無気肺:その原因と対策
防災を知りたい
先生、「無気肺」って、肺がしぼんでしまうことですよね?どんな時に起こるのですか?
防災アドバイザー
そうだね、肺の一部または全部がしぼんだ状態を指すよ。気道が塞がったり、圧迫されたりすることで、肺に空気が入らなくなって起こるんだ。例えば、手術後や長期の寝たきり、肺炎などが原因で起こることがあるよ。
防災を知りたい
なるほど。寝たきりだと、どうして無気肺になりやすいんですか?
防災アドバイザー
寝たきりの状態だと、肺の奥深くまで空気が入りにくくなるからなんだ。特に仰向けで寝ていると、背中の側の肺が圧迫されて、無気肺になりやすいんだよ。他にも、痛みで呼吸が浅くなったり、痰が詰まりやすくなることも原因の一つだね。
無気肺とは。
災害時や防災に関係する言葉「無気肺」について説明します。無気肺とは、気道が圧迫されたり詰まったりすることで、肺の中の空気の量が減り、肺全体の容積が小さくなった状態です。特に、右の肺の中央部分にある気管支は細いため、周りのリンパ節が腫れたり、管の中に分泌物が溜まったりすることで無気肺になりやすいです(中葉症候群)。長い間寝たきりの人、特に人工呼吸器を使っている人は、背中側の肺に無気肺が起こることがあります。無気肺になると、血液への酸素の取り込みが悪くなり、酸素が少ない血液が全身を巡ってしまいます。また、無気肺になった部分では、肺の中の細い血管から水分が漏れ出て、肺の組織がむくみ、肺胞の表面が剥がれ落ちてしまいます。診断には、胸のレントゲン検査よりもCT検査の方がより正確です。治療としては、うつぶせに寝かせたりするなど、姿勢を変えて肺に溜まったものを排出したり、気管支鏡を使って気道の掃除をしたりします。胸のレントゲン写真で、肺の中央から下の部分に、板状無気肺と呼ばれる状態が見られることがあります。これは、長さ2~3cm、厚さ1~3mmほどの線状の影として写ります。横隔膜の動きが悪くなるようなお腹の病気、特に膵臓の炎症、胆のうの炎症、横隔膜の下に膿が溜まる病気などや、お腹の手術の後によく起こります。
無気肺とは
無気肺とは、肺の全部または一部が縮んで、空気が十分に入らなくなる状態です。肺は、空気を取り込んで体内に酸素を送り、二酸化炭素を排出する大切な役割を担っています。その肺が縮んでしまうと、体が必要とする酸素を取り込めなくなり、様々な不調につながります。まるで空気が抜けてしぼんでしまう風船のように、肺の中の小さな空気の袋である肺胞がつぶれてしまうことが原因です。
無気肺になると、肺の体積が小さくなってしまうため、呼吸が浅くなります。息苦しさや呼吸困難といった症状が現れ、ひどい場合には、チアノーゼといった酸素不足の兆候が見られることもあります。健康な人でも、長時間同じ姿勢を続ける、浅い呼吸を続けるといったことで、無気肺になる可能性があります。特に、手術後や病気で安静にしている人は、体の動きが制限されるため、肺の機能が低下しやすく、無気肺になりやすい状態です。また、加齢とともに呼吸機能が低下していく高齢者も、無気肺のリスクが高いと言えます。
無気肺は早期発見と早期治療が重要です。呼吸が速くなったり、息苦しさを感じたり、唇や爪の色が紫色に変色するなどの症状が現れたら、すぐに医療機関を受診しましょう。無気肺は、適切なケアを行うことで、多くの場合改善が見込めます。深呼吸や咳を促す、体位変換を行う、呼吸訓練を行うといったケアが有効です。また、人工呼吸器や酸素吸入が必要となる場合もあります。少しでも異変を感じたら、ためらわずに医療機関に相談することが大切です。
項目 | 説明 |
---|---|
無気肺とは | 肺の全部または一部が縮んで、空気が十分に入らなくなる状態 |
原因 | 肺胞がつぶれる |
症状 | 呼吸が浅くなる、息苦しさ、呼吸困難、チアノーゼ |
なりやすい人 | 手術後や病気で安静にしている人、高齢者 |
早期発見・治療の重要性 | 呼吸が速くなる、息苦しさ、唇や爪の紫色変色など |
ケア | 深呼吸や咳を促す、体位変換、呼吸訓練、人工呼吸器、酸素吸入 |
主な原因
無気肺は、肺の一部が膨らまず縮んだ状態になることを指し、様々な要因で発生します。大きくは、空気の通り道である気道が塞がる場合と、肺の外側から圧迫される場合の二つの原因が考えられます。
まず、気道が塞がる場合について見ていきましょう。最も一般的な原因の一つは、痰や異物が気管支に入り込んで詰まることです。風邪や肺炎などで痰が増えると、気道が狭くなりやすいため注意が必要です。また、気管支内に腫瘍が発生すると、腫瘍が気道を圧迫し空気が肺に届かなくなる場合があります。さらに、誤って食べ物などを吸い込んでしまう誤嚥も、気道閉塞による無気肺の大きな原因となります。特に、ご高齢の方や意識障害のある方は誤嚥しやすいので、食事の際は十分な配慮が必要です。
次に、肺の外側からの圧迫について説明します。胸腔には、肺の他に胸水や空気が存在しますが、胸水や空気が異常に増加すると肺を圧迫し無気肺を引き起こします。胸水の増加は、心不全や肺炎、悪性腫瘍などが原因で起こることがあります。また、肺に穴が開いて空気が漏れる気胸も、肺を圧迫する原因となります。さらに、肋骨骨折などによって胸郭が損傷した場合も、肺が圧迫され無気肺になりやすくなります。
その他、手術後や病気で長く寝たきりの状態が続くと、呼吸が浅くなりやすく、肺の一部が膨らまない無気肺のリスクが高まります。特に、腹部の手術後やお腹の炎症性疾患がある場合は、横隔膜の動きが制限されやすいため、無気肺になりやすい状態と言えます。このように様々な原因で肺胞への空気の出入りが阻害されると、無気肺の状態に陥るのです。
症状と診断
無気肺とは、肺の一部、もしくは全部が膨らんだ状態を保てず、縮んでしまう病気です。その症状は、無気肺の範囲や原因、発症の速度などによって大きく異なります。
軽い無気肺の場合、自覚症状が全くないこともあります。しかし、進行すると様々な呼吸器症状が現れます。息苦しさや呼吸が速くなるといった症状は代表的なものです。また、乾いた咳が出たり、痰が絡むこともあります。
無気肺になった肺の部分に細菌やウイルスが感染すると、症状はさらに悪化します。高い熱が出たり、胸に痛みを感じたりすることもあります。このような感染を併発した場合、速やかに医療機関を受診する必要があります。
無気肺の診断には、主に胸部エックス線検査と胸部CT検査が用いられます。胸部エックス線検査では、縮んでしまった肺の部分が白く映ります。これにより、無気肺の有無や大まかな範囲を確認することができます。
より詳しい状態を把握するには、胸部CT検査が有効です。CT検査では、肺の断面図を詳細に確認できるため、無気肺の正確な位置や大きさ、形などを把握することができます。また、無気肺の原因を探る上でも重要な情報が得られます。例えば、板状無気肺と呼ばれる、薄い板状の無気肺は、CT検査でより明確に確認できます。原因不明の呼吸困難が続く場合などには、CT検査によって初めて無気肺が発見されることもあります。
項目 | 内容 |
---|---|
定義 | 肺の一部、もしくは全部が膨らんだ状態を保てず、縮んでしまう病気 |
症状 |
|
診断 |
|
治療方法
肺の一部が縮んでしまう無気肺は、原因や状態の深刻さによって治療法が異なります。肺がしぼんでしまう原因を取り除くことが大切で、呼吸の通り道を塞いでいる痰や異物を取り除く必要があります。
痰を取り除く方法の一つとして、体の向きを変えて重力を利用し、痰を出しやすくする体位ドレナージがあります。例えば、ベッドの頭を低くしたり、横向きに寝たりすることで、自然に痰が排出されるのを助けます。
また、気管支鏡という細い管を口や鼻から気管支まで挿入し、直接痰を吸引する方法もあります。この方法は、体位ドレナージで痰がうまく排出できない場合や、無気肺の範囲が広い場合に有効です。
呼吸が浅くなっている場合は、深く息を吸う練習や呼吸の訓練を行います。医療従事者の指導のもと、正しい呼吸法を身につけ、肺を十分に広げる練習をします。また、酸素を吸入することで、血液中の酸素濃度を維持し、呼吸を楽にすることもあります。
無気肺に細菌感染が合併している場合は、原因となる細菌を抑える薬を使います。適切な薬を選ぶために、痰の検査を行うこともあります。
症状が重い場合や、呼吸が非常に苦しい場合には、人工呼吸器を使って肺の換気を助けることがあります。人工呼吸器は、自力で呼吸することが難しい患者さんの呼吸をサポートし、肺の機能回復を助けます。
無気肺の治療法 | 説明 | 適用例 |
---|---|---|
体位ドレナージ | 体の向きを変えて重力を利用し、痰を出しやすくする。 | 痰による気道閉塞 |
気管支鏡による吸引 | 気管支鏡を挿入し、直接痰を吸引する。 | 体位ドレナージで効果がない場合、無気肺の範囲が広い場合 |
呼吸訓練 | 深く息を吸う練習や呼吸の訓練を行う。 | 呼吸が浅くなっている場合 |
酸素吸入 | 酸素を吸入し、血液中の酸素濃度を維持する。 | 呼吸が苦しい場合 |
抗菌薬 | 原因となる細菌を抑える薬を使用する。 | 細菌感染が合併している場合 |
人工呼吸器 | 人工呼吸器を使って肺の換気を助ける。 | 症状が重い場合、呼吸が非常に苦しい場合 |
予防対策
呼吸器の病気を防ぐには、日頃から呼吸を深く行うことを意識することが大切です。私たちは普段、浅い呼吸で過ごしがちですが、意識的に深い呼吸をすることで、肺の隅々まで空気が行き渡り、酸素を体内に十分に取り込むことができます。深い呼吸は、肺の機能を保つだけでなく、精神的な落ち着きをもたらす効果も期待できます。
深呼吸に加えて、咳をすることも重要です。咳は、体内に溜まった不要なものを排出する大切な体の働きです。特に、肺に痰が溜まっている場合は、咳をすることで痰を外に出すことができます。痰をそのままにしておくと、細菌が繁殖しやすくなり、肺炎などの病気を引き起こす可能性があります。ですから、痰が絡む場合は、我慢せずに咳を出すように心がけましょう。
体を動かすことも呼吸器の健康を保つ上で大切です。散歩や軽い体操など、無理のない範囲で体を動かすことで、呼吸機能の維持・向上に繋がります。運動によって肺の活動が活発になり、酸素を効率よく取り込めるようになります。また、血行も促進され、体の隅々まで酸素が運ばれるため、全身の健康にも良い影響を与えます。
手術後や病気などで寝たきりの状態が続く場合は、定期的に体の向きを変えることが大切です。同じ姿勢で長時間寝ていると、肺の一部が圧迫され、呼吸がしづらくなります。定期的に体の向きを変えることで、肺への負担を軽減し、無気肺などの合併症を防ぐことができます。
たばこは呼吸器にとって大きな害となります。たばこの煙には、多くの有害物質が含まれており、肺の細胞を傷つけ、機能を低下させます。禁煙することで、肺への負担を減らし、呼吸器の健康を守ることができます。無気肺などの呼吸器疾患のリスクを減らすためにも、禁煙は効果的な予防策と言えるでしょう。
対策 | 効果 |
---|---|
深呼吸 | 肺の隅々まで酸素を届ける、精神的な落ち着き |
咳 | 痰などの排出、肺炎などの予防 |
運動 | 呼吸機能の維持・向上、血行促進 |
体位変換 | 肺への負担軽減、無気肺などの合併症予防 |
禁煙 | 肺への負担軽減、呼吸器疾患リスク軽減 |
日常生活での注意点
無気肺を経験した方、あるいは無気肺になりやすい方は、日々の暮らしの中でいくつか気を付ける点があります。まず、呼吸を意識することが大切です。普段の呼吸が浅くなっていないか注意し、意識的に深く呼吸をするように心がけましょう。息を深く吸い込み、ゆっくりと吐き出す深呼吸を、一日に数回、時間を決めて行うのも良いでしょう。また、散歩や軽い体操など、適度な運動も肺の働きを保つために効果的です。激しい運動である必要はありません。日常生活の中で体を動かす機会を増やすことを意識してみてください。
次に、水分を十分に摂ることも重要です。水分が不足すると、痰が固くなり、排出されにくくなってしまいます。痰がスムーズに出るように、こまめに水分を補給しましょう。お茶や水など、ノンカフェインの飲み物がおすすめです。また、禁煙は呼吸器の健康を守る上で欠かせません。たばこの煙は気道を刺激し、痰を増やしてしまいます。さらに、無気肺になる危険性も高めてしまうため、禁煙は強くおすすめします。
加えて、規則正しい生活を送ることも大切です。睡眠不足や不規則な食事は、体の抵抗力を弱めてしまいます。抵抗力が弱まると、病気にかかりやすくなり、無気肺のリスクも高まります。バランスの良い食事を心がけ、十分な睡眠時間を確保することで、免疫力を高め、無気肺を予防しましょう。毎日の生活の中で、これらの点に注意することで、無気肺になりにくい体を作ることができます。
項目 | 詳細 |
---|---|
呼吸 | 普段から深く呼吸する。深呼吸を1日に数回行う。散歩や軽い体操など適度な運動をする。 |
水分 | 十分な水分補給をする。お茶や水などノンカフェインの飲み物がおすすめ。 |
禁煙 | たばこの煙は気道を刺激し、痰を増やす。無気肺になる危険性を高めるため、禁煙をする。 |
生活習慣 | 規則正しい生活を送る。睡眠不足や不規則な食事を避ける。バランスの良い食事と十分な睡眠で免疫力を高める。 |