鍵となります。
症状 | 原因 | 結果 |
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耐え難いほどの強い痛み、腫れ、強い痛み | 区画内の圧力上昇による神経や血管の圧迫 | 患部がパンパンに膨らんだ状態 |
しびれ、感覚の麻痺、チクチクする異常感覚 | 神経への血流阻害、神経機能低下 | – |
皮膚の青白化、脈拍の弱化 | 区画内の圧力上昇による動脈血流阻害、組織への酸素供給不足 | – |
症状の悪化、筋肉の壊死、神経の麻痺 | 初期症状の見逃し | 重い後遺症、手足の切断 |
診断と治療
押しつぶされたような傷や骨折の後、手足がしびれたり、腫れたり、痛みが強くなったりすることがあります。これは、コンパートメント症候群という病気のサインかもしれません。コンパートメント症候群とは、筋肉を包む膜(筋膜)の中の圧力が高まり、血管や神経を圧迫することで、手足の筋肉や組織に障害が生じる状態です。
この病気の診断は、まず患部の状態を注意深く観察することから始まります。痛みや腫れ、皮膚の色、感覚の異常などを調べます。特に、安静にしている時よりも、指や足首などを動かした時に痛みが強くなる場合は、コンパートメント症候群の可能性が高くなります。
患部の診察に加えて、コンパートメント症候群かどうかを確実に判断するために、特別な器具を使って筋膜の中の圧力を測ります。これは、細い針を患部に刺して、圧力計で直接圧力を測定する方法です。測定された圧力が、正常範囲よりも高ければ、コンパートメント症候群と診断されます。
コンパートメント症候群と診断された場合、一刻も早く治療を始めなければ、手足に麻痺が残ったり、最悪の場合は組織が壊死してしまうこともあります。そのため、圧力がある一定の基準値を超えている場合は、緊急手術が必要になります。
手術では、圧迫されている筋膜を切開して、筋膜の中の圧力を下げます。これにより、血流が回復し、筋肉や神経への酸素供給が再び始まるため、手足の組織へのダメージを防ぐことができます。この手術は、筋膜切開、または減張切開と呼ばれています。
コンパートメント症候群は、早期に発見し、迅速に治療することが、後遺症を残さないために非常に重要です。少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
起こりやすい部位
体の部分によって筋肉の集まり具合や骨、皮膚といった組織に囲まれた空間の広さが違います。筋肉が多い部分は、それらを包む空間が狭く、腫れが起こると圧力が高まりやすい特徴があります。この状態が、コンパートメント症候群が起こりやすい場所の大きな理由です。
特に、腕では肘から手首にかけての前腕、脚では膝から足首にかけての下腿は筋肉が多く集まっており、比較的狭い空間に包まれているため、コンパートメント症候群が好発する部位です。これらの場所は、日常生活でもよく使う部分であり、スポーツや事故などで損傷しやすいという点も関係しています。
太もも、つまり大腿部も発症しやすい場所の一つです。太ももには大きな筋肉があり、それらを包む空間も比較的広いのですが、強い衝撃や長時間の圧迫などで腫れが生じると、コンパートメント症候群を引き起こす可能性があります。例えば、交通事故での骨折や長時間倒壊物に挟まれた場合などが考えられます。スポーツでは、激しい接触や筋肉の使い過ぎで発症することもあります。
これらの部位に強い痛みや腫れ、皮膚の色が変化する、感覚が鈍くなる、力が入らないなどの症状が現れた場合は、コンパートメント症候群の可能性を疑い、すぐに医療機関を受診することが大切です。早期に適切な処置を受けないと、筋肉や神経が壊死し、後遺症が残る可能性があります。そのため、少しでも異変を感じたら、ためらわずに医療機関に相談しましょう。
体の部位 | 特徴 | コンパートメント症候群のリスク | 原因の例 |
---|---|---|---|
前腕(肘から手首) | 筋肉が多く、空間が狭い | 高 | 日常生活、スポーツ、事故など |
下腿(膝から足首) | 筋肉が多く、空間が狭い | 高 | 日常生活、スポーツ、事故など |
大腿部(太もも) | 大きな筋肉、比較的広い空間 | 中 | 交通事故での骨折、長時間倒壊物に挟まれる、激しい接触、筋肉の使い過ぎ |
予防と早期発見
区画症候群は、手足における筋肉の腫れによって、周囲の組織を圧迫し、血液の流れを阻害することで起こります。筋肉や神経への酸素供給が絶たれ、放置すると筋肉の壊死や神経麻痺といった取り返しのつかない障害を引き起こす可能性があるため、一刻を争う緊急性の高い病気です。
予防としては、激しい運動を行う際に適切な準備運動と整理運動を行うことが重要です。準備運動は筋肉の温度を高め、柔軟性を向上させることで、急激な負担による損傷を防ぎます。また、整理運動は運動後の筋肉の疲労を軽減し、腫れや痛みを予防する効果があります。運動中は、水分をこまめに摂ることも大切です。脱水症状は血液を濃くし、筋肉への酸素供給を阻害するため、区画症候群のリスクを高める可能性があります。
早期発見も非常に重要です。運動中や運動後に、強い痛みや腫れ、皮膚の色が変化する、しびれ、感覚の麻痺、筋力の低下といった症状が現れた場合は、区画症候群の疑いがあります。特に、安静時にも痛みが続く、指や足趾を動かしにくい、触ると皮膚が冷たい、脈拍が弱いといった症状がある場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。早期に発見し、適切な処置を行うことで、後遺症のリスクを最小限に抑えることができます。自己判断で放置せず、少しでも異変を感じたら専門家の診察を受けることが大切です。
区画症候群は、適切な予防と早期発見によって重篤な後遺症を防ぐことができる病気です。日頃から体の状態に気を配り、適切な運動習慣と迅速な対応を心がけましょう。
項目 | 内容 |
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定義 | 手足の筋肉の腫れが周囲の組織を圧迫し、血流を阻害することで起こる緊急性の高い病気。筋肉や神経への酸素供給が絶たれ、放置すると筋肉の壊死や神経麻痺といった後遺症を残す可能性がある。 |
予防 |
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早期発見のポイント |
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早期発見時の対応 | すぐに医療機関を受診 |