肺血栓塞栓症:その脅威と対策

肺血栓塞栓症:その脅威と対策

防災を知りたい

災害時に、エコノミークラス症候群ってよく聞きますが、これって肺血栓塞栓症のことですよね?

防災アドバイザー

そうだね、エコノミークラス症候群は肺血栓塞栓症の別名で、特に飛行機の座席のような狭い場所で長時間同じ姿勢でいることで発症しやすいことからそう呼ばれているんだ。災害時は避難所生活などで同じような状況になりやすいから注意が必要だね。

防災を知りたい

なるほど。同じ姿勢でいると、なぜ発症しやすくなるのですか?

防災アドバイザー

長時間同じ姿勢でいると、足の血液の流れが悪くなって、血の塊(血栓)ができやすくなるんだ。その血栓が肺の血管に詰まってしまうことで、肺血栓塞栓症が発症するんだよ。

肺血栓塞栓症とは。

災害時に起こりうる病気の一つに『肺血栓塞栓症』というものがあります。これは、肺の動脈に血のかたまり(血栓)が詰まる病気です。血栓は、体の静脈でできたものが肺に流れてきたり、肺の動脈で直接できたりします。多くの場合、体の他の場所でできた血栓が原因です。血栓以外にも、腫瘍のかけらや脂肪、羊水、空気、造影剤なども詰まることがあります。特に、足の付け根や骨盤の奥にある静脈にできた血栓が原因となることが多いです。

肺の動脈が詰まると、肺への血流が悪くなり、酸素不足になります。また、肺の血管の抵抗が上がり、心臓の右側の負担が増えて、血液を送り出す力が弱くなります。ひどい場合には、血圧が下がり、突然、心臓が止まってしまうこともあります。

手術後やけがをした後に、ベッドから起き上がった直後に発症することがよくあります。そのため、足の静脈に血栓ができるのを防ぐことが大切です。

主な症状は、体を動かしたときの息切れや胸の痛み、せき、意識を失うこと、胸が締め付けられる感じなどです。

胸のレントゲン写真では、酸素不足の原因となるものがないか、肺の血管の影が薄くなっていないか、肺動脈が太くなっていないか、肺梗塞の兆候がないかなどを調べます。また、心電図検査である特定のパターンが見られた場合も、この病気を疑います。心臓の超音波検査で、心臓の右側の負担が増えているかどうかを調べるのも役立ちます。

この病気が疑われる場合は、血液検査で血栓ができやすくなっているかを調べます。検査値が高ければ、この病気を疑うことができますが、必ずしもこの病気だけを示すものではありません。次に、胸部のCT検査で肺の血管の様子を調べます。同時に、足のCT検査で血栓ができていないかを確認することもあります。さらに、肺の血流を調べる検査を行い、診断を確定します。それでも診断がはっきりしない場合は、足の静脈の超音波検査やCT検査で血栓の有無を調べます。

最終的な手段として、カテーテルを使った肺動脈の検査や足の静脈の検査を行うこともあります。

治療は、血圧などの状態によって変わります。血圧が安定している場合は、血液をサラサラにする薬を使います。血圧が不安定な場合は、血圧を上げる薬とともに、血液をサラサラにする薬と血栓を溶かす薬を使います。これらの治療でも状態が改善しない場合は、体の外で血液に酸素を送り込む装置を使いながら、カテーテルや手術で血栓を取り除きます。

また、血栓が繰り返しできる場合や、血液をサラサラにする薬が使えない場合は、大きな静脈にフィルターを入れて血栓が肺に流れていくのを防ぎます。

概要

概要

肺血栓塞栓症は、肺の動脈が血のかたまりによってふさがってしまう病気です。この血のかたまりは、血栓と呼ばれています。多くの場合、足の静脈にできた血栓が血液の流れに乗って肺まで運ばれ、肺の動脈をふさいでしまいます。

肺は、呼吸によって体の中に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する大切な臓器です。肺血栓塞栓症によって肺の動脈がふさがると、酸素を取り込む肺の機能が低下し、息苦しさや胸の痛みなどの症状が現れます。軽い場合はあまり症状が出ないこともありますが、重症になると呼吸困難に陥り、命に関わることもあります。

肺血栓塞栓症の原因となる血栓は、主に足の静脈にできます。足の静脈に血栓ができる原因は様々ですが、手術後やけがの後、長時間同じ姿勢でいたり、寝たきり状態が続いたりすると、足の静脈の血流が悪くなり、血栓ができやすくなります。また、遺伝的に血が固まりやすい体質の方も注意が必要です。その他にも、脱水症状やがん、妊娠なども血栓ができやすい状態を引き起こす要因となります。

血栓以外にも、まれに腫瘍や脂肪、羊水、空気などが肺の動脈をふさぐ原因となることがありますが、大半は足の静脈にできた血栓です。そのため、肺血栓塞栓症を予防するためには、足の静脈に血栓を作らないようにすることが重要です。適度な運動や水分補給を心がけ、長時間同じ姿勢を続けないようにしましょう。手術後やけがをした後は、医師の指示に従って、足を動かす体操などを行い、血流を良くすることが大切です。また、弾性ストッキングを着用することも効果的です

もし、息苦しさや胸の痛み、突然の失神などの症状が現れたら、すぐに医療機関を受診しましょう。早期発見、早期治療が重要です。

症状

症状

肺血栓塞栓症は、肺の血管が血の塊によって詰まる病気です。この病気の症状は実に様々で、他の病気と間違えやすいことが多く、早期発見が難しい病気の一つです。

まず、息切れは代表的な症状です。特に、運動をした際に息苦しさを感じることが多く、階段の上り下りや少し速く歩いただけでも息が切れるようになります。安静時にも息苦しさを感じる場合もあります。

胸の痛みも重要な症状です。この痛みは、深い呼吸をした時や咳をした時に強くなる傾向があります。また、胸の痛みと共に、が出ることもあります。咳は乾いた咳の場合もあれば、痰が伴う場合もあります。

意識を失うこともあります。これは、脳への血流が一時的に不足するために起こります。突然意識を失ったり、目の前が暗くなったりする場合は、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。

また、胸が締め付けられるような感覚を覚える人もいます。これは、心臓発作の症状と似ているため、注意が必要です。

これらの症状は、肺炎や気管支炎、狭心症、心筋梗塞など、他の病気でも見られることがあります。そのため、自己判断せずに、これらの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。特に、最近手術を受けた後けがをした後長く安静にしていた場合などは、肺血栓塞栓症のリスクが高まります。このような場合は、医療機関を受診する際に、その旨を医師に伝えるようにしてください。

症状 詳細 類似疾患
息切れ 運動時、安静時、階段昇降時など 肺炎、気管支炎など
胸の痛み 深呼吸時や咳時に増強 狭心症、心筋梗塞、肺炎、気管支炎など
乾いた咳、痰を伴う咳 肺炎、気管支炎など
意識消失 脳への血流不足による
胸の締め付け 心臓発作と類似 狭心症、心筋梗塞など

診断

診断

肺血栓塞栓症の診断は、様々な検査を組み合わせて行います。まず、初期段階の検査として、胸部エックス線検査を行います。この検査では、肺の血管の様子や、呼吸がうまくできない原因となる異変がないかを確認します。例えば、肺炎や気胸といった肺の病気がないか、肺の血管に異常な影がないかなどを調べます。

次に、心電図検査を行います。これは、心臓の電気的な活動の様子を調べ、肺血栓塞栓症に特徴的な波形がないかを確認するための検査です。心臓に負担がかかっている場合、特有の波形が現れることがあります。

心臓の状態をさらに詳しく調べるためには、超音波検査を行います。この検査では、心臓の動きや弁の状態、心臓への負担の程度などを調べることができます。また、血液検査も行い、血液が固まりやすくなっている状態がないかを調べます。血液の凝固に関わる様々な因子の量や働きを測定することで、血栓ができやすい状態かどうかを判断します。

これらの検査に加えて、肺血栓塞栓症の診断を確定するためには、CT検査や肺の血流を調べる検査などを行います。CT検査では、造影剤という薬剤を注射し、肺の血管の様子を詳しく調べます。血栓が存在する場合は、その部分の血管が詰まっている様子がはっきりと分かります。肺の血流を調べる検査では、放射性物質を用いて、肺の血管に血栓が詰まっている部分がないかを確認します。

さらに、肺血栓塞栓症の原因が足の静脈にある血栓の場合、足の静脈の状態を調べる検査を行うこともあります。超音波検査を用いて、足の静脈に血栓がないか、血流が滞っている部分がないかなどを調べます。これらの検査結果を総合的に判断し、肺血栓塞栓症の診断を確定します。

検査 目的 詳細
胸部エックス線検査 肺の血管の様子、呼吸困難の原因となる異変の有無を確認 肺炎、気胸、肺血管の異常な影などを調べる
心電図検査 心臓の電気的な活動の様子を確認、肺血栓塞栓症に特徴的な波形の有無を確認 心臓に負担がかかっている場合の特有の波形を確認
超音波検査(心臓) 心臓の動き、弁の状態、心臓への負担の程度を確認
血液検査 血液が固まりやすくなっている状態の有無を確認 血液凝固因子の量や働きを測定
CT検査 肺の血管の様子を詳細に調べる 造影剤を用いて血栓の有無を確認
肺血流検査 肺の血管に血栓が詰まっている部分の有無を確認 放射性物質を用いて検査
超音波検査(足) 足の静脈に血栓や血流の滞りの有無を確認 肺血栓塞栓症の原因が足の静脈にある血栓の場合に実施

治療

治療

肺血栓塞栓症の治療では、血液が固まりにくくすることが何よりも大切です。この病気は、血液の塊(血栓)が肺の血管を塞いでしまうことで呼吸困難などを引き起こします。そのため、治療の第一歩は、血液をサラサラの状態にする薬を使うことです。

これらの薬は、新しく血栓ができるのを防ぐだけでなく、既にできてしまった血栓を少しずつ溶かす効果も期待できます。患者さんの状態が安定している場合は、この薬だけで経過を観察することが一般的です。

しかし、呼吸が非常に苦しいなど、状態が不安定な場合は、血圧を上げる薬と併用して、血栓を溶かす薬を使うこともあります。血栓を溶かす薬は、より強力に血栓に働きかけますが、出血のリスクも高まるため、慎重に使う必要があります。

これらの薬による治療でも症状が改善しない場合や、命に関わる危険がある場合は、カテーテルという細い管を使って血栓を取り除く手術を行うこともあります。カテーテルを血管の中に通して、血栓を直接吸引したり、破砕したりすることで、詰まっている血管を開通させます。

また、血栓が繰り返しできる再発しやすい方や、血液を固まりにくくする薬が使えない方の場合には、大きな静脈にフィルターを挿入する方法があります。このフィルターは、傘のような形をしていて、血栓が肺に流れていくのを物理的に防ぎます。この方法により、肺血栓塞栓症の再発を防ぐことができます。

患者さんの状態 治療法 薬剤の種類 その他
安定している 薬物療法 血液をサラサラにする薬 経過観察
不安定(呼吸困難など) 薬物療法 血液をサラサラにする薬、血圧を上げる薬、血栓を溶かす薬 出血のリスクに注意
薬物療法で改善しない、命に関わる危険がある カテーテル手術 血栓を直接吸引・破砕
再発しやすい、血液をサラサラにする薬が使えない フィルター挿入 大きな静脈に挿入、物理的に血栓をブロック

予防

予防

肺血栓塞栓症は、肺の動脈が血のかたまりで詰まることで起こる病気で、命に関わる危険な状態になることもあります。この病気の予防で最も大切なことは、足の静脈に血のかたまりができるのを防ぐことです。

足の静脈に血のかたまりができやすいのは、同じ姿勢を長時間続ける時です。例えば、手術の後やけがをした後、長距離の移動などで長時間座っている時などが挙げられます。このような時は、定期的に足を動かすように心がけましょう。座ったままでかかとを上げ下げしたり、つま先を伸ばしたり曲げたりするだけでも効果があります。また、可能であれば、席を立って歩いたり、軽い体操をするのも良いでしょう。

弾性ストッキングを着用することも、足の静脈に血のかたまりができるのを防ぐのに役立ちます。弾性ストッキングは、足に圧力をかけることで、血液の流れを良くする効果があります。特に、手術後や飛行機での長旅など、血のかたまりができやすい状況では、積極的に着用することをお勧めします。

水分を十分に摂ることも大切です。水分が不足すると、血液が濃くなり、血のかたまりができやすくなります。こまめに水分を摂ることで、血液の流れをスムーズに保ちましょう。お茶やジュースだけでなく、水も積極的に飲むようにしましょう。特に、飛行機や車などの長時間移動中は、乾燥しやすいため、意識的に水分補給を心がけてください。

これらの予防策は、健康な人はもちろん、過去に血栓症になったことがある人血栓症のリスクが高い人にとっても重要です。日頃からこれらの対策を心がけることで、肺血栓塞栓症の予防に繋がります。

肺血栓塞栓症予防のポイント 具体的な方法
足の静脈に血栓を作らせない
  • 同じ姿勢を長時間続けない
  • 定期的に足を動かす (かかと上げ下げ、つま先運動)
  • 可能なら歩いたり軽い体操
  • 弾性ストッキングの着用
血液をサラサラに保つ
  • 水分を十分に摂る (水、お茶、ジュースなど)
  • 特に長距離移動中は意識的に水分補給
対象者
  • 健康な人
  • 血栓症の既往歴がある人
  • 血栓症リスクが高い人

生活上の注意

生活上の注意

毎日の暮らしの中で、健康を保つための様々な工夫を取り入れることは、深刻な病気の予防につながります。まず、体を動かす習慣を身につけましょう。軽い運動でも良いので、毎日続けることが大切です。机に向かう仕事や、同じ体勢での作業が続く場合は、こまめに休憩を取り、軽いストレッチや散歩をするなどして、血行を良くしましょう。座りっぱなしや立ちっぱなしは、血流を滞らせ、健康に悪影響を与える可能性があります。

食事にも気を配りましょう。栄養バランスの良い食事を心がけ、食べ過ぎには注意が必要です。特に、脂肪や糖分の過剰摂取は肥満につながり、様々な病気を引き起こす原因となります。また、塩分の摂り過ぎは血圧を上昇させるため、薄味を心がけることも大切です。野菜や果物を積極的に取り入れ、食物繊維を豊富に含む食品を選ぶことで、健康を維持しましょう。

たばこは、血管を傷つけ、血液をドロドロにするため、禁煙することが重要です。たばこは様々な病気のリスクを高めるため、健康のためには百害あって一利なしです。禁煙は難しい場合もあるかもしれませんが、健康を考えると、禁煙に挑戦する価値は大いにあります。

水分は体にとって必要不可欠です。体内の水分が不足すると、血液がドロドロになり、様々な体の不調につながります。特に夏場や運動後などは、意識的に水分を摂るように心がけましょう。こまめな水分補給は、健康維持に欠かせない習慣です。長時間の移動時、例えば乗り物での旅行や出張などでは、足を動かす、あるいは着圧靴下などを着用することで、足の血行が悪くなるのを防ぎましょう。さらに、休憩時間には軽い運動をすることで、血行を促進し、体の状態を整えることが大切です。

項目 具体的な対策 効果
運動 軽い運動を毎日続ける
こまめな休憩とストレッチ
散歩
血行促進
食事 栄養バランスの良い食事
脂肪・糖分・塩分の過剰摂取を避ける
野菜・果物を積極的に摂取
肥満予防
血圧上昇抑制
健康維持
喫煙 禁煙 血管損傷防止
血液サラサラ
病気リスク軽減
水分補給 こまめな水分摂取 血液サラサラ
体の不調予防
長時間移動 足を動かす
着圧靴下着用
休憩時間に軽い運動
足の血行不良防止
血行促進