意識障害:緊急時の対応
防災を知りたい
先生、「意識障害」って具体的にどういう状態のことですか?なんだか難しくてよくわからないです。
防災アドバイザー
そうだね、難しいよね。簡単に言うと、意識障害とは、周りの刺激を感じて、それに反応したり、自分の気持ちを表現したりする能力が下がっている状態のことだよ。例えば、呼びかけられても反応しなかったり、痛みを感じても表情が変わらなかったりする状態だね。
防災を知りたい
なるほど。つまり、周りのことがよくわからなくなったり、自分の気持ちを伝えられなくなったりするってことですね。災害時にも関係ありますか?
防災アドバイザー
その通り!災害時は、頭の外傷や、熱中症、低体温症、一酸化炭素中毒などで意識障害が起こることがあるよ。だから、周りの人が異変に気づいて、早く対処することがとても大切なんだ。
意識障害とは。
「災害時に役立つ言葉、『意識障害』について説明します。意識とは、周りの刺激を感じて、自分の状態や考えを表現できる能力のことです。意識障害とは、この感じたり表現したりする能力が弱くなった状態です。意識障害は、脳の表面に近い部分(大脳皮質)やその下の広い範囲の損傷、脳の奥深くにある視床下部の病気、あるいは脳幹網様体賦活系という部分の損傷によって起こります。緊急時における意識障害の程度をはかる指標として、ジャパン・コーマ・スケール(JCS)とグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)があります。救急の現場では、意識障害の原因は、頭蓋骨の中にある病気と、頭蓋骨の外の病気や体の状態の大きく二つに分けられます。頭蓋骨の中の病気で意識障害を起こすものには、脳の血管の病気、脳脊髄膜炎、頭のけが、心の病気などがあります。一方、頭蓋骨の外の病気や体の状態で意識障害を起こすものは、たくさんの種類があります。代表的なものとして、ショックによる脳への血液の流れの減少、毒によるもの、体の代謝の異常、血液中の酸素の不足などがあります。)について
意識障害とは
意識とは、周りの出来事を認識し、それに対して自分の考えや気持ちを伝えることができる能力のことです。この能力が損なわれた状態が、意識障害と呼ばれています。意識障害は、周りの状況や呼びかけへの反応が鈍くなる、または全く反応しなくなるといった形で現れます。まるで深い眠りに落ちたように見えることもあれば、逆に異常に興奮した状態になることもあります。
私たちの脳は、体全体の働きを調節し、考えたり行動したりする司令塔の役割を果たしています。この重要な脳に何らかの不具合が生じると、意識にも影響が出ることがあります。脳への血液の流れが滞ったり、酸素が不足したりすると、脳の細胞が正常に働かなくなり、意識障害を引き起こす可能性があります。また、脳卒中や頭部外傷といった脳への直接的な損傷も、意識障害の大きな原因となります。さらに、薬物やアルコールの過剰摂取、低血糖、重度の感染症なども、脳の機能を低下させ、意識障害につながる場合があります。
意識障害の程度は、軽度から重度まで様々です。呼びかけに反応が遅くなる程度の軽い状態から、全く反応がなく昏睡状態に陥る重度の状態まであります。意識障害の症状は、原因や重症度によって大きく異なります。意識障害は、命に関わる危険な状態である場合もあります。適切な処置を迅速に行うことが重要です。意識障害のある人を発見したら、すぐに救急車を呼ぶなどして、医療機関へ搬送する必要があります。医師は、意識障害の原因を特定するために、様々な検査を行います。そして、原因に応じた適切な治療を行います。意識障害は早期発見、早期治療が非常に大切です。
意識障害の程度
人の意識の状態は、病気やけがの重さを知る上でとても大切です。意識がどのくらいはっきりしているかは、周りの刺激への反応の強さで判断します。例えば、名前を呼ばれたときに、すぐに返事をして、周りの状況も理解している場合は、意識ははっきりしています。しかし、名前を呼んでも反応が鈍かったり、返事が曖昧だったりする場合は、意識がぼんやりしている、つまり意識障害があるといえます。意識障害の程度は様々で、呼びかけに反応はするものの、会話がうまくできない軽い状態から、呼びかけや痛み刺激にも全く反応しない重い状態まであります。
意識障害の程度を正確に測るために、いくつかの方法があります。日本ではジャパンコーマスケール(JCS)という方法がよく使われます。これは、呼びかけに対する反応や痛みへの反応などを点数で表し、意識レベルを客観的に評価します。国際的にはグラスゴーコーマスケール(GCS)という方法が広く使われており、目の開き具合、言葉による反応、体の動きの3つの項目で評価します。これらの方法を使うことで、医療従事者は意識の状態を的確に把握し、適切な治療を行うことができます。
意識障害は、時間の経過と共に変化することがあります。例えば、最初は軽い意識障害だった人が、時間の経過と共にだんだん意識がなくなっていくこともあります。逆に、治療によって意識が回復していくこともあります。そのため、日頃から家族や周りの人が意識の状態に気を付けて観察し、少しでも変化があれば、すぐに医療機関に連絡することが大切です。特に、呼びかけへの反応が鈍くなったり、呼びかけても起きなくなったりする場合は、緊急性が高いので、ためらわずに救急車を呼ぶなどして、速やかに医療機関を受診しましょう。
項目 | 説明 |
---|---|
意識の確認 | 周囲の刺激への反応の強さで判断。名前を呼んだ際の反応や周囲の状況の理解度を確認。 |
意識障害の程度 | 呼びかけへの反応、会話の可否、痛み刺激への反応などにより、軽度から重度まで様々。 |
意識障害の評価方法(日本) | ジャパンコーマスケール(JCS):呼びかけや痛みへの反応を点数化し、意識レベルを客観的に評価。 |
意識障害の評価方法(国際) | グラスゴーコーマスケール(GCS):目の開き具合、言葉による反応、体の動きの3項目で評価。 |
意識障害の変化 | 時間の経過とともに変化する可能性があり、悪化または回復するケースもある。 |
注意点 | 日頃から意識の状態を観察し、変化があればすぐに医療機関へ連絡。呼びかけへの反応が鈍い、呼びかけても起きない場合は緊急性が高い。 |
意識障害の原因:頭蓋内
意識を失う、つまり意識障害は、大きく分けて脳そのものの病気と、脳以外の体の病気の二つに分けられます。脳そのものの病気で意識障害を起こす代表的な例は、脳の血管が詰まったり破れたりする脳血管障害です。脳血管障害には、脳梗塞と脳出血があり、どちらも急に症状が現れることが多い病気です。脳梗塞は脳の血管が詰まってしまう病気で、詰まった血管の先へ血液が送られなくなり、脳の細胞が死んでしまいます。脳出血は脳の血管が破れてしまい、出血した血液によって脳が圧迫され、脳の細胞が損傷を受けてしまいます。どちらの病気も、発症するとすぐに病院へ行き、適切な治療を受けることが大切です。次に、脳を包む膜に炎症が起こる脳髄膜炎も意識障害の原因となります。細菌やウイルス感染によって髄膜に炎症が起こり、激しい頭痛や発熱、嘔吐などの症状が現れます。髄膜炎も早期に発見し、適切な治療を行わないと命に関わる危険な病気です。また、頭を強く打つことによる頭部外傷も意識障害の原因となります。交通事故や転倒などによって頭を強く打つと、脳しんとうや脳挫傷などを引き起こし、意識を失ったり、意識がもうろうとしたりする状態になります。場合によっては、手術が必要になることもあるため、頭を強く打った場合はすぐに病院で検査を受ける必要があります。さらに、精神的な病気も意識障害を引き起こすことがあります。強いストレスや精神的なショックなどによって、一時的に意識を失ったり、意識がもうろうとしたりする解離性障害などの病気が挙げられます。このような場合、精神科医による診察と治療が必要です。意識障害は命に関わる状態となる場合もあります。おかしいなと思ったら、ためらわずにすぐに医療機関を受診しましょう。
意識障害の原因:頭蓋外
意識を失う、または意識がもうろうとする状態を意識障害といいます。意識障害の原因は頭に問題がある場合だけでなく、頭以外の体の部分に問題がある場合もあります。これは頭蓋外性意識障害と呼ばれ、様々な要因が考えられます。意識障害の根本原因に対処することが重要です。
まず、出血やひどい下痢、嘔吐などによる脱水症状が挙げられます。これらは、体の中の水分量が急激に減少し、血液の量が減ることで血圧が下がるショック状態を引き起こします。血圧が下がると、脳に十分な血液が送られなくなり、酸素や栄養が不足して意識障害が起こります。
次に、薬やお酒の飲み過ぎも意識障害の原因となります。薬やお酒に含まれる成分が脳の働きを妨げ、意識がもうろうとしたり、完全に失われたりする可能性があります。特に、普段から服用している薬との飲み合わせや、大量に短時間で摂取した場合に注意が必要です。
また、体の中の物質の入れ替わりに異常が生じること、いわゆる代謝異常も意識障害につながります。例えば、糖尿病で血糖値が異常に高くなったり低くなったりすると、意識障害が現れることがあります。肝臓や腎臓の機能が低下している場合も、体内の老廃物が適切に処理されずに蓄積し、意識障害を引き起こすことがあります。
さらに、呼吸がうまくできずに血液中の酸素が不足する低酸素血症も危険です。ぜんそく発作や肺炎などで呼吸が困難になると、血液中の酸素濃度が低下し、脳に十分な酸素が供給されず、意識障害に至ることがあります。一酸化炭素中毒も低酸素血症の原因の一つです。
このように、頭蓋外性意識障害は様々な原因で起こります。意識障害が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けることが大切です。自己判断で対処せず、専門家の指示に従うようにしましょう。
緊急時の対応
災害時や事故発生時など、緊急事態に遭遇した際は、冷静さを保ち、的確な行動をとることが重要です。人が倒れていたり、意識がない方を発見した場合は、まずは身の安全を確保することが最優先です。二次災害に巻き込まれないよう、周囲の状況を確認し、安全な場所に移動してから救助活動を開始しましょう。
次に、意識の有無を確認します。大きな声で呼びかけたり、肩を軽く叩いたりして反応を見ましょう。呼びかけに応じない場合は、直ちに救急車を要請します。携帯電話などを使用して119番通報を行い、発生場所や状況、傷病者の状態などを正確に伝えましょう。救急隊員に指示された場合は、電話を切らずに指示に従ってください。
救急車を待っている間は、呼吸と脈拍の確認を行います。呼吸が確認できない場合は、心肺蘇生法を実施します。胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせ、救急隊員が到着するまで続けます。また、嘔吐物などで気道が塞がっている場合は、窒息を防ぐために指で異物を取り除きます。口の中に異物がある場合は、顔を横に向けて詰まらせないようにします。
意識障害は、命に関わる重篤な状態のサインである可能性があります。迅速で適切な処置が救命につながるため、落ち着いて行動することが大切です。救急隊員が到着したら、状況を詳細に説明し、それまでの処置内容を伝えましょう。また、周りの人に協力を求め、必要な場合は一緒に救助活動を行うことも重要です。助けを求める声を上げ、周りの人の協力を得ながら、安全かつ迅速な救助活動を行いましょう。
予防と早期発見
意識障害の中には、普段の生活での心がけや健康管理によって防ぐことができるものもあります。意識障害は、命に関わる重大な病気のサインである場合もあります。しかし、その原因となる病気の中には、普段からの生活習慣の改善で予防できるものもあるのです。
具体的には、バランスの良い食事を摂ること、適度な運動をすること、十分な睡眠をとることが重要です。栄養バランスの偏った食事は、体に必要な栄養素が不足し、様々な病気のリスクを高めます。また、運動不足は、血行不良や肥満につながり、これもまた様々な病気の原因となります。さらに、睡眠不足は、体の免疫力を低下させ、病気に対する抵抗力を弱めてしまいます。
高血圧や糖尿病といった生活習慣病がある方は、定期的に医師の診察を受け、適切な治療を受けるようにしましょう。これらの病気は、自覚症状が少ないまま進行することが多く、放置すると動脈硬化などを引き起こし、脳卒中などの原因となることがあります。脳卒中は意識障害の主な原因の一つです。ですから、定期的な健康診断や医師の診察を受け、早期発見、早期治療に努めることが大切です。
精神的な負担をため込まないことも重要です。強い不安やストレスは、自律神経のバランスを崩し、めまいやふらつきといった症状を引き起こすことがあります。ひどくなると、意識が遠のいたり、意識を失ったりすることもあります。趣味や休息など、自分なりの方法で気分転換を行い、心身のリラックスを心がけましょう。
意識障害の早期発見のためには、体のちょっとした変化にも気を配ることが大切です。いつもと違うと感じたら、すぐに医療機関を受診し、医師に相談しましょう。「気のせい」と思わずに、小さな変化も見逃さないことが、早期発見、早期治療につながります。早めの対応が、健康な生活を守る上で重要です。
分類 | 対策 | 詳細 |
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生活習慣 | バランスの良い食事 | 体に必要な栄養素を摂取し、様々な病気のリスクを低減 |
適度な運動 | 血行不良や肥満を予防 | |
十分な睡眠 | 体の免疫力を高め、病気への抵抗力を強化 | |
持病管理 | 定期的な医師の診察・治療 | 高血圧、糖尿病などの生活習慣病の管理、動脈硬化や脳卒中の予防 |
メンタルヘルス | 精神的な負担をため込まない | 強い不安やストレスを軽減し、自律神経のバランスを整える |
早期発見 | 体の変化に気を配る | いつもと違うと感じたらすぐに医療機関を受診 |